生活費と彼の心配


「ユーリィさん……見えなくなってしもうたな」

「ま、言うた通りやろ?所詮ママチャリでロードに追い付こうなんて無理な話や……」



「いやぁ。すげぇな!皆速くてカッコいい!」



俺はなんとか追い付いて、そのまま皆を見ながら先頭の翔君と石垣君のところに行くと、二人……と言うか皆は俺を凝視してすごく驚いていた



「ファァァ!!?な、なんやの!?ありえん!今朝の登校の時もそうやったけど、近道でも使ってるんか!?」



流石に予想外すぎたのか、翔君は珍しく焦った様子で必死に何で追い付いて来たのか聞いてくる




「え〜?これは秘密兵……」

「あれ?何すか?その腰に着けているのは」

「っ!」




秘密兵器だと濁そうとしたら!……しまった!前に来たから、後ろにいる人にはわかってしまったか

水田君がそう俺に訊ねてきたのを聞いてた皆も俺の腰に目をやる




「おいおい。異性に興味津々な年頃の男の子なのはわかるけど、皆でお姉さんの尻を見るのは関心しないなぁ〜」




ふざけながらそう言って慌てて皆の後ろに下がろうとした。翔君には見られないように……って思ったら、その彼の長い腕に捕まってしまい後ろに行けなくなったところでばっちり見られてしまい「ア゛ア゛ーー!?」って驚いて怒るような叫びを上げられる




「キミィ!アホちゃうの!?その物騒なもんは使うな言うたやろ!!」




翔君が怒るのも無理ないな……

そう。俺が持ってきた秘密兵器とは勿論。立体起動装置だ

自転車乗るようになってから、これは立体起動装置付けたら最強になるんじゃないか?ってずっと思っていて、今朝の登校で翔君に追い付けた事で思ったとおりパワーアップしたって実感できた

しかし翔君から立体起動はこの世界にいる限り、何処だろうと使用しないように言われていたんだけど……




「いや、ほら。よく見ろ!ブレード収納ボックスは置いてきたよ!これはあくまでガスのみ使っているから全然物騒じゃないよ!!」

「ほんっまにアホやな!過度の改造車は走行したら道路交通法違反で警察に捕まるわ!!」

「えぇ〜!?………でもまぁ、周りの人達は俺がロードに乗ってるって勘違いしているのかあまり見ていないから、大丈夫じゃない?」




周りを見れば翔君達が走っているのはいつもの事だと思われているのか、あまり凝視する人はいなくて、見たとしてもほんの数秒程度

ここまで来てしまったから、行けるところまでついて行きたい俺はまだ怒ってやめろ!って言う翔君の言葉を無視して、じっくり見つつ応援しようと思い付いて歌う




「レッツゴーKF!いけいけgogo…」




某金色の爆弾が名前のアーティストの曲を京都伏見バージョン(だからKF)にして歌いながら見ていると…

この前と同じように余所見していたから




……また何かに勢いよくぶつかって、体が飛んだ!






「ぎゃあああああ!!?」






しかし、二度目の同じ失敗だからわかっていたさ!そして今の俺はただの生身じゃない!






「とうっ!」




立体起動のガスを上手く調節しながら空中で回転して、体制を整える




「なっ!なんやアレ!?」

「すげぇ!まるでRPGゲームのキャラみたいな動き!」

「あんなん現実で出来る人居るんやな…!」




俺を見て石垣君ら三年生達の驚く声が聞こえた


フッ……訓練兵の三年を入れれば約十年間、兵士をやってきたんだ。そんじょそこらの一般人と一緒にしたら痛い目見るぜ?

……なーんて心の中でカッコいい台詞言った俺はそのまま着地して周りを見ると、そこは目の前には川があって、咄嗟に立体起動使わなければ落ちていたって思うと使って正解だな




「大丈夫すかー?」




すると、皆が俺のところに様子を見に来た




「ああ。なんとか」

「にしても、カッコよかったっすよ!」

「昔、何かされていたんすか?スタントマンとか!」




水田君と山口君にそう聞かれて、まぁ色々と…って濁す




「その腰に着けとる物もその時から?」

「あ〜……まぁ、そんなとこ」

「キミィ。何浮かれとんのや」




皆、俺の素晴らしい空中回転について、カッコいいとか感想言ったり、どうやったら出来るのか?とか聞いている中、翔君は呆れた様子のまま俺の頭にチョップを食らわす




「痛い〜何すんだよ」

「キミ、何か大事なもん忘れてへん?」

「え?大事な物…?」




何だっけ?って思いながら周りを見ると、川に半分沈んでいる車輪が見えた

…………

………あ!乗っていた自転車!!




「ああーー!?おばさんから借りている自転車がああああ!!」




俺はそれに気付いて慌てて叫びながら川に向かって走る

そして川に入らずに自転車を引き上げようとしたけど、川の流れる力に引っ張られてなかなか上げる事が出来ない

そうだ!翔君達に手伝ってくれれば……!




「翔く〜ん!悪いけど、引き上げるの手伝っ……」

「ほな、僕らは練習再開するでぇ」

「えええっ!?ちょっ……待って!!」




練習再開させるって言いながら土手を上ろうとする翔君達を止める




「俺だけじゃ引き上げられないから、手伝ってよ〜!」

「はぁ?なんで僕らがキミの自業自得の助けをせなあかんの?」

「本当にごめん〜!川の流れが強くて……」




たしかに、これは俺が立体起動使って余所見運転したのが悪い。そこの非は認めるけど、本当に手助けしてもらいたかった




「なぁ。あれくらいなら俺らですぐに上げられるやろ。助けてから練習再開させてもええんやない?」

「なぁにを言うとんの?僕らはこんな事で練習する時間無駄にするわけにはいかんやろ。ええから行くで…」




石垣君達は助けようと言うんだけど、翔君はそんな事許さないってさっさと道路に戻っていく

ああ〜もう。やっぱ自分で何とかするしかないのか……




「やっぱり自分で引き上げるから、行っても大丈夫だよ。走るとこを見せてくれて、ありがとう」




翔君に従おうかどうしようか悩んでいた石垣君達に、練習に行くように言うと「早ようしぃや。ザクゥ」って急かす翔君の声が聞こえてきて「…すみません」って俺に謝って行った

石垣君達も大変だなぁ。俺も一緒に暮らしていて少しわかったんだけど翔君は機嫌悪くなれば、しばらく怒りっぽくなって八つ当たり気味になるからね〜


彼らが行った後に俺は、これも立体起動を使えば解決するんじゃないか?って気付いて、自転車にワイヤーを巻き付けて引いてみると簡単に上げる事が出来きて、なんとか難を逃れた