翌日の連休最後の日、翔君達はこの日は部活をするとの事で、俺が朝起きた頃にはもう翔君は部活に行ってしまっていた
彼の口から直接聞かされなかったけど、一昨日と昨日で恋人ごっこは終わった
楽しかったか?とか恋人としてどうだった?って改めて聞きたかったけど感想も言わずに行ってしまったから、もしかして知らない間に彼がまた勝手に延長しているんじゃないかな?って思ってしまう
延長していたなら嬉しいって気持ちがあるけど……これは友達として楽しかったから?それとも翔君がロード以外に興味を持ってくれるかもしれないって言う嬉しさがあるから?確かにそれらの気持ちはあるけど、他にも何かある気がする
変にもやもやする気持ちをどうしようか考えていると、ユキちゃんが俺に聞いてきた
「なぁユーリィ姉ちゃん。翔兄ちゃんトコに行かんでええの?」
「えっ?えっ?い、行かなくていいかって…」
「一昨日から仲良うしとったやん!」
何だと思ったら……伯母さんと同じく前から俺と翔君の仲を期待していたユキちゃんは、一昨日からの恋人ごっこを一部始終を見て余計に期待が高まったらしく、付き合うのはもう少しか!?って思っている
あれは一応“ごっこ”なんだけどな……その期待している目に申し訳ないって思ったのか、それとも別の気持ちでなのか、ごっこだったとは言えない
「行くって言ってもなぁ。邪魔になるだけだし……」
「ユキにええ考えがあるで!じゃーん!」
ユキちゃんが出してきたのは黄色くて楕円形の綺麗なレモンを数個
「レモンで何するの?」
「これで差し入れ作って持って行けば喜ぶと思うで!」
「なるほど…」
つまり、差し入れを作って持って行けば、行った理由になるし喜んでもらえるかもしれない。か
「よし……じゃあ作って持って行きますか!けど、作り方わからないから、ユキちゃん手伝ってくれない?」
「もちろん!」
こうして俺達はレモンを使って疲労回復になる差し入れを作った
「これでいいのかな…?」
「綺麗に出来とるやん!ユーリィ姉ちゃん、さっすが〜!」
作ったのはレモン果汁の寒天の蜂蜜掛け。甘酸っぱくて、どちらも疲労回復効果があるからもってこいのレシピ
「ありがとう。ユキちゃんが教えてくれたから、上手くいったんだよ」
「ほんまに?えへへ」
綺麗に出来たって嬉しそうにする俺達は、その作ったのをタッパに移し替える作業をしていると、おばさんがきた
「あら?二人共、何しとんの?」
「あ、ママ!今な、ユーリィ姉ちゃんが翔兄ちゃんに持って行く差し入れを作っていたんや」
「それはええな!翔君喜ぶで〜」
これで更に翔君と俺の距離が短くなるって思ったおばさんはナイスアイデアってユキちゃんに言って、俺には頑張ってね!って応援してくれた
いやいや、頑張ってって……俺は別に翔君を……って口では否定したけど、頭の中では何故か本当にそうなのか?って思う。俺は翔君をどう思ってんだろう?って改めて自問自答しようとした時、ふとおばさんが手に何かを持っているのが見えた
「ん?おばさん。それ……」
「え?……ああ。これ?さっき廊下に落ちてたのを拾ったんやけど」
聞いて見せてもらうと、それは……砂時計
単なる何処にでもありそうな砂時計だけど、何故か俺はそれに心強く惹かれる感覚になった。初めて見たのに……
「お〜……綺麗な砂やな」
「けど、これ家に無かったような気ぃしたんやけど……もしかして、ユーリィちゃんの?」
「あ、はい!実はそれ俺ので……」
自分でもかなり驚いてしまった。何故か俺はその砂時計を自分のものって言ってしまう
普段はそんな嘘はつかないのに、これだけは手に入れなければ!って考えだけに思考が支配され、さらっと言った
「そうやったんか!はい。次は無くさんように気ぃ付けてなぁ」
「はい、ありがとうございます……っ!?」
俺はおばさんから砂時計を受け取った時、砂時計から振動を感じて驚いて落としそうになった
なんとか落とさずに済んだけど、見れば見るほど“これは自分のものだ”という気持ちと同時に何か違和感を感じた
「(これは……ただの砂時計じゃない?)」
そう思った俺は差し入れの準備を終え、翔君達に渡して帰ってきてから砂時計を調べる事にした