スタートまでまだまだ数分時間があるなって思っていたら、俺は飲んでいた飲み物を全て飲み干してしまい、暑さをしのげなくなった
「……すみません。飲み物買いに行ってもいいすか?」
「あ、ええよ。時間まだあるみたいやし」
「じゃあ行って来ますけど、他に飲み物欲しい人います?」
俺は久屋家の皆に飲み物が欲しいか聞いて、自分の分と一緒に買いに自販機を探しに行った
「あ、ようやく見つけた……!」
暑い日差しが容赦なく降り注ぐ中、俺は会場から少し離れた所でようやく自販機を見つけて駆け寄る
さて、まずはおばさん達のお茶をって思いながら俺はお金を入れる……すると、うっかり手を滑らせてしまいお金を一枚地面に落としてしまった!
「あっ!!」
急いで拾おうとするも、暑さにやられていつもの瞬発力が発揮しなく、お金はチャリンッ!と音を立てて……自販機の下に転がっていってしまった
「うわああ〜……マジかよ」
俺は暑く焼ける地面に伏せて自販機の下を覗き混んで見ると、お金は届きそうな所にあるように見えて必死に手を入れて取ろうとする
「(クソッ……届け!俺の手よ!!)」
地面に付けているから熱く焼けそうだけど、このお金が無いと生命維持の水分が買えない……!暑さが本当にひどいから何より飲み物を買うのが一番と考えている俺は、もう誰かに変な目で見られようとお金が取れるまで頑張る!
そう意地を張っている中、足音が近付いてきた。恐らく飲み物を買いに来たと思われるその人物は俺の後ろに来て止まる
「(なんだよ黙って見やがって。嫌な人間もいるな……)」
他にも自販機が何台か並んでいるのに、後ろに来た人はずっとそのまま止まっている。俺を見ているんだろうって思うと暑さのせいかなんかイライラしてきて、一旦立ち上がってどんな奴か確かめる事にした
「(クソッ俺を見てなかったら、それでいいけど……もし見ていたら眼飛ばして蹴散らしてやろうか……!?)」
なんて思いながら立ち上がり、ゆっくり振り向くと……
「なんや。野良猫の真似止めたん?」
「あっ!あ、翔君!?」
なんと、そこには翔君がニヤニヤ笑いながら俺を見ていた!
まずい!!俺がここにいるのがバレた!!えっと、えっと、えっと……!
「あっ……ああー!ぐ、ぐぐぐ偶然だねー!!実は気ままな旅をしてたら、こんな所に着いちゃってねー!あ、えっと、でね、これからまた何処かへ……」
「嘘やろ」
「う、うそじゃ……」
「正直に言い?」
「うぐぐぐぐ……」
当たり前ながら不自然な事を言ったから、嘘を付いているってバレてお決まりの手で頬を掴まれギリギリと地味にダメージを食らう
「ひゃい……い、うん。実はこっそり応援しに来ました……」
どうしようもないから離した直後に正直に話すと、翔君はため息吐いて「そうやろなって思っとった…」って呟く
「え?知ってたの?」
「先週から伯母さんとかがやたらはりきっとったから、予想はしとった」
ありゃりゃ……悟られないように気をつけていたんだけど、おばさん達が嬉しそうに準備したり翔君に早い段階で頑張れってエール送ってたのが災いしたか……って、反省してると、翔君は俺に何かをひょいっと投げてきて慌ててキャッチして何なのかみて見ると、それは100円玉だった
「えっ!?あ……これ……!」
「みっともない姿をこれ以上晒すな言うてるんや」
「だけど、いいの……?」
「さっさとしぃ……見るんやったら最初から見ぃや」
「!?」
その言葉は……お金は気にしなくて良い事と応援をしてもいいって許可の言葉だ!
「あ、翔君!ありがと……頑張ってね!」
翔君は俺の言葉に返事や反応もしないで、さっさと背を向けて行ってしまった
あれだけ練習してきたけど、やっぱ本番は緊張するものだろうし、翔君にとっては頑張るも何も……全力を出すに決まっている。だからその何も言わない背中にしつこく言わない。言うとしたら始まった後の応援。それだけだ
俺は急いで飲み物を買って久屋家の待つ場所に戻った