目を開けると、白っぽい青空……早朝の少し寒い空が見えた
体を動かすと固いところで寝たために体のあちこちが痛く感じる。しばらくちゃんとした布団で寝て、野宿なんて久しぶりすぎるからな……
………って!!!!
「うおおおおおおお!?ね、寝てしまったああああああああ!!」
そう、あのコンビニから食べ物を買って公園に戻ってきた後、食べ終わってから翔君が公園にあった水道の所に行くのをベンチから遠目に見ていたら……いつの間にか寝てしまったみたい!!
「翔君……!?」
慌てて翔君を探したけど、周りに見当たらない。どうしようヤバイ!今日はインターハイの最終日なのに、翔君は京都に帰ってしまった…!
引き止められなかったか……そう青ざめて、寝てしまった事に後悔して自分を責めた
「なぁに朝っぱらから騒いどるんや?」
「!?」
後ろからそんな声がして、すぐに振り向くと……
ベンチの後ろの芝生で寝ていた長身のひょろっとした体が見えた!
「あ……翔君?」
よかった!翔君はそこにいた!つい慌てて後ろを見ていなかったなって、ひと安心していると翔君はゆっくり起き上がる
………あれ?
「ファ〜……ユーリィちゃんが寝てしもうたから、ボクまで野宿するはめになったやん」
「あ…あ…うん」
「なんや?」
「えっと……君、翔君……だよ……ね?」
「ハァ?なんやキミィ寝ぼけてるんとちゃう?」
「あ、いや、だって………その頭どうした!?」
俺が今の前にいるのが本当に翔君か?って思った理由は……
翔君の髪が切られて坊主頭になっていたからだ!
「こんなんで驚くん?キモッ」
「いや、いきなりそうすれば、誰だって驚くかと……それになんでまた坊主に?」
「軽量化や」
「軽量化……?」
なんでここで体を軽量化をするんだ?って思った時に、もしかしてって希望が出る
「翔君!…行くんだね?」
目をそらして黙って頷く翔君。インターハイ……最後まで出るって決意したんだね!よく決心した!って俺は嬉しくなってベンチに立って翔君を抱き締める
「ピギィィィ!?な、なにすんや!キモッ!キモッ!キモーー!!」
「俺からエールを込めたパワー注入……なんてなっ!」
「やめいぃぃ!!ホンマ、キモすぎるわーー!!」
嫌がる翔君に無理に抱き締めて笑う俺だけど、やっぱやり過ぎたかな?って思って離す。そして呼吸を整えた翔君はインターハイの会場まで急いで行くってロードに手をかける
「よし、じゃあ急ぎますか……」
「待ちぃや」
「うぐぇっ!?……な、何すんの」
「それ今使うたらまずいんやない?」
「あ……」
立体起動を使おうとしたところを翔君に止められてから気付いた
そうだ。昨日は夜だったから使ったけど、今は明るい朝だから……誰かに見られてしまう
「えっと、じゃあ……翔君は先に行ってて!俺は自力で向かうから」
「ファ〜……こっから会場までどう行けばええか、わからんやろ?」
「う……だけど……」
痛いところをツッコまれて何も言い返せなかったけど、翔君は選手だからすぐに行かなければならない
やっぱ俺を置いて先に行けって言おうとしたら、翔君はロードのフレーム部分を指して言った
「……そこ」
「ん?」
「乗れるんやったら……乗せてやらんこともないんやけど」
「えっ!?」
なんと、翔君がロードで二人乗りをしようって言い出す!
「ふ、二人乗りだなんて……出来るのか!?それにロードは誰にも触られたくなかったんじゃ……あ、昨日俺乗っちゃったな。だからか?え、お、怒ってない?本当にいいの?二人乗りして壊れたら……」
「さっさとしぃや!時間ないんやから!」
「うわっ!」
ほぼ首根っこ捕まれてまるで猫みたいな扱いされた俺は、翔君の乗るロードのフレームに降ろされる
「……乗れるん?」
「あ、う……うん。乗れた!」
ペダルを漕がないでそのまま股がるのは痛くなると思った俺は、フレームと平行になるように横向きに座りハンドルに手を添えると、ちょうど良い感じに乗れた
それを確認した翔君は「ほな、行くで……!」って言ったと思ったら、たちまち風に包まれて周りの景色が次々と変わる!
「おおおっ……これが、翔君の力……!」
俺も昨日乗って普通の自転車よりも何倍にスピードが出るのに感動したけど、それよりも比べ物にならない!流石選手は違うな…!
どんどん出るスピードにドキドキしてるのかな?なんか妙に高揚感が湧き出る
これなら、インターハイ会場にスタートまで間に合うなって翔君の走りを信じて任せる事にした