決戦へ!!



明るいのに立体起動を使ったら周りにバレるって覚悟していたけど、林道が続いてくれたから身を隠しながらだいたい進めた


でも、翔君の姿はまだ見えない……

そうしていると、集団を切り離した緑のジャージ高校チーム(ここでようやく広島の呉南だとわかった)が箱根学園の二人に小野田君の三人と戦っていた!

三人の先頭を引くのは荒北と言う不良っぽい男だけど、主将の福富を信じていて相手の挑発に乗らずに戦う良い人で、もう一人いる箱根学園の選手は真波と言う小野田君と仲良しな感じの可愛い子だ




「(おぉ〜風を切る音とかで、あまり聞こえないけど……こればかりは頑張れ三人!その赤い髪野郎を翔君達に近付けさせないで!)」




あまり近すぎなく後ろの方を飛ぶ俺は、林の中から彼らの話声を聞いて判断して、小野田君達の三人を今は応援していたら……しばらく進むと林道を抜けてしまい、やむを得ずにマントのフードを被って顔を隠す

ちらっと見えたけど、下にいた何人かは上を飛行する俺を見つけてじっと見ていた。おそらく通りすぎた後ろの道では「今のは何だったんだ!?」って大騒ぎになっているとおもうけど、振り向かずに進んだ



そして……




小野田君達三人の走りは赤髪男(荒北が待宮と呼んでいるのに今気づいた)のチームを完敗させて、先に走っていく

待宮は……なんと、ここで潔く負けを認めた。それを隣の黒髪男(井尾谷って言うらしい)から悔しそうに泣かれてしまう

……そうか。こいつらも。特に待宮は愛する人を悲しませて憎んでいた箱根学園を倒すためにこの戦いに赴いたのか

俺はこの時にやり方は卑怯だったりする選手も含めた全ての選手は……皆何かしら背負って戦いに来ているって気付いて、待宮達を見直して「お前らの頑張りは、しかと見たぞ」って軽く頷いた


でも、さて俺は……本命の本来応援する人を追いかけないと!












――――――




小野田君達についていくと、ここでようやく翔君を見つけた!

よかった〜翔君達は順調に進んでるな。もう危険な事をする輩は来ないって安心していると、小野田君達は先にどんどん進んで自分達のチームと合流する

うそ……箱根学園も千葉総北も六人ずつじゃん!翔君達は二人しかいないのに、大丈夫か?って不安になるけど全然ペースを落としていないから、これは何かの作戦か?って思った

すると、翔君と石垣君は何か話をしていた。聞き取れたところからだと……

石垣君は翔君のお陰で考えが変わり、翔君を信じている。だからアシストとして限界まで翔君を引っ張らせてほしい。そして自分のゼッケンを持って行ってくれって頼むと……翔君は舌を出して拒否した

だけど、それを聞いた石垣君は笑って「それでこそ御堂筋や!」って嬉しそうにする




「(うわ〜やっぱ石垣君もある意味強いな)」




さっき飛び出す前に安さんと話したのを思い出す

翔君から理不尽な扱いで練習を強いられていたのに、我慢した結果、良い意味で信じようとするポジティブな人……我慢強いって言うか、呆れるほどタフって言った方がいいかも

まぁそれくらいタフさが無いと翔君と一緒に頑張れないからね




「(なんだかんだ言いつつ……石垣君は良いパートナーだな。うらや……っ!!)」




今、俺は何て言おうとしたんだ……?羨ましい?だと……!!

なんだよ、これ!なんか石垣君に嫉妬してるみたいで……ダメだ俺!翔君は石垣君と頑張っているんだから、ちゃんと応援をしないと!

あそこには石垣君がいないといけない……そう思うと、胸が苦しくなりそうで、なんだか涙が出そうになる。これは、俺はこの後さようならをしなければならないだけじゃない

前からあった変な感情が何で今になってから増幅して、意味のわからない嫉妬みたいな怒りの気持ちが湧き出るんだろう?

なんとか応援に集中しようって思っていたら……



先頭を進む箱根学園と千葉総北のメンバーからそれぞれ一人ずつ進む度に力尽きて列から離れる

さっき小野田君達を引っ張っていた箱根学園の荒北。その次に泉田。そして新開

千葉総北からは田所。金城。鳴子……って次々と離れて残りのメンバーに自分の意思を託すようにチームの列から離れていく


そんな中、翔君達は坂道に差しかかって数q進むと、付かず離れずの距離を保っていたのを……急にスピードを上げて追いかける!

これは箱根学園と千葉総北からメンバーが少なくなったのを見計らって、逆転を狙う作戦だったか!



そう思っていると……とうとう石垣君にも限界が来てしまい落車した!

芝生に倒れた石垣はもう全身が動けなくて苦しそうだけど、目だけは翔君を追いかけて、「後は頼んだぞ」って言うように微笑む




「石垣君!」




ゆっくり飛行していた俺は思わず上からそう彼を呼ぶと、それを聞かれてしまい石垣君と救護する人は俺を見て驚いていた

目を見開いてじっと見つめるその瞳は「疲れていて幻覚でも見ているのか?」って言っているみたいだ 。仕方ない……気付かれちゃったからな




「石垣君!この後の翔君は俺が見守るから!………翔君を支えてくれてありがとう。石垣君は単なるアシストじゃなくて隣で二人三脚する相棒みたいだったよ!この先もその調子で頑張ってね!」




俺は思っている事を全て大声で石垣君に伝えた後、急いで翔君を追う


なんか追いかけてばかりで、これが属に言う“追っかけ”か?なーんて

そんな下らない事を数秒で終わらせた俺は先頭に急いだ





「(翔君……!)」