決戦へ!!



翔君に再び追い付く辺りでまた林道になったから入って身を隠す。翔君は小野田君と真波との三人で勝負をしていたのが見えた。あの巻島と東堂っていう良いライバル同士の二人は途中でこの小野田君と真波に任せたんだな

そうなればこれは一年生同士の対決!って思ったけど、よく考えれば翔君は一人でゴールを狙いに来たから、目指していたのは今いるこの二人じゃなくて……もっと一番先頭を走る箱根学園のエース福富と、千葉総北のエース金城から任されたあの……一日目に翔君が挑発した相手である今泉だ

なんとか追い付くかな?って思っていると、三人で勝負しながら進んだせいか、やがて一番先頭にいた福富と今泉と合流した!

さぁここからどうなる?って少し緊張して様子を見ていると…


翔君と今泉が飛び出して二人で勝負をしはじめ、その今泉の後ろを小野田君が必死についてきた!

あの二人に何があったのかは知らないけど、すごく因縁のある対決だな

お互いに一歩も譲らず、翔君が挑発すると今泉も言い返す。ん?あの今泉はたしか一日目の時にかなり翔君の挑発を聞いて怒っていたけど、今は涼しい顔して言い返すなんて……

成長したのか?って思っていると、翔君は言い返されたのに腹が立って補給食であるパワーバーを食べながら恨み辛みにぶつぶつ一人で言った後……得意の独特なダンシングで今泉達の横に並ぶ!




「(す、すげぇ……やるな)」




流石翔君だ。つか、翔君の戦いがこんなに激しいものだったなんて……!

普段はボ〜ッとしてそうな感じで、部活では余裕ぶって上に立っていたけど……




「(それが……君の本気で挑む姿なんだね!)」




比べるのがおかしいかもしれないけど、あれは巨人と戦っている時の……勇ましい兵士と同等の姿だ!

俺はそう感激していると、数q先の道が見えない。あれは……




「(まさか……下り坂!?)」




今は上り坂で林の中だから見えにくいけど……まさか。そう思った俺は翔君達より早く先に行くと、かなりの急な下り坂が待ち構えていた!

あのスピードで下ってきて、もし落車でもしたら……大怪我以上する!俺はもしものためを思って、下り坂が終わる辺りの林の中で翔君が来るのを待った


もし、万が一翔君が落車したら……助けたい!不要で部外者が選手に触れるのはルール違反だと思うけど……俺は翔君が大怪我以上をするのを見たくない!

なんとしても助けようって思っていると、翔君と今泉が上から下ってきた!

二人共、互いにぶつかり合いながら凄まじいスピードで行ってしまい、落車せずに一瞬で俺の横を過ぎた



「(なんだ……心配いらなかったな)」




そう言えば、翔君が危ないかも。とか大丈夫かな?って不安になる時には必ずなんとかなって進んでいた

大丈夫……信じよう。一日目に一位になって、二日目に辛い気持ちから立ち上がったから……この三日目も大丈夫だ!

俺は信じようって言いながら少しばかり不安になっていたけど、それは翔君に対して失礼だからもう思わない。こっからゴールに向かうんだ!

そう熱くなってまた立体起動を動かして飛行して翔君を見ていると、今泉とぶつかり合いながら……次は急な坂左カーブに差し掛かる!

行ける!翔君なら行ける!そう見ていると、翔君は側溝の蓋に車輪を滑らせて、頭がガードレールぶつかりそうになった!




「(立て直す……!)」




そう強く思うと、まるでそれが翔君に伝わったみたいに、翔君は自力で体制を立て直して続行した。よし、いいぞ!翔君!


続いて右カーブ!翔君は今泉の後ろで間を潜って先に行こうとするけど、今泉がガードレールとの間を狭めて行かせないようにする




「(あああ……!翔君!今泉とガードレールの間に顔を挟めて大丈夫かな?)」




これは勝負に関する不安もだけど、今泉の後ろの……尻辺りの所とガードレールに挟まれながら進むなんて、気持ち的に大丈夫か心配になる

けど、それさえ気にしないで、すごい声を上げながら走る翔君は……今、勝利しか求めてないからあの独特なダンシングと同様、自分はどうなってもいいって気持ちが出ていた


その真っ直ぐな心は……行きすぎていると思うけど、とても純粋だ

そして、右カーブを曲がった先にはまた上り坂が出てきて二人で上る

よし、行け!いいぞ!まだまだ!……なんて心の中で応援した

まだまだ二人の戦いは続く………










そう思っていたら



翔君の様子がおかしくなった


今泉から少し離されたなって見ていたら……どんどん離されてしまう

あれ?翔君?……これは何かの作戦?相手に油断させて、また逆転狙い?

そう思っているんだけど……翔君の動きが何だかぎこちない



まさか……って思ったけど、まだ大丈夫だ!不安になるな!こっからまた加速していくから……

俺はそう信じて見ていた







けど、翔君は青空を見上げた後……魂が抜けるようにフラフラしながら……



ロードから降りて、近くの草むらに倒れ込んだ




そう……




翔君も限界が来てしまった






「翔君っ!!!」