静かな別れ

















「………ぅ……?」


「ん………」


「ユーリィ!大丈夫!?」






そう呼ばれて、目を開けてみると……



俺は木のベッドに横になっていて、周りを見渡してみると……電化製品のない、木材で出来た家具が並ばれている部屋だと分かった

そして……




「ユーリィ!ねぇ、大丈夫!?私がわかる!?」




俺を呼んでいたのは、近くにいて手を握ってくれている人で……自由の翼のついたジャケットに、立体起動用のベルトを着用した同じ調査兵団の一員であり、ポニーテールで眼鏡が特徴の俺の上司である女性




「ハンジ……さん」

「ユーリィ!!」




名前を呼ぶとハンジさんは泣きそうになっていた顔からパァっと明るくなって、嬉しそうに抱きしめてきた




「よかった!よかったぁ!本当によかった!!」

「ハ、ハンジさん……あの、一体何が」

「あああ〜〜!ユーリィ〜〜!!」




結局ハンジさんは嬉しさのあまり泣き出してしまい、一体俺は今どういう状況なのかが理解できない

わわ〜!なんとかハンジさんを落ち着かせないと……って思っていると




「おい、いい加減に離れたらどうだ。クソ眼鏡」




ここでまたハンジさんの後ろから来たもう一人の上司の……久々に見る刈り上げに噴きそうになりながらも、懐かしい顔を見て安心する




「あ〜ごめんごめん。つい嬉しくてさ……だって、奇跡だと思わない?」

「そうだな……さて、ユーリィよ。お前は自分がどうなっていたか覚えてねぇのか?」

「はい、リヴァイ兵長。その……何があったのか、わかりません」




その刈り上げ上司の……リヴァイ兵長から話を詳しく聞くと、どうやら俺は巨大樹から落ちた後に忽然と姿を消していたらしい

真っ直ぐに落ちたから、その下にピンポイントでいるはずなのにいなくて、リヴァイ兵長と何人かの兵士が残って周りを捜索したけど見つからず、三日後にようやく落ちた樹の根本に倒れていたところを発見




「(三日間も……)」




その説明を聞いて、向こうでの数ヵ月はこっちでは三日しか経ってないってのに驚く

そして、そうだったらやっぱりあの世界は夢で、本当は俺は巨大樹の森で倒れていたんだけど運良く巨人には見つからずに、仲間に発見されたって事かな?って疑う




「ねぇ、聞いてもいいかな?……その倒れていたのを発見した時にさ、ユーリィに傷とか痣もなくて綺麗な状態だったの。そして、調査兵団のマントが無くなって見たこと無い物が近くにあったんだけど、それについては何か心当たりある?」

「!!」




だけど、ハンジさんからその事を聞いて、やっぱあの世界で一時的に暮らしていたんだって希望を持つ

たしかにこっちで負った傷は向こうで完治させたし、あのマントは……地面に放り投げてきた


そして、そのハンジさんの言う見たこと無い物……ベッドの近くに置かれているさっきまで使っていた大き目のバッグを見つけて確信した




「(やっぱり、今も遠い所に翔君はいるんだね……!)」

「……ごめん。やっぱ何も思い出せないよね」

「ん。なんだ。何ニヤニヤしている?ハンジや皆はお前を心配して……」




リヴァイ兵長からそう指摘されて、いつもなら誤魔化すけど、今は認めて微笑んでみせる




「?」

「ユーリィ…?」

「今……思い出しました」




それを聞いたリヴァイ兵長もハンジさんも驚いて、目を見開く




「本当に!?だったら何を思い出したの!?あの落ちた後に……」




ハンジさんは、俺に起こった不可解な事の原因を知れる!って思って興奮気味に俺の手を肩を付かんで聞いてくる。それに対してリヴァイ兵長がいつものように「落ち着け」って言ってハンジさんを大人しくさせる



そのタイミングで俺は言った






「はい、俺は……家族とも友人とも違う大切に想える人に出会ったんです」