それから俺は壁外調査の他にも畑や避難民が暮らせる土地の開拓を手伝った
せめて、生き残った人達を………これ以上なくしたくない
ほぼ廃墟に近い粗末な建物で寝泊まりしてる人々を見ると、だいたいの人数を子供が占めている
無理もないか。ウォール・マリアから逃げる際に親は自分を犠牲にして子供を逃がすし、たとえウォール・ローゼに逃げてこられたとしても次は口減らしとして連れて行かれるのだから……
大人と同じように畑仕事を手伝ったり十分な食事を与えられてないため、ぐったりしている子供達の姿はあまりに痛々しく見てられない
でもこの事実は目を背けちゃ駄目だ。しっかりと受け止めて、俺達が守らないと
そんな時だ。俺はある子と目が合う
ほんの数秒間で、すぐにさっと建物の中に隠れてしまったが、金髪の女の子だと分かった
「………………」
俺は数日前に兵長が話していた事を思い出した
あの一件以来、俺は兵長に対して少しずつ苦手意識が無くなり、いくらか話したり任務を手伝うようになった
そんな俺に、兵長は相変わらずの無愛想な態度だが色んな話をしてくれて………その中である話をしてくれた
「聞き流してくれても構わないが、あの日の奴らが上の命令で逃がしたガキがここら辺に居るらしいぞ」
「奴らが言ってた……」
あの日……そう言えば。なんとなくだが、あいつらは何かしらの理由で逃がした子供がいるとか言ってた気がした
それに俺に向かって、逃がしたガキの兄弟だとか
…………
そこで俺はある事実に気付いた
あの時は死ぬつもりで投げやりになっていて深くは考えなかったが、俺に向かって言ったあの言葉が事実だとしたら……!!
「(俺に………生き別れた兄弟がいる……!?)」
俺は驚きを隠せないまま兵長に確認しようとした
だけど、兵長はすぐに立ち上がると
「……この前の連中がまだ彷徨いているかもしれねぇが、それでも確かめてぇなら自己責任で勝手にやれ」
次も助けが来ると期待しないようにな。と最後に付け加えて立ち去った
「(俺に……兄弟が……)」
それから俺はこの前の男達みたいなのが居ないか警戒しながら、街中を目だけで探した
俺の……兄弟に当たる人は何処か
だけど、開拓途中の土地や兵舎の近くには居なく、ほぼ諦めていた時だった
今、その建物からこっちを見ていたあの女の子……
もしかして、あの子が……?
不思議と俺はあの目が合った子が気になってしまい、その建物に近付いて中を覗いてみると、入り口の付近にさっきの子がいて、俺が来たのが予想外だったのかすごく驚いていた
「……!」
「あっ……えっと、その……」
まさかここまで驚かれるなんて思ってなかったから、俺もどう話したら良いか言葉に詰まってしまう
たしか最初はここに避難してるのか?とか、何処から来たのか?とか当たり障りない事を聞いてそれで次に……
「なんで……遠いとこから俺を見ていたの?」
そんな事を聞いたな。今は兵士の制服ではなく私服のため、一般の女が開拓中の土地に出入りしてると思って珍しく見ていただけかもしれないが……
そしたら……
「母に……」
「?」
「私の母に……似ていたから……」
「っ……!」
そうポツリと呟いて俯いた彼女
俺は可能性に掛けて思い切った事を聞いてみた
「もしかして………君はレイス家の血縁者なの?」
「!?、それは……!!」
やっぱり……この子が……!!
俺が建物に入ってきた時よりも更に驚いた女の子。それはまるで暗闇からの奇襲に怯えているみたいで……
可哀想な事しちゃったけど、その反応で確信した
だから俺はすぐに自分の生い立ちと数日前の黒いコートの連中に殺されかけたのを簡単に話した
「じゃあ、貴女も……レイス家の……」
「うん。信じられないと思うけど、俺も……」
「いえ……私も聞いた事あったので」
次に女の子が恐る恐る自分の話しを始めた
これが………実の妹、ヒストリア・レイスとの出会いだった