兵士を志した少女(後編)


すぐに出陣した俺達はまだ夕暮れ時に巨大樹の森に辿り着く、そしてその奥から何か大きい光が見えた

こちらが出した信煙弾に気付いてライナーかベルトルトが巨人化したのか?だとしたら、まだ彼らは森の近くだから追い付ける

間に合うと確信した俺達は、まだ闇夜になってない森から続々と現れる知性のない巨人達との戦闘を避けながら森の中へ散開した


この森の中にエレン達がまだ居てそこで無事に救出して、ライナー達を捕らえられるなら理想的だ

けど、相手も何か作戦はあるはず。そこの裏をかかれたら……


何事も無くすんなり成功してほしいと願いつつ、戦いは避けられないだろうと辺りを警戒しながら進んでると森から出て広い草原が目の前に広がった



「(ライナー達はまだ森から出ていない…?)」



おかしい……後から追ってきたからにはライナー達の方が先に草原に出てるはずなのに……

そう疑問に思っていると俺の横で何かが光り出し、雷鳴と爆風の凄まじさで顔を背けていると、重く響く足音が遠ざかっていくのが聞こえた



「ライナー達か!…………っ!?」



爆風が止むと同時にすぐにまた草原の方を確認すると

さっきまでは居なかったライナーの巨人化した姿である鎧の巨人が走っていた!そして、その肩にいた小さめの巨人の脊髄からユミルが出てきて……

口からヒストリアが出てきた光景を目の当たりにして思考が停止してしまった





え………あの肩にいるのは牙がある小さめの巨人だから、ユミルの巨人化した姿で……

なんでその口からヒストリアが出てきたの?

あの様子からヒストリアは生きてるみたいだけど……なんでユミルがあんな事を?



もしかして……




「(ユミルはライナー達に脅されてヒストリアを……?)」



考えられるのは……それしかない!!




「ま……待てーー!!」



俺がそう叫びながらライナー達を追いかけると、104期生達が立体起動のアンカーを素早く出して、ライナーに飛び移った!

たしかにあの鎧の巨人化した姿での走りは、馬の速度と立体起動装置を使って追い付けるくらいの速さだ

だけど、もしかしたら体力を温存させて反撃してくるのではないかと俺は身構える


その間にも104期生のある子は必死にエレンを助けようと刃を何度も振ったり、ある子は動揺しながら彼らに事情を聞こうとしたり……各々必死だった



俺もそろそろ加勢しよう。そう思った時に、進行方向からエルヴィン団長率いる大勢の兵士達が巨人の大群を引き連れながらこちらに向かって来た!

ライナー達にぶつけるつもりか……!?

そう分かった俺と近くを走っていた駐屯兵のハンネスさんは104期生達にライナーから飛び降りないと巨人同士の衝突に巻き込まれるぞ!!と大声を上げる


104期生達は気付いて慌てて飛び降りると同時だったかもしれない

ライナーと巨人の大群は激しく衝突し、その走りを止めた

自分達の馬に戻った104期生達は群がる沢山の巨人に行く手を阻まれてるライナーを遠くから恐ろしげに見ていると、エルヴィン団長から奴の足が止まっている今がエレン奪還のチャンスだと声高らかに宣言して俺達に号令を出した


エレン奪還にはミカサやアルミンをはじめた104期生達に任せる事にして俺は……



「ヒストリアーー!!」



沢山の巨人が入り乱れになった戦場でヒストリアの姿を見失った俺はすぐに馬に乗ったまま巨人と巨人の間を潜り抜けながら探した


すると、ライナーの近くでユミルとヒストリアは巨人と戦っていた

幸い、彼女達を襲ってきてる巨人はあの一体だけだが体格は大きめでユミルを押し倒すように食らいついてきた!

ユミルは必死に抵抗している間にヒストリアが立体起動装置を使って高く飛び、巨人を引き剥がそうとそのうなじに刃を入れる!

巨人はあっという間に倒れ、ヒストリアは初めて巨人を退治出来て驚きながらも喜んでいた



「二人とも!!大丈夫か!?」



俺がようやく二人の元に辿り着くと、ヒストリアとユミルは戦いで息切れしながら頷いた



「姉さん!」

「心配したんだぞ……本当に」



そう言った俺の言葉を聞いたユミルは申し訳なさそうに俯いたように見え、俺はすぐ彼女の方を見た



「ユミル……君にも何か事情があったんだろうと分かってるよ。だから気に病まないでくれ」



巨人化してヒストリアを口に入れてライナー達の元へ行ったのを知ったその時はユミルまで敵の側なのか?と疑ってしまったけど、さっきみたいにヒストリアの盾になるように戦っていた姿を見て、やはりユミルは信頼できると判断した

だから必要以上に問い詰めない事にしたし、それよりも今はこの巨人達を何とかしなければならないから………


俺もユミルの隣に立って周りの巨人達との戦闘体勢に入った時だった


馬に乗ったコニーが全速力でこちらに来て、ヒストリアを持ち上げながらエレンが無事に救出されたから撤退だと告げた

よし。それなら急いで撤退しなければライナー達に見つかってしまう……


俺はすぐにまた馬に乗りコニーとヒストリアが乗る馬の後方を見張りながら走ってると、ヒストリアはユミルがライナー達に脅されてる旨を話して自分達は向こう側に行くとコニーに離すように言った

だけどコニーは死に物狂いでヒストリアを助けようとしたユミルが本当にライナー達から脅されてるのか?と疑問に思ったらしく、それをヒストリアに問いかけた

たしかに……さっきユミルはヒストリアを守るために戦っていたからやっぱり信頼できるとそれしか気付けなかったけど、それ以前にそんな事できる人が本当に脅されていたのか……?


俺もコニーの言葉に気付いてユミルの真意を探ろうとしたけど、ライナーが自分に群がる巨人を次々投げて俺達の行く手を塞ぐ

あれは……自分の邪魔を避けてると言うよりも、俺達兵士のエレン奪還を妨害してるようだ


投げられた巨人は俺達に気付くとこちらに向かって走ってきた!

ユミルはそいつらとエルヴィン団長の近くにいた巨人を食いちぎって倒していき道を確保する

これで俺達は早くこの場から逃げなければ……とユミルが作った道を進もうとしたら、前を走っていた馬からヒストリアがユミルの元に飛び移った!

何故今ユミルの元に行ったのか!?と驚いたコニーはヒストリアを「クリスタ!」と呼ぶと、彼女は自分の本名を名乗って、そのままユミルと共に戦う体勢に入る



この時のヒストリアはユミルの考えてる事はどうであれ、人のために生きるのは止めて自分のために生きようと彼女と改めて誓い合おうとした




「(ヒストリア……君はもう……)」



俺は何故か彼女の言葉を聞いて感動あまり涙を流した


ようやくヒストリアは……自分の足で立ち、自分にとって最良な選択をするようになった

他人のためじゃなくて、自分のために生きる……



ヒストリア、本当に……立派に……





その時だった




一体の巨人が横から突進してきてユミルを押し倒し、その衝撃でヒストリアは空中に投げ出される!




ヒストリアはすぐに立体起動装置を使って落ちはしなかったが………




後ろから大きな口を開けた別の巨人が彼女を目掛けて飛んできて……







「ヒストリア!!!危ない!!!」

「え……」