再出発



フリーダは俺と会わなくなってから自身の実の叔父を喰らって巨人化能力を引き継いだ

でもその際に元々外の世界で暮らしていたエルディア人が国を出て遠いこの大陸に壁に囲まれた国を作って不戦宣言をした縛りも引き継いだため、強い力を持ってもただ壁の外へ行かないように守っていただけだった

そこにエレンの父親が現れフリーダの持つ巨人の力で外の世界を救うよう求められたが、不戦の契りで断った後に……互いに巨人化して戦いフリーダが敗れた

……フリーダがここまで予測していたどうかは不明だけど、彼女と共通の大事な子……ヒストリアを次は俺に守ってほしいと言ったのはこの為か



だけど……




「すまない。フリーダ………俺の力不足でこんな結果に………」

「何を言ってるの?ユーリィは私との約束を守ってくれたじゃない」




ヒストリアの側で共に生きながら彼女を守るとか言ったのに、こんなに呆気なく負けて死んだからフリーダは呆れてるだろうと思っていたが首を振って俺に礼を言った



「ありがとうユーリィ。貴女のおかげでヒストリアは無事に前に進んでいるわ」

「本当か……?」



それなら安心だ。そうホッとした時にある事に疑問に思った



「ところでフリーダは何でこんな所に?」



てっきりここは巨人を……人を殺した俺の罰として堕とされた地獄だと思っていたから、フリーダが居るなんて変だと思った



「ユーリィをここから連れ出しに来たの」

「連れ出す?」



連れ出すって……俺はこの深い闇から出られるのか?

そう言いかけた時にはフリーダに手を握られ、「早く行こう」と引っ張られていた



「ちょ、ま、待ってくれフリーダ!俺はここから出られたとして、何処に行く事になるんだ?」



色々聞きたい事があるけど、まずはそれだ

そしたらフリーダはにっこり微笑みながら答えた



「私達が元居た世界にはもう戻れないけど、ユーリィにはもう一つ帰れる世界があるでしょ?そこよ」

「何……!?」



ヒストリア達の元には戻れないだろうなと思っていたけど、まさか別世界へ行く事になるなんて

しかも、俺が帰れるもう一つの世界って……俺が知っている所ならもしかして日本?………翔君の居るあの世界?



「い、いいのかなぁ………俺が生き返りだなんて。人斬ってきた上に家族との約束すら果たせてないし………」

「そんな事ないぞ」

「え?」



不意に後ろから声をかけられて振り向くとそこには……



「と、父さん?母さん……?」

「久しぶり。ユーリィ」

「立派になったわね。本当に驚いたわ」



そこにはユーリィの両親が居た

あの時、俺を守るために黒いコートの連中に立ち向かって死んでしまった育ての……かけがえのない両親が



「父さん!母さん!ごめん!俺は……」

「謝るのは母さん達の方よ。貴女を悲しませてしまって本当にごめんなさい」

「ユーリィはよく頑張った。父さん達の誇りだよ」



罪悪感なのか再会した嬉しさなのか、涙が止まらなかった

俺のせいで両親は沢山の苦労や殺される苦しみを味わったのに、俺に恨み言を一切言わないで抱き締めてくれるなんて……

両親の優しさに号泣してると、二人は俺に話し始めた



「ユーリィは必死に父さんとの約束を果たそうとしてくれたし……これから果たしてくれるだろうと信じてるぞ」

「え、それってどういう……」

「向こうの世界には海があるんでしょ?母さんも見てみたいわぁ」



たしかに……あの世界には海がある。食べた刺身とか水族館で海の存在を確信したが、まだ海そのものには行ってない

これから向こうの世界に戻って海に行ったとして、それで両親の願いが叶うと言えるのか……?



「私達の魂をユーリィに託すわ」

「これで、向こうの世界に転生できる」

「……!」



難しい事はよく分からないけど、そう言う原理で俺は向こうの世界に行けるのか

そして、両親の魂を持った俺が海に行けば……!



「貴女は戦いを通して命の事。そして相手を許す事を学んだ強い人よ。それを向こうの世界で生かすべき」

「フリーダ……」

「貴女のご両親が言ったようにお二人の魂と貴女の魂を合わせれば、向こうの世界に転生できるわ」

「転生……」



そう言う事か。ただの生き返りじゃなくて向こうの世界で生きていけるように……転生するのか

それを理解した時、両親は頷くとその姿を光の球体に変え、俺の元に飛んできた

光の球体……両親の魂がゆっくり俺の身体に入ると、不思議と優しい暖かさに包まれる

そして段々と元気と活力に満ち溢れ、以前の時のようなわくわく感も湧いてきた

今なら、行ける!こんな俺でもまた生きていけるチャンスがあるなら………



「これで一緒に行けるね……行こう!フリーダ」



身体に入った両親の魂に呼び掛けた俺は、フリーダに案内してもらうよう頼む



「ええ。こっちよ!」



そして、俺はフリーダに手を引かれながら暗闇の中を走った







「(しかしな………俺、翔君に対して何か忘れてる事がある気がするけど……ま、いいっか!)」