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「花火の贈り主からですね!」



明智さんの言葉に頷いた金田一君が携帯を手に取り、犯人に再度犯行の目的を聞く。すると何か思いもしない事を言われたのか驚いた表情になった


そして、しばらく話を聞いていたけどまた一方的に電話を切られたようだ。それを近くで聴いていた剣持さんも焦った様子で「3号室っていったら、たしかあのバラのダンボールが…」と犯人の言った事を思い出す

どうやら、この列車のどこかに何かを仕掛けたような事を言われたらしい

爆弾の次は一体何が………








「きゃあああああああ!!」




その時、列車内に女性の悲鳴が響き渡った!


何事かと思い、急いで悲鳴が聞こえた方に行こうとしたら、同じく悲鳴を聞いた魔術団の人達も何人か居て一緒にその方向に向かう

進んで行くと、ある一室の前に座り込み顔を真っ青にして震えている女の子……新人マジシャンのさとみさんがいた



「さとみさん!何があったんですか!?」

「あ……あれ……!!」



震えながらも部屋の中を指し示したのを見て、その指した先を辿って見ると……




「なっ…!?」





私は驚き言葉を詰まらせ、部屋の中にあったものを凝視してしまう

部屋全体を埋め尽くすのは真っ赤な薔薇と色とりどりの風船

まるでパフォーマンスやイベントをするときのステージ飾りみたいなその場の中心に、似つかわしくないもの……否、あってはならないものがあった



それは……こめかみにナイフが突き刺さって絶命している幻想魔術団の山神団長だった!




私と同じくこの悲惨な現場を見てしまった人達は絶句してその場に固まってしまっていると、剣持さんは今度こそ犯人は本気で殺人を犯した事に怒り、起きてしまった惨劇を悔やんでいるようだった

そしてすぐに団長の死体に近付いて確認しようと、目の前の薔薇を払って進もうとしたけど、あまりに沢山の薔薇が敷き詰められてるため密集した刺がその行く手を阻み、剣持さんを苛立たせた

なんとかしてこれを退けないと…そう考えていたら突然、横たわる団長の周りから何かが吹き出す音と共に白い煙が立ち込める



「ん…な…何だ?これは…!?」

「ま…まさか爆弾!?」



誰かが「爆弾」と言ったのが聞こえて、今度こそ本当に爆弾が仕掛けられてる!と私は焦った

同じ事を思った周りもパニックを起こし慌てふためていると、「みんな逃げろ!早く向こうの車両へ…!!」と言った剣持さんの言葉で一目散に逃げていく


そして、私達も急いで避難しようとしたけど…すぐに扉の向こうから部屋の中で何かが破裂する音がした!



「伏せろ!」



間に合わない!今爆発する!と思った私達に剣持さんが咄嗟に身を低くするよう大声をあげる

慌てながらも私はその場に伏せて破裂音を恐る恐る聞く

破裂音は大きく激しくなり扉が破かれるかと思っていたが、音の大きさは変わらず何発か軽い破裂音を出して………静かになった


思えばさっきの音はまるで列車を止めた時のように花火の音だったんじゃないか?と不審に思った剣持さんと金田一君が警戒しながら部屋のドアを開けてみると……


「え……!?」

「ない…!!」

「山神団長の死体が消えている!」



あの薔薇の中で目立っていた黒いスーツ姿の山神団長の死体が……忽然と消えていた!


これは一体どういう事なのか……部屋中探してみても人を隠せそうな所は見当たらない。恐れながらもその様子を一から撮影している佐木君も声を震わせながら金田一君に何でこんな事になったのか聞いていた



「どうした!?一体何の騒ぎだ?」


するとここで騒ぎに気付いた由良間と桜庭さんも何事だと聞きながら駆け付けてきた



「い…今そこに、山神団長の死…死体が…」

「何だって!?」



高遠さんが由良間達に先ほどまで山田団長の死体があった事を説明したけど、何も無い一室に由良間が見間違いじゃないのか?と怪訝そうな顔をする

たしかに今はないけど、さっきまであった事とこれは見間違いでもふざけても無い事を証明するために私と千鶴とさとみちゃんは本当に見た事を訴えた

それでも納得いかずにワケがわからないと眉間に皺を寄せる由良間。するとそこに何故か笑いながら何かに納得した様子の左近寺さんが来る



「何がおかしいんですか左近寺さん!?」

「俺達は山神団長の新しいマジックにすっかりだまされたってワケよ!」

「あ…あの人の新しいマジックですって?」

「そっ!薔薇の花に包まれてコツゼンと消える―――なんてやるじゃん。あの人も」



緊迫した空気の中、誰もがさとみさんみたいに不謹慎だと怒りそうになった時に左近寺さんはこれはマジックではないか?と言い出して、その意見に何人かが驚いたり「そうなのか?」と納得しそうになった……



「ーーーそれはどうでしょう?」



しかし、そんな考えは明智さんがバッサリ切る



「このコンパートメントからは煙と薔薇の匂いに混じって……微かですが血の匂いがします」

「血!?」

「それにさっきの男の死体はどう考えても作りもんじゃねえ!」



さすが警察。こういったのには見慣れているためか、さっきのは間違いなく死体で、たしかにこの場にあったのを断言した



「な…何だよ!エラソーに言い切っちゃって!あんたら一体何モン!?」



私達と違いはっきりとした言い分を聞いた由良間は剣持さんと明智さんは何の根拠でそう言えるのかと何者であるのか問うと、二人は警察手帳を出して見せる



「警察の者ですよ」

「捜査一課だ!殺人は俺たちの専門だ!!」



二人は共に自分達は警察と名乗ると、魔術団の一部の…左近寺さん、由良間、夕海さんはビクッと体を一瞬震わせ「け……警察……!!」と目を見開いて驚いた


ん?……たしかに警察と聞けば私達も驚いたけど、あの驚き様は……まるで悪事がバレるのではないかという後ろめたさを感じる


そんな一部のメンバーとは違い、高遠さんは少し驚きながらも何故警察がこんなところにいるのか聞く

剣持さんは私達に説明したように警視庁宛に脅迫状が来た事を話し、爆弾騒ぎと殺人が行われた事に対して「イタズラにしても少々度が過ぎている!」と怒りを露にした



「終点の死骨ヶ原駅で列車内のチェック及び荷物検査をする!!乗客は全員小さな手荷物だけ持って外で待つように!!」



犯人はまだこの中にいるだろうと考えた剣持さんは乗客全員の荷物検査をすれば消えた死体か何らかの証拠が出てくるだろうと思い、今度こそ犯人を逃がさないと意気込んだ



すると窓から霧が立ち込める風景の中に大きな建物を見つけた。あれが――終点の死骨ヶ原か





列車から降りた私と千鶴はさっさと荷物検査をしてもらい、駅のホームからまだ続く検査の様子を見ていた



「金田一君達は?」

「まだ調べる事があるから、しばらく列車にいるって」

「そっか…」



ただの高校生だと思ってた彼らも何度かこういった事件に遭遇してるせいだろう。警察とこうして連携を組めるなんて凄いな。それにしてもあの消えた死体は何処に……そう不気味に思いながらもステーションホテルの中に入ることにした


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