07
ステーションホテルの内装はそれなりに豪華で綺麗で広々としており、支配人の長崎さんに案内された客室の窓からは……
霧に包まれた寂しげな風景の中にドーム場の建物が見える
「あれは……なんだろう?」
「ん〜集会場かな?」
千鶴とあれは何なのか話していると、長崎さんが声をかける
「あちらは劇場でございます。パフォーマンスをされる方々がよくツアーやリハーサルでご利用されるんですよ」
「へ〜……」
「そして今頃になると、あんな事があったのにも関わらずお構い無しに来てくださる魔術団がおりまして……」
「え……?」
丁寧で穏やかだった長崎さんの説明。だけど、その最後に「あんな事があったのにも関わらず」って、突然何を言い出すのかと驚いて聞き返したけど、ハッと我にかえった長崎さんは「今のは失言でした。申し訳ございません」と私達に謝った
そして、案内や説明が終わって早々にフロントに戻ろうとしたところを私は呼び止めて食い下がる
「あの、長崎さん。もしかして、あの劇場は何か不慮の事故があったんですか?」
「……申し訳ございません。次のお客様を案内しなければならないので、失礼します」
長崎さんは私の問いかけには答えず、そう言って部屋から出て行った
あの反応は……
「(間違いない……ここは幻想魔術団に関する嫌な事件があったんだ……)」
私はずっと考えていた
剣持さんと明智さんが警察だと知った幻想魔術団達のあの反応
そして、彼らに対してトゲのある言葉で話す長崎支配人と、生きたマリオネットを話していた時の明智さんの鋭い視線
これらから思い付くのは……
「(近宮さんの死は……弟子である幻想魔術団が絡んでいるかもしれない……)」
あくまで憶測と勘でしかない考えだけど……
それに、そうだとしても今回の爆弾予告とかの犯行と何か関係があるのかは分からない
かつて嫌な事があったホテルに今回は不気味な事件が起きた。そんな因果関係のない異なる事が重なるなんて偶然はあるのか?
…………
「(やめよう。こんな事考えたって答えが分かるはずないもの)」
こうした不透明な事件を早く解決してほしいために、私まで考えたって役に立つかどうか分からないし、何より……
自分の事で、ずっと手一杯だからね