激突!紫色の運命の出会い!?



「キミが人質になって、ガルバンゾ国の星晶を渡してもらえれば多くの人は血を流さずに済む。ガルバンゾ国民の命は今、キミの手の中にある。どう?命って重いのかな?」



そして、サレに話しかけられてるあの女の人は………ヴェスペリアのエステル!


あの様子じゃ、サレはエステルを脅して誘拐しようてしてるみたい………!




「サレだ…!ねえ、あの女の人が危ないよ!」

「ガルバンゾ国の王女、と聞こえましたが………なぜここに………?」

「わからない………星晶狙いな事は間違いないだろう」

「何て奴だ!あの人を助けよう!」



この状況は見過ごせないしエステルを早く助けよう!と皆同じく思ったけど、シングとヴェイグはすぐにその場に向かってしまった



「あっ。シングさん!ヴェイグさん!正面から行くのは危険ですよ!!」

「そうだよ!ミントの言うとおりだぞー!…………あーあ、もう間に合わないっか。仕方ない。俺だけでも裏から回ってあの女の人を避難させる」

「大丈夫ですか?もし見つかってしまったら……」

「大丈夫っ!ヴェイグ達が上手くあの紫の気を引いてる間にやるから!」

「あの紫…………わかりました。無理はしないで下さいね」



サレの事を紫呼ばわりしたのを苦笑しながらミントは俺の作戦を頷いてくれた


この作戦、エステルの身の心配もだけど………実は俺自身がサレと直接対決しないように、あえてサポート役に回るために提案したんだ!

ごめん!皆………俺は普段から女っぽいのが苦手だとか言ってるから「こんな時に恋する乙女になるなよ!」ってバッシングが来そうだけど、今だけ!今だけのサポート役だから許してっ!


そんな俺の邪な気持ちに気付かないミントが先に駆け出した二人を追って行くのを見送ってから、俺も遠回りに動いて追った








「退け…」

「やあ、ヴェイグ。お久しぶり。キミの事はよく覚えているよ。僕に刃向かい、村を捨てて逃げたドブネズミくん」

「くッ…」



勢いのままサレの前に現れたヴェイグ達

だけど、サレは特に驚くこともなく、新たに弄り甲斐のあるのが増えたと楽しんでいる様子だ



「逃げなければ、僕の玩具になれていたのになぁ………残念だ。でも、再会出来て嬉しいよ。ここでキミをズタズタに弄んでやれるんだもの」


「(うわぁ……やっぱサレはリバースのままだな)」



俺は皆から見えない場所の草むらから、そっと様子を見ていた

悔しがるヴェイグを煽るためでもあるし本心から思ってるのを言ってるのがなんとなく分かる。元ネタのリバースと変わらずドSの通常運転だな。って悪い意味で関心してしまった



「僕に剣を向け、傷を付けた者なんてキミが初めてだからね!!」



サレがそう言って剣を構えたのを合図に戦いは始まった




「裂破衝!」

「ウィンドエッジ!」



まず、誰よりも早くサレに大剣を振りかざそうとしたヴェイグだったけど、素早い風の術に遮られてしまい、先手を取られてしまう

だけど、ヴェイグも負けじと必死にガードをする!




「(おおぉ…………これが生のヴェイグVSサレ………!)」



ゲーム画面とは全然違うリアルな世界で自分の目で見るヴェイグとサレの戦いは…………


もう、本当に水色と紫のアイストーネードだっ!!!語彙力崩壊してしまう程すごいっ!!!



「(って、いけねぇいけねぇ。自分のやるべき事に集中しないと)」



悔しいけど、うっかりこの戦いに目が釘付けになりそうだった

忘れちゃいけない。俺はサレがヴェイグ達の方を見てる隙にエステルを安全な所に避難させる作戦を遂行中だ

だから、ただ眺めるんじゃなくて、ちゃんと戦いの動きを見ないと……





「シャープネス!」

「翔星刃!」

「っ!?」




ミントの強化法術を受けたシングの一撃がサレにヒットした!



「(よし!今のうちだ!)」



この隙に草むらに隠れながらエステルの元へ移動しないと…………と、その前に



「(バレた時の事を考えて、変装した方がいいよな……)」



草むらから出る前に顔を隠そうと、何か良いものがないか鞄の中を探した



「(…………あ!これは!)」



そしたら、あのトリップする前に祭りで買った狐のお面が入っていた

このお面は顔全体じゃなくて額の上から目の下までの半分を覆うタイプで、色は黒を主体に赤のラインだからカッコよくて一目惚れして買ったものなんだよなぁ〜

よし!これ丁度良いな!


と、いうわけで、黒狐のお面を被って草むらから出た






「あのー………大丈夫すかー………?」

「っ!?、えっ!だ、誰です………!?」

「しー!静かに!」



ゆっくりエステルに近付いて小声で話しかけたら、まぁ驚かれる

そりゃあ仕方ないよな。いきなりお面をした奴が現れれば驚くし怪しがるよな〜

でも俺は何とか静かにしてもらって、横目でヴェイグ達をちらっと見ながら話した



「俺はあの紫野郎と戦ってる3人の仲間だ。みんなアドリビトムのメンバーだから安心しろ」

「アドリビトム………船を拠点にしてるギルドの方達ですか?」

「そう!君を助けに来たから安心して」



お面から出てる口元でニッと笑ってみせる

そんな俺を見てエステルはまだ警戒したままの緊張した表情だったけど、頷いてくれた



「よし。なら、ここから離れた所にーーー」



隠れて。そう言い終わる前に


ビュンッ!!と風を切る音が耳の近くを通り過ぎたと思ったら


俺達の目の前の木が真ん中から横に斬れ、木の擦れる激しい音を立てながら道を塞ぐように倒れた!!



「きゃっ……!?」

「なっ……!!」

「そんな裏で何してるんだい?」



俺達が立ち尽くしていると、後ろからサレの声が聞こえた

この台詞的に考えたら………俺に向けて言ってるよな………



「(うげっ………こんなに早くにバレるなんて最悪だ……)」



恐る恐る後ろを向くと、サレが剣を構えたままゆっくり俺達の方に近付いてくる



「もう一匹仲間が居たなんてね。でも残念ながら君が信じていたヴェイグ達はご覧の通りさ」



言われてサレの後ろを見ると、重症で地に倒れてるシングと彼を回復させようと術を唱えるミント、そして剣を支えに無理に立ち上がろうと荒い息を整えるヴェイグの姿が見えた

そんな………ヴェイグ達が………!



「君もあんな風になりたくなかったら、王女様をこちらに引き渡すんだ。拒否した場合は……」



容赦しない。と言うようにまた軽く風の術を俺の横ギリギリに放った


………正直言うと怖い

さっきまでサレに秘かに寄せてた想いで焦がれていた自分が馬鹿だと思えるくらい

彼は………冗談無しに残虐で強い

優勢に見えてたヴェイグ達がやられてしまったのもあるけど、今まで俺は魔物としか戦った事なく、人の戦うのは初めてだからか短剣を握る手が震える



でも、俺のわがままから出た作戦を信じて任せてくれたヴェイグ達の為にも


何より、怯えているエステルを置いて逃げるなんて………したくない!!

俺は手の震えを振り払うように、短剣をサレに向けて突き付けた



「嫌だね!そんな強引なナンパで王女様を口説けると思うなよ!!」



自分自身を奮い立たせる為でもあるし、怖じ気ついているのを気付かれたくない為の精一杯の強がりだ

そんな俺の言葉を聞いたサレは小馬鹿にするように「ふぅん」と一言で片付けた


うぐっ………俺だって戦えるんだ!甘く見んなよ!



「あの、王女様………俺が奴の気を引いてる内に逃げてくださいね?」

「え?そんな……あの……!」



小声でエステルにそう言って、彼女の返事を聞かないまま俺は一歩出て戦闘開始した!



「くらえ!ボムスロー!!」



フィリア直伝の爆発する薬品入りの瓶をサレに向かって数本投げる!

これだけ投げればどれかに当たると思うし、爆発で出た煙で向こうもこっちが見えないはず

だから、エステルの逃げられる時間を稼ぎながらの攻撃で………



「フフ………そんなので目眩ましになると思った?」



………なんて、俺の甘い考えは、額に走った衝撃と共に切り捨てられた



「きゃっ!?」



つい女らしい声が咄嗟に出てしまう程、驚いてしまった

てっぺんから顔を斬られたと思ったら、被っていたお面だけがスパンッ!と真っ二つに割れて地面に落ちた



数本のボムスローが爆発して巻き上がる土埃と煙の中から俺の位置を把握して斬り付けてくるなんて………いや、当てずっぽうで斬ってきたかもしれない


どちらにしろ、何処に居るんだ?


辺りを見渡してると



後ろからいきなり肩を掴まれた!!
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