激突!紫色の運命の出会い!?





「っ!?」



背後に居るなんて!

前方ばかり気にしていた俺は、掴まれていた肩からあっさり後ろに引っ張られる

そして、背中から木にぶつけられ、その場に座り込んでしまった



「いだだだ…………」



クソッ………ここまで力があるなんて

地味にくる痛みを耐え忍んでいると、前からゆっくり足音が近付いてくる



「へぇ。そんな顔をしていたんだ」



土煙の中からサレの姿を認識出来たのは、奴が俺とかなり近い距離に来た時

座り込んでる俺に対してサレは屈んで顔を近付けて、俺をまじまじと見る



「(や………やめろ!!ち、ちちちち近い近い近いぞ!!ヤバっ!!!)」



お面の取れた顔を見られてるだけなのに、今のこの気持ちは何だろう?絶体絶命の恐怖での緊張なのか、惚れたキャラの接近で照れからの緊張なのか……

どちらにしろ、その場に固まってしまっている俺はサレにされるがまま………あ、駄洒落じゃないぞ

なんとかしないと。そう考えていると


サレは何故か目を閉じて、ゆっくり顔を近付けてきた




「(っ!!、はぁ!?ま、まさかこれって……!!)」




この動作は………く、口同士でする………あれか!?

そんな!いきなり……!!


だけど状況を思い出せば、そんな事をする雰囲気じゃないし、そもそも付き合ってるわけじゃない男とするなんて……!



「(いくら、好きなキャラだからって…………そんなの嫌だ!!)」



俺はすぐに横に逃げ、痛い背中のまま立ち上がってサレの背後から攻撃を仕掛けようと短剣を振った!



「!……痛っ!!」



しかし、俺が攻撃を当てる前にサレの素早い一突きで左太腿の端を斬られてしまい、立ち上がった体勢をまた崩しその場に尻餅ついた

痛い。そして、切り口が熱い……ドクドクと血が流れ出る



「大人しくしていれば、こんな事にはならなかったんだよ?」



動いた俺が悪いような口振りで、サレは冷たく笑いながら見下ろしていた



「どうせ君はここで僕に殺される運命だから、死ぬ前に女の子としての良い思いをさせようと思っていたのに……その善意を無下に振り払うなんてね」

「お、女として、良い思い………?」



続けて言った奴の言葉に、俺はイラッとした

死ぬ前に女としての良い思いをさせる?



…………はぁ?戦ってる最中なのに、俺をそんな風に見ていたのか?



「君、見たところ男性経験無さそうな反応したから、そう判断したけど………まぁそうだよね。顔を隠して身を潜めてる子に靡く男がいるはずないよね」

「なっ!………今、それ関係ねーよな?戦ってんのに男も女もねーだろ!?」



たしかに、隠れて裏から手を回そうとしたけど、なんでそれで喪女認定されるんだ!?………事実だけどさっ!

でも、意を決して前に出て戦ってるつもりなのに、相手から力のない女扱いされた上に馬鹿にされるなんて悔しい………!!

俺はそんなふざけた事を言わないで真剣に戦え!とサレを睨む



「ふぅん………そこまで言うならさ」



サレが構えていた剣を鞘に収めたと思ったら、急に俺の流血してる左太腿を踏みつけた!



「いだっ!?」



おそらく、逃げられないようにするためと傷口をじわじわ責めて苦しませるためだ

うぅ………これがサレの冷酷さか………

奴の望む事はしたくないけど、あまりの痛さに苦悶の表情になってしまうし「うぅ……」と情けない声を上げてしまう


そんなサレは、俺がすぐに立ち上がれない状態だろうと判断したのか踏んでいた脚を下ろし、屈んで俺の顔を覗き込みながら………






「せめて、僕と同じくらい動けるようになってから言いなよ。化粧しないで贅肉溜めてる暇があるんだったら、それくらい出来るよね?」




そう小馬鹿にして笑いながら、戦いでボロボロになった上着の隙間から出ていた俺の脇腹を掴んだ





………………




……………たしかにね。たしかに俺は食べるの好きだし、好きなものは腹一杯食べるから、デブになっても仕方ないし自分でも自覚してるよ

だけど、こんな………


女だからって見下して馬鹿にする奴から………

ちょっといいなぁって思ってた人から指摘されるなんて…………!!



なんだろう………怒りが沸いてきているせいかな?

身体が熱くなり、なんだか痛みが気にならないくらい力が溢れてくるようだ……!!それに俺の周りに光が舞ってるような……気のせいか?




「?」



どうやら気のせいではないみたいだ。俺の様子が変わったのに気付いたサレは一歩離れようとしたけど………

奴の首元のスカーフをむんずと捕まえてやった




「っ!?」



そして



「ふ……ふ………








ふざけんなああああああ!!!!」






バチィィィィンッッッ!!




怒りのメーターが一気に上昇した俺は、怒鳴りながら力任せにサレの頬を目掛けて思いっきり平手打ちすると



まるで、重力を失ったようにサレの身体は平手打ちした方向通りに飛ばされ、木に衝突して地に倒れた



「ぐはっ………!!な……なんだ……?」



さっきの俺と形勢逆転だな

今、何が起こったか理解が追い付いていないサレは、叩かれた頬に手を添えながら困惑した表情を浮かべている

俺はすぐに奴の元へどかどかと近付き、胸ぐらを掴んだ



「さっきから黙ってりゃ勝手な事ベラベラベラベラ言いやがって!!じゃあ俺から言わせてもらえば女は誰でもキスで落とせると思ったら大間違いだからな!?そんな事も知らねーで自信満々で迫ってくるなんてお前馬鹿か!?たしかにお前は顔は整ってて俺のハートを掴んだけども!!それだけで良い気になるなよ!!」




怒ってる内容は聞いていようが聞いてまいが関係ない

俺は喪女なのを馬鹿にした事と、人が一番気にしてる体型を指摘された屈辱を晴らしたいから、怒ってるアピールをしたいだけ



「だいたいお前は俺の何を知ってんだよ!!わかったように言いやがって!!俺はそういう奴すっごく大嫌い!!どのくらい嫌いかってば、邪◯に呪われろ!って本気で願うくらいだ!あと裏◯区とかきさ◯ぎ駅に飛ばされて八◯様とか姦◯蛇螺に食われろ!!リン◯ォン!!猿◯!!」

「え?な、何?………うらえす?………はっしゃく?」



もうキレ散らかした俺は何が何でも怒りたくて、最後は洒落にならないくらい怖くて有名な話のタイトルを並べて言う事しか出来なかった

俺の怒りにサレはずっと呆気にとられていたけど、流石にわからない単語が出てきて「なんだそれは?」と首を傾げているけど、怒りの暴走は止まらない!




「お、おい、レン。そろそろ、その辺で良くないか?」

「えっ!?」



不意に、後ろから肩を軽く叩かれてそっちを向くと、いつの間にか回復して立ち上がっていたヴェイグがこの状況に少し引き気味な様子で俺に静止を呼び掛けており、シングは唖然としながら黙って見てて、ミントはエステルに「もう大丈夫ですよ」と声をかけていた




「う、うわー!!ヴェイグ!皆!もう動けるようになったの!?なーんだ!もう〜そうなら早く言ってくれよ〜!!俺こんなみっともない姿晒しちゃってヤバいじゃ〜〜ん!!」



まさか、皆回復する時間がこんなに早いなんて

てっきり時間かかると思っていたから、時間稼ぎに必死で周りが見えなかった〜!

普段から口が悪い俺でも、流石にあんな暴言の雪崩みたいな事は言ったりしないから、純粋に恥ずかしい

たはは……と誤魔化すために苦笑しながらヴェイグ達の元に駆け寄り、サレから離れた

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