記録 4分33秒のテディベア2021/02/11 愛から君を奪ってく‖生きているうちで君に幾つの不安が乗り移るのでしょう。泣いてるうちで君に幾つの虚無が増殖していくのでしょう。沈黙のうちで君の幾つの傷みが殺され行くのでしょう。そして幾つの愛に課せられるのでしょう。わたしは考えないことにします。何故ならばそれらはきっと君を判断するのに重要ではないから。 そしてそうでもしないとそれらはわたしをも呑み込んで行くのですあなたの存在よりも大きく肥大して。だからわたしは泣き崩れてしまってあなたの泣く暇がなくなる位にあなたの憂鬱を奪ってしまうからわたしはそう言う人間なのです 2021/02/10 みんなどうぶつ本能‖草原はただどこまでも続く山と草しかなかった。生物の吐息も、色を散らす植物もこの世界には居ない。この中なら私はゆっくり息を吐く頻度を減らしてゆけるのではないか、と不覚にも思えるのである。 2021/02/09 過ぎた約束ほど忘れないで、先の約束ほど忘れてしまう。思い出せないなんて、そんな悲しいこと言わないでよ。‖黒ばかりに身を包んでいるのに誰もが変わっていて、でも没個性だ。 溶けてゆく思考の片隅で理性が私を引き止めた 目は、まだ閉じちゃいけない。 2021/02/08 私がいない‖責任は誰がとるのだろう。お互いが悪かったと零す口の中にある、私は全然悪くないという言葉。あの人が全部悪いのに、どうして私はいつまでたっても彼を庇っているのだろう。どうして、そうして傷ついているのだろう。 2021/02/07 おめでたいなあ。そう言った私の顔はちゃんと笑えていただろうか。唇が震えて、弧を描けない。‖ぎゅっと握りしめたスカートに皺が出来る。悔しい訳でも悲しい訳でも、況してや辛い訳でもない。けれど涙は止まらなくって、ぼとぼとと紺を濃い色に変えてゆく。心もスカートも皺くちゃになって、それでいっそのことゴミ箱に捨てることができればどれだけ楽なんだろう。 2021/02/06 背中を撫でられたような、すっとした冷たさが体を支配する。後ろを向かずともわかるその声の主に私はどうすることも出来なくって、ただ息を呑んだ。‖感傷に浸るのはいくらでも出来た。思い出だけは綺麗に鮮明で、それでいていつだって私を優しく包み込んだ。私に優しいのは記憶だけで、それに縋って生きるしかもうないのだ。ずっと大事に抱えたそれを捨てるのはきっと簡単なことだった。だけれど、捨ててしまえば私は誰に優しくしてもらえればいいのかわからない。 2021/02/05 嘘だけど‖両手が足りないから足も足してみたら、やっぱりそれでも足りなかった。失ったものばかりを数えて、いくつ夜が明けたんだろう。けれど、わたしは哀しくなんてない。目に見えない貴方が私のそばにいてくれてるかもしれないから、失ったものは私の手の内にあるかもしれないから。だから私は哀しくなんて、ないよ。 2021/02/04 あの星はもう消えたんだよ‖何十光年先の星が死んだらしい。望遠鏡で見ても存在するし、肉眼で見ても存在する。けれどその星はもう散り散りになってしまって、きっと私たちが忘れた頃に空からなくなってしまうのだ。星が亡くなる夜に、私たちは空を見上げても笑っていられる。けれどずっと過ぎた後にそれを知って悲しむだろう。見えるものは難しい。見えないものも難しい。指折り数えても守りきれない、失われたものが、人生でいくつあるのだろう。 2021/02/03 四季を纏う‖目に見えるものが全てじゃない。私たちが見ているものは、大抵私たちの脳が勝手に改変したもので、本来そのものの形や色ではないのだ。星の光だって、太陽の輝きだって。私たちが普段見慣れているそれらの何一つ、本当の姿を知らない。 2021/02/02 牡丹に足枷‖どうしても上手くゆく未来が想像できなくて、自分が今何をすべきかわかっていても行動に移すことができない。世間に甘えている癖に、どこか冷たさや鋭さを知っているから、私はいつまでたってもウジウジとしかできない、進歩のない人間だ。 ;prev or next ☂top page |