落としたトーストがバターを塗った面を下にして着地する確率は、カーペットの値段に比例する

2021/05/11
小さな王様‖君は覚えていないかも知れないけれどね、学生の頃、名前の由来を話してくれたことがあったろう? 君は「僕の家では代々、星や星座の名前を付ける習わしがあるのだけど」と言って話し始めたんだよ。うふふ、そんなこと、誰でも知っているのに! だけど、あの時、この人が僕の一生の友になるのだと確かに分かったんだ。
君は今でも、驕りのない清々しい男さ。



2021/05/10
悪魔‖人と違う?君が?どれ。目が二つ、鼻が一つあって、唇はふっくらとしている。君が悪魔や怪物には見えないな、普通だよ。だが、君の瞳は辰砂の色だ。毒がある。人を魅了する毒がある。さあ、僕はドアを叩いた。君が招き入れるんだよ。キスしてもいい?


2021/05/09
envy‖人は様々な想いを産み落としては他者に与えることで生きている。何十年も孤独だった彼は、誰かに与えるはずだった荷物の重さに耐えられず魂を切り捨てた。与えきれない苦しみから解き放たれるための、僕はある種の装置だ。彼が求めて、僕が受け入れる。


2021/05/08
告解‖天にまします我らの父よ。主は平行線の交わる地点に住み給うか。主は無限を数え給うか。主はカルピスを作られるとき、原液四十ミリリットルに対してきっかり百六十ミリリットルの水を加え給うか。主よ、主のいつくしみに信頼して、私の罪を告白します。


2021/05/07
病床にて‖目覚めると泣き腫らしたあの子の瞳が私の視界いっぱいに迫った。よく見れば鼻の頭を真っ赤にして不細工な顔をしている。ああ、きっと私は永遠に、宇宙の終焉までも、お前ただ一人のものだよ。私は今から、本当の意味で生きることを始めるのだ。



2021/05/06
綺麗な人‖母は宝石が好きだった。好きと言っても身に着けたりせず、ただ床にばら撒いて眺めるだけであった。僕は目覚めて、宝石が散乱しているのを見ると恐ろしくなる。母を思い出すからじゃない。ただ、きらきらと光る宝石を、訳もなく美しいと思うからだ。


2021/05/05
才能‖慎み深い占い師だけが長生きする。慎み深いとはどういう意味か分かるかい。占わないということだよ。予言は人間の分を超えている。本物の占い師は若死にする。僕は母のように発狂して死ぬのだ。真の才能を持って生まれた者は、大きな代償を支払うのさ。


2021/05/04
髭が生えているわ。坊や、この人は、明け方に亡くなったんでしょう。‖僕が恐れるものは死ではない。ただ後から、死んでも構わないくらいの人間だったと言われることが恐ろしい。


2021/05/03
「起きろマリー、外はおぞましいほどの光」‖あの人は静寂であり喧騒であった。あの人の熱くも冷たくもない体を抱いた。私は目に見えない幸福に満たされていた。だから、あの人が偉大な魔法使いだと信じたい。誰にも与えられなかったものを、その手で創造する魔法使いであると。


2021/05/02
君が嘘が罪だと言うのなら真相は葬ってしまえば良いだけの話さ。すれば嘘は真実へと変わるのだから‖主よ、あなたが、あたしの犯したこの罪さえ許してくれるほどに慈悲深くどこまでも寛容な底無しの馬鹿でありますよう、アーメン



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