"6EQUJ5"のための三時のおやつ

2020/05/09
分け合ったイヤホンで聞いた雷鳴のこと‖輪切りにされた愛を、様々な角度から見る。
味気ない本を連想。
それはまるで、明け方の床に沈殿した凍土のような空気。
しおれたフーセンガムのチープさをも持っている。



2020/05/08
予防接種のあと・台風・音痴な信号機‖メリッサのかおりをかかえた、水中のような声色をした人だった。古くなったキャンディを、奥歯でそっと殺す。やめておけと言うくちびるがやけにいやらしかったのを、昨日のことのように思い出しながら。


2020/05/07
カーテンの向こうの国‖裏切りの乙女が夜をゆく、剥がれた空をリップに重ねて、落ちた星屑を髪に飾って、墓標みたいな電柱の上を踊るようにスキップしながら。戻れない夢に身をゆだねよう、ここが現実だと教えたのは誰?君にとっての世界はここ?夜が明けるまで一人きりでパーティーしよう、誰かと一緒じゃ生きられないんだ。


2020/05/06
むしけらの歌‖あなたの涙はガラス製。もろいものこそすぐに踏み砕きたくなるのはやまいでしょうか。大事に持っておくのは怖いので、壊れてしまう過程を見守るのは恐ろしいので、その細い首も、薄い羽も、華奢なあばらも、握りしめてめちゃくちゃにしてしまいたい。星も見えない夜にあなたを壊して、笑う私の顔は鬼。


2020/05/05
漁師町で暮らそう(あとそれから)‖墓標みたいな月。眠っている時だけは自由でした。長く骨っぽい君の指先は優しくて、どうしようもなく憎らしいと思うこともあります、内緒だけれど。今この刹那のために生まれてきたって、そう言い切れる時に心臓が止まってくれたら。僕らは残り時間を知らない爆弾。海が満ちても思い出さないで下さい。


2020/05/04
悲しくていいよ‖罪のない約束をしよう、何も信じられない君が泣かなくて済むように。僕らにはこの瞬間しかない、永遠も不滅も目には見えないので、もちろん君にはわからないのだろう、今、何億もの心臓が同じ時を刻んで脈打っていること、かつてそんな瞬間があったって、その事実だけは誰にも打ち消せないってこともさ


2020/05/03
光とは‖神様にしるしをつけられて生まれてきたんだろう、きみ。どんなに堕ちても美しいままだ。その傲慢も怠惰も拒絶も赦すよって、愛したいのって、それこそが私の傲慢でした。罪悪でした。悪いことが好きなのよ。自己陶酔のプールに溺れていた。だから骨にまで刻まれるほどの、永遠の君の罪悪を、ください。


2020/05/02
十七歳の文脈‖放課後、空はいっそう透明になっていく。今日も居残りの君が薄く笑ってた。「人生がうまくいかないのは、陸に上げられた魚だからよ」冷たく湿った手が僕の腕に触れる。「君もそうでしょ?」何を言ってるんだ。早く帰ろう。腕を見たら、キラキラの鱗。空を映して虹色に光る。僕のと君の、混ざりあって。


2020/05/01
もしかしてこれって恋なのでしょうか‖若きあなたはそのみずみずしい肢体が誇らしいのか、生まれてから時はたてども、いつか朽ち果てるという免罪符をふりかざしていたかった。今のあなたの型を取り、ひそやかな、原寸大の、甘く暗い宝石糖に仕立てよう。オーダーメイドのあなたは死なない。骨の髄まで舐め尽くして、誰にも見せないから。


2020/04/30
こんなの望んでない‖愛してもらうために生きているのではないだろ、それは人にもらわなければならないものなのか、わからなければ人にはなれないか。ぼくが生まれてきたことそのものを憎むのは、花を知らなければよかったとか、春を知らなければよかったとか、そう思うのと同じくらい無意味なことだった。寂しくなりたい。


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