記録 "6EQUJ5"のための三時のおやつ2020/03/30 はねになるひと‖北の空では雪が泣いてる、僕は結局、白鳥になれないままでした、それでいいです、きれい、をいつまでも崇拝していたい。どうでもいい人の前では優しくなれます、なぜだか今日はそのことがとても寂しくて。ア、君のまつげにふわふわの砂糖ごろも。長いまつげ、悲しげに揺れて。すぐに凍りつく、ひかり。 2020/03/29 春には孵る‖夜にしか仲良くできない子供たちを見かけた、瞳に星が流れてた。今にも闇に溶けてしまいそうなか細い月は鋭くて冷たい。捕虫網で寿命3時間の蝶をつかまえた、弔いの花も5秒で枯れた。わけもなく叫びたくなって、しかたがないから歌を歌うよ。僕らの声は雨になってく、君に届かないまんまで落ちていく。 2020/03/28 かみさま溺れさせて‖ガラスケースにおさまって死んでる魚に笑われる夜です。私たち、骨になった方がずっと正直できれいね、海の底の景色はもう忘れてしまったの?誰も彼もみんな海から産まれたのに。魚が人になったのそんなに昔のことだっけ。お前もいつかこうなるよ、丁寧に陳列されて眺め回されるんだ。きれい、なんて。 2020/03/27 太陽がたりない‖サヨナラが下手くそな悪い癖、現像してもらったフィルムをいつまでも受け取りにいけない寂しさに少し似ている、ショーウィンドウに映った人たちは姿ばかり大人になっていく。ひとりぼっちなんて気のせい、ただこの街は壊れたメリーゴウランドみたいな永遠さでぐるぐると廻っているだけ。 2020/03/26 さめざめ咲くつもりか‖君の棺のふたに腰かけた夜は水槽の中みたいにひんやりしてた。冷たい頬に残った涙の痕、どんなに厚い死化粧でも消えなかったってさ。あの日君に捧げる花を忘れた僕のこと、許さないままでいて。か細い鎖で僕のこと、縛ったままでいて。 2020/03/25 また出会う日まで隠れていて‖水たまりアクアリウム。帰り道には宇宙が落ちてる、無神経に踏み歩いて水しぶきを散らかす君が好きだよ。雨の降った日はすてき、君のきれいな顔なんか僕の傘先で5秒で壊せる。水面に映らないで。君が僕と同じ、鏡にも水たまりにも映る人間なんだってこと、まだ信じたくないんだよ。 2020/03/24 光は決して離さないで‖僕の声は誰にも届かない宇宙の果てに消えていくんだ、それで良かった。消せない言葉におびえているんだ、忘れられないと言うことの残酷さ、誰も忘れてくれないと言うことの残酷さ。写真が鮮明になるたび動画が綺麗になるたび僕は怖くなる、ねえもう僕ら逃げられなくなるんだよ気づいてますか。 2020/03/23 どろっと溶けてしまう?‖僕に住んでる金魚の話をしよう。鱗が一枚だけ金色で、尾ひれは闇に揺れる炎のようだ、見せてあげたいあなたにも。僕の右心房にそれは住んでる。少しずつ炎になっていくあの子、僕の血液で心中している。僕にはわかる、赤い命が沸騰している。いつまでもこのままふたりきり、地獄に堕ちる練習をしよう。 2020/03/22 ハートみっつじゃ満たせない‖君を忘れるなら温度から。視界もあやうい雨の中では君の声すらぼやけてしまうよ。こんなことなら1000円のペアリングはめたまま、ずっと迷子のままになってればよかったね。僕ら遠くまで来すぎてしまった、惑星くらい離れてしまった。もう時々だって、思い出さなくていいよ。 2020/03/21 夜になる前に‖誰も知らない逃避行のおじかん。つないだ手から珈琲の匂い。疲れきったあなたの横顔はきれい。ぷかりと海に浮かんでたゆたう白い満月がだんだん溶けてく、しゅわしゅわ甘い泡になってく。真夜中の波打ちぎわでふたりは待ってた、今日が死んでしまうのを、明日が生まれてしまうのを、ただ、待っていた。 ;prev or next ☂top page |