シャムロックの手錠

2019/12/11
誰の所為でもあなたの所為でも‖流れゆく蛋白質はその存在意義を成すことなく、ただ排水口に呑まれて死んだ。はたして殺したのは私か、彼か、それともその双方か。


2019/12/10
交わる熱も少しずつ冷めていく‖待っててくれますか。その願いに肯いてから、いくつの日が昇って沈んだことだろう。百年を過ぎた頃にきれいな花が咲いたけれど、まだお前に逢えないでいるんだ。


2019/12/09
あなただけよい夢を‖永遠の生命を手にしたとして、あなたは狂わずにいられるかしら。その語尾は疑問を呈するようでいて、答えはすでに彼女の中にあった。そのくせ、柘榴のような瞳は今にも弾けそうに揺らいでいるのだから、全くもって質が悪い。僕は僕に過ぎないけれど、仕方がないね。君の願いを叶えてあげるよ。


2019/12/08
白い手は君にのばされる‖どうにも僕は君のことが好きらしい。しかも、ライクではなくラブの意味で。信じられるかい。信じられないよね。誰よりも僕が信じられないよ。でも、好きなんだ。だから、どうか「うん」と言って。


2019/12/07
嘘を飼い慣らすてのひら‖そんなに怖い顔をしないで。少し揶揄っただけよ。いやね、本気じゃないわ。本気なのはいつだって貴方だけよ。本当よ。私、嘘はつけないもの。



2019/12/06
満ちて欠ける一瞬‖全てのものは滅びゆく。これは三界の理であり、絶対の法則である。不変と崇められる僕らとて、その定められた運命からは逃れられやしない。世の終には等しく無に帰す。そういう、予定だ。


2019/12/05
さよならは遠すぎて、やっぱり聞こえない‖今日は昨日、昨日は去年。現在は認識した時点で既に過去だ。現在はとても刹那的で、過去だけが降り積もってゆく。時間が有限だとしたら、未来は減るばかり。


2019/12/04
きみの影踏み‖恋をした。と、自覚した。思い返せば半生の片想いだったかもしれない。そして、自覚すると共に失恋した。アイツが私に振り向くことなど、喩えこの世が滅びようともあり得ないのだから。


2019/12/03
いとおしむように目を閉じて‖細い枝が微風に吹かれて揺れている。ゆらゆら、ゆらゆら。まるで手招きするように。僅かに瞑目して、それから私は樹の下で眠りについた。花びらの散りゆく中、先人たちと共に。


2019/12/02
相対する嫌悪‖好きも嫌いも同じこと。向かう先が正か負か、ただそれだけの違い。だから、私はあなたに憎まれたいのです。あなたの唯一を私にください。


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