瞬きの中に棲む獣

規則的な配列で、雑じり気が無くて、何かを取り込む必要が無くて、ただそこにあるだけでうつくしい。
例えば鉱物、万華鏡、12月のイルミネーション。硝子片、雪の結晶。
肌に描いた正三角形、二等辺三角形、丸、四角、菱形、ばつ印。

「なんで幾何学模様が好きなの」という問いに上手く答えられなくて、そういった断片をぽつぽつ並べ立てた。

「やっぱり上手く言えない」
「文学部なのにね」

その夜はレイトショーの帰りだったか、慣れないショッピングモールを彷徨い歩いていたか。やっぱり何も食べない私に、彼も付き合っていた。

ただの絵になりたい、暗い画廊のカーテンの奥の絵に。ただうつくしい石として鉱山の土に埋もれていたい。ただの小説の一節に。

そういうものに、なれない私の肌は幾何学模様の落書きがあって、白い糸のように膨らんだ傷痕があって。その下に血管、脂肪、筋肉、内臓、消化しかけた今朝のオニオンコンソメスープと林檎、排泄物、骨。

例えば鉱物にはインクルージョンとして不純物が含まれていること。本当は、それらに規則性や意味やうつくしさを見出すのは人間だと知っている。
知っていてなお、私は生き物以外の何かになりたい。

「ねえそれ、暗に『指輪が欲しい』って言ってる?」
「本当に指輪が欲しかったら、直接そう言うよ」
「だよね」

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説明やあらすじなど。
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