お互いウォーミングアップを終え、ついに試合が始まった。陽和の学校は全国大会常連とまではいかないものの、関東大会には結構出場している学校らしい。
「向こうの学校、飛び抜けてすごいやつが居るわけやないけど、全体的にレベルが高いな。」
「せやなあ、うかうかしてられへんで。」
試合を観戦しつつ白石の言葉に返事をする。それぞれのコートで試合を行っているが、どこもいい試合をしていると思う。
まあ…ユウジと小春のラブルスコンビには敵わなかったみたいやけど…。というか、若干怯えてたような気がするわ…。
心情お察しするわ…なんて考えていたら財前に呼ばれる。どうやら俺の番が来たらしい。
そしてダブルス1、俺と財前の相手は、陽和と旅館の前で陽和を呼びに来たやつだった。こんなにあっさり試合できるなんて運命やろか、とか考えたけれどきっと白石がそうなるようにオーダー組んだんやろな、感謝せな。
「負けへんからな、陽和。」
「俺だって。全力で行くよ。」
単純に言うと陽和達は強かった。おそらく昨日少し話に出ていた幼馴染みだと言うのが一緒にダブルスを組んでいるあいつなのだろう。とにかくコンビネーションがすごい。
昔から一緒に居るから相手の癖なんかも手に取るように分かるんだろう。俺自身も侑士に対してそう思うから気持ちはわかる。そのお互いを分かりきった上でのコンビネーションはなかなかに隙がなく、俺も財前も苦戦した。
結局、試合はそのまま進み6-4で陽和たちの勝利で幕を閉じた。人並みに悔しいけれど、コーナーギリギリへのスマッシュを拾ってやった時の陽和の驚いた顔を思い出すと少し気分が良くなる。あれは面白かった。
「お疲れ、俺らの負けや。強いなあ。」
「勝ったのは嬉しいけど、あのスマッシュ取られたのすげー悔しい! 謙也足速すぎだろ。」
「浪速のスピードスター言うたやろ。」
ドリンクを飲んでいた陽和の隣に座って話しかける。チラリと横を見れば、唇を突き出して軽く拗ねたような陽和が居た。相当悔しかったらしい。
その様子が面白くて、耐えられずに吹き出すと、なんだよ、もう! なんて言いながら陽和も笑った。
ああ、やっぱり試合は楽しい。それを今一度実感した瞬間だった。