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第三の課題が近づくにつれて、セドと俺の練習も佳境を迎えていた。闇の魔術に対する防衛術は確かに成績上位にはいるけれど、とても得意だというわけではないから、練習相手になるかと聞かれれば反応に困る。
それでも、彼が無事にこの試合を終わることが大事な事だと思うので、俺は快く練習相手を引き受けていた。
「タイリーは誰が優勝すると思う?」
練習が一区切りつき、杖をローブに仕舞って休憩をしていればセドリックが不意に口を開いた。練習をやり過ぎるのもいけないものだし、手首は大事にしないといけない。彼はクルクルと手首を回しながら、俺の方を向かずにそう言った。
「もちろん、セドに優勝して欲しいとおもってるさ」
「光栄だね」
ニヤリと笑いながらこっちを見るもセドに、肩をあげる。
「ハリーは?君の大事な後輩だろ?」
「ハリーは...確かに、同じ寮だし優勝して欲しいと思ってる」
そりゃもちろん、優勝して欲しいさ。親友と大切な後輩の二人がいて、どっちを応援するべきなのかと悩む時も確かにあった。(フレッドとジョージにセドとタッグは許さないと理不尽に怒られた事はノーカンだ)それでも、何故かハリーに対しては「絶対に勝てよ」と言う気力はない。
「でも、少し違う」
「...?違うって?」
「ハリーには、無事でいて欲しいんだ」
このホグワーツに通ってから、何度も彼は困難を前にして苦労をしていた。そんな彼に、変なプレッシャーも与えたくないし、なによりもやはり、ハリーには無事でいて欲しい。
「優勝よりもまず、無事で居てくれさえいればいい
まるで親のような気持ちだが、これが俺のすべての感情だ。嘘偽りのない、本音。
優勝を狙えるのなら狙って欲しい。それでも、無理には狙って欲しくない。だからこそ俺は、セドに力を貸してあげているのだろう。
「成る程ね」
机の上で足を組みながら座って居たセドが、首を何度か縦に振って立ち上がった。手には杖だ。また練習を再開するのだろう。
「なら、君の大事なハリーが無事に戻ってこれるように、僕が優勝するためにも練習付き合ってくれるかい」
「...あぁ、もちろんだ」
そのためには、練習あるのみだ。その通りだった。
練習も終わり、彼に最後の守護魔法をかけて、俺はグリフィンドールの寮にむかって歩いて居た。遠くの方から、ハリーをつれてあるいているヒヨリが見えた。小さく手を振れば、彼女も気づいたのか俺に向かって手を大きく振って居た。
「タイリー!!」
ハリー達3人を置いて、こっちにむかって突進してくる彼女を受け止める。
「セドリックは?練習終わり?」
「あぁ。守護魔法をかけておいた」
「よかったよかった。私もさっきハリーにかけておいた」
俺がセドに付きっ切りだから、ハリーはヒヨリに任せっぱなしだ。まぁそれでも、そんな事をしなくたってハリーは頑張れる人だとは思っているけれど。親心と言うところだ。
「タイリー」
「やぁ、ハリー」
追いついたのか、ヒヨリの後ろにはハリー、ハーマイオニー、ロンの3人が立って居た。ハリーが俺の名前を呼ぶと同時に、ハーマイオニーとロンも俺の名前を呼んだ。3人に笑顔を向けて、胸の中にいたヒヨリの肩に手を置いてくるりと反転させて廊下を歩く。
「ハリー、準備は?」
「ぼちぼちかな」
「そうか」
肩を竦ませてそう言ったハリーの頭に手を置く。どんな時だって、彼の無事を祈ってる。いつだって、彼の勇気ある行動に目を見張りながら、それでもいつだってハリーがハリーらしく生きていけるようにと願って居た。
「君なら大丈夫だ」
「そう、思う?」
「あぁ、もちろんさ」
少しだけ目をゆらしながら、そう見上げてきたハリーの目に目を合わせて頷く。輝くエメラルドの、アーモンド状のその瞳に自分の感情が思いが心配しているんだという心が届けばいいと。そう思いながら、もう一度、彼の頭をゆっくりと撫でた。
所々跳ねているハリーの特徴的なその髪の毛を、元に戻すように撫でつければ、ハリーが少し嬉しそうな顔をして頷いた。そして、ハーマイオニーとロンの手を引っ張り、歩き出す。
「僕達、先に行ってるよ」
出会った当初はあんなにも小さくて、向こう見ずな行動ばかりをしていたハリーが、一丁前に俺たち二人を気遣う行動をした事に、思わず俺もヒヨリも笑顔をこぼした。
ハーマイオニーとロンまで、目を見開いて、そして堪えるように肩を揺らして目を細めて、3人は廊下をぐんぐんど進んでいった。その後ろ姿は、どんどん大きくなって、頼もしくなっているんだと。改めて、この目に焼き付けた。
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