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遂に最後の課題が始まる。試合会場であるクィディッチ競技場に行く前に、大広間では少し豪華な料理が振舞われていた。代表選手は少し早めに会場に行かないといけないので、僕は他の人に比べて少しだけ早く食べ物を口に押し込んでいた。

同じ寮の友達に肩を叩かれながら椅子を立つ。「頑張ってこいよ」「きっとセドリックが優勝さ」プレッシャーとも受け取れるその言葉を胸の奥に押し込んで、ぎこちなく笑顔を浮かべて大広間の扉の方に向かって僕は歩いた。
途中、グリフィンドールのテーブルでゴブレットの中の飲み物を飲んでいるタイリーがこちらを向いて、手を挙げた。僕に向かって挙げたんじゃないのかって?

あぁ、多分そうだろうなと思った。だから、足を止めることはせずに僕も黙って手を挙げて、すれ違いざまに彼の手に自分の手を叩きつけた。
何も言葉はなくても、そうだな、多分これだけで最高の応援の言葉だったと思うよ。









クィディッチの競技場はいつも見てる姿もどこへやら。覆いかぶさるように大きい緑の壁が前に立ちふさがっていた。今回の最終課題のために駆けつけてくれた父さんと共に歩い競技場に入る。吹奏楽クラブの人達が、陽気な曲を拭きながら会場を賑わせていた。

最後にダンブルドア先生と入ってきたハリーを最後に、ダンブルドア先生が前に立ち大きい声を出す。

「ソノーラス!!」

会場に響き渡る先生の呪文に、静かになる生徒達。

「ムーディー先生が、三校対抗優勝杯を迷路に隠した。場所を知ってるのは先生だけじゃ。まず、Mr.ディゴリー!!」

僕の名前が呼ばれると、同じ黄色の寮の友達や後輩が立ちあがる。騒がしくなる歓声の中に、王様の声があったのを、僕は聴き逃さなかった。

「Mr.ポッター!!同点一位のこの二人がまず迷路に入る。次に、Mr.クラムと、Ms.デラクール。最初に優勝杯に触れたものが優勝じゃ。先生方が周辺を巡回しておる。競技を棄権し、助けを求める場合は、杖を使って赤い花火を空に打ち上げるが良い。選手諸君、こちらへ。はよぅ!!」

最後にダンブルドア先生に呼ばれて、全員で彼の元へ集まる。

「迷路には、ドラゴンも水魔もおらんじゃろう。だがこれまで以上に厳しい試練が待っておる。迷路の中では人が変わるのじゃ。優勝杯を追う内に、自分自身を失う事にならんよう、心してな」

先生の話が終わり、位置に戻る。最後に父さんに抱きしめられ、まっていてくれと伝えた。
ちらりと観客席の方を向けば、一際目立つ真っ黒い髪を持つ彼が、僕を見ていて。僕は黙って拳を作り、彼に向かって腕を伸ばした。

あぁ、きっと優勝杯を持って帰ってくるさ。まっていてくれ、と。












大砲が鳴り響き、迷路の中に入った途端、音が全て遮断された。ただただ不気味に真っ暗な闇が広がるだけだ。まずはどこに向かって歩こうかと悩んでいる時、不意に背中にある草の壁が動き出し、僕の身体を追いかけるようにうなり出した。

慌ててそれから逃げるように走る。まるで人のように動くそれに、焦って入れば、フラーの叫ぶ声が聞こえた。確かに、男の僕でさえこれは怖い。女の子なら尚更だろう。

突如、赤い火花が空に散った。

それを見届ける暇もない程に、とにかく壁に駆り立てるように走っり、曲がり角を曲がる。そこにいたのはハリーに、クラムだった。

目を青く光らせているクラムに、魔法で操られていると確信した僕は杖をにぎり、彼に呪文を唱える。

「エクスペリアームス!!」

杖を放し、遠くに飛ばされるクラムを見届けてハリーに声をかける。

「大丈夫か、ハリー」
「セドリック...ありがとう」
「いや」

敵同士だと言うのに助けた僕を不思議に思っているのだろう。そんな視線を向けてくるハリーに、僕はただ首を傾げるだけにしておいた。

「...あれだ」

迷路の向こうの通路に、青白く光るトロフィーがあった。それを見つけたハリーの言葉に同意を示すように頷く。すぐ後ろには、僕たちを飲み込もうと動き出す壁があった。

「行くぞハリー、走れ!!」
「うん!!」

同時に足を動かす。青白いトロフィーに向かって前のめりに走れば、途中で僕の足首を掴む何かが現れた。草の壁から伸びる蔓がぐるぐると巻きつき、思い切り顔を打ちつけながら倒れ込んだ。蔓は僕を壁の向こうに引きずり込もうと動き出す。

「セドリック...!!」
「いけ、ハリー!!」
「でも君が...!!」

ハリーが無事でいればそれでいい。

まるで親のように。いや、彼はヒヨリ以外にはいつでも親のような視線を向けるのだけど。それでも、そう心配しているタイリーを思い出す。今ここに彼がいないのだから、ハリーの事を見守るのは僕だけだ。

いつの間に、絆されたのやら。内心苦笑をしながら、下からハリーを見上げてそう言えば、ハリーは僕とトロフィーを何度か交互に見た後に、杖を取り出し僕の蔓に向かって呪文を唱えた。

「レダクト!!」

粉々になる蔓を、どうにか身体から離して、ハリーに差し伸ばされた手をつかんで立ち上がる。

「...ありがとう、ハリー」
「君に助けてもらったお返しさ」

立ち上がり、一度深呼吸をして息を唱える。
こんな状況になっても、"お返し"だなんて。ハリーはどこまでも、心優しい子のようだ。彼等が親身になってでもハリーを見守る気持ちが、今少しわかった気がした。

「走れ!!」
「う、うん...!!」

落ち着いてる暇もない。すぐ後ろに壁はもう迫っていた。
青白く光るトロフィーが目の前にある。手を伸ばせば、すぐに手にできるだろう。それでも、このトロフィーを手にするのは僕ではない気がした。

「君が取れ!!」
「でも...!!」
「君に助けられた!!あの状況で見捨てないでいけるのは、君ぐらいさ!!」
「それを言うなら、セドリックだってクラムから助けてくれた!!」

風が吹き付ける。今すぐにでもトロフィーを取らないと、壁にのみこまれるだろう。早くとるんだとハリーの背中に手を置いて急かせば、ハリーが僕を見つめて声をあげた。

「じゃあ、一緒に取ろう!!」
「...わかった!!
「1、2の...!!」
「...3!!」

グリフィンドールらしいその勇気ある優しさは、確かに英雄のようだった。同時に手を伸ばして、トロフィーに触れる。

手に触れた瞬間、何かに押し込まれるような形で僕とハリーは地面に倒れる形で吐き出された。
墓地が沢山ある、さっきの迷路とは別の不気味さが感じられるその場所。
倒れてるハリーに手を伸ばして起こした。

「ありがとう」
「あぁ...優勝杯がポートキーになってたみたいだ」

ここはどこなのか。予想ではきっと、会場に戻るんだろうと思っていたのだけど。辺りを歩いて眺めて入れば、急にハリーが叫んだ。

「セドリック、ポートキーに戻って、早く!!」
「どうかしたのか...?」

その瞬間、ハリーが頭を抱えて苦痛に顔を歪ませてしゃがみ込んだ。
慌てて彼の元に走り寄り、背中をさすって入れば、こっちに向かってあるいてくる人の足音が聞こえた。

「ハリー、どうした!!」
「は、早く優勝杯を...!!」

杖を握り、アクシオと唱えようとした時、その足音の正体がこっちを向いた。その人の腕の中には赤ん坊ほどの人間が抱えられていて、とても不気味だ。
握っていた杖を、その人に向けて警戒する。

「...誰だ」

苦しんでいるハリーを死なせてはいけない。傷つけてはいけない。
きっと、タイリーなら。僕が尊敬しているタイリーなら、彼の前に立ってハリーを守るだろう。何故なら、タイリーはハリーの、大事な先輩だからだ。

「ステューピファイ!!」
「邪魔者は消せ!!」
「アバダケダブラ!!」

赤い閃光が、僕の杖から放たれる前に男の杖から緑の閃光が走った。
その光に身体を包まれて、僕は遠くに投げ出され、視界を真っ暗な闇が覆った。The

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