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初めて見る魔法の世界は、ずっと僕がいた世界とは違った。キラキラ輝いていたし、不思議な光景もここでは当たり前で。僕は初めて見る数々の光景を隣にいる親友のロンに質問しながら、ホグワーツでの生活を過ごしていた。


「...ねぇロン」
「なんだぃ、ハリー」


いつものようにロンとご飯を食べていれば、ロンのお兄さんである双子のフレッドとジョージがニヤニヤと笑いながら話をしていて。その隣で同じように騒いでいるリーと、そして諌めるような視線と口調で話をしている黒髪の男の人がいた。
その人の前にはグリフィンドール唯一の東洋人と噂の女の人がいて。彼女がおかしそうに双子たちに何か言った後に、慌てたようにその人は女の人に向かってヒヨリ様と呼んだのだ。


「あの人たちって...」


僕が見てるところをロンはチキンにかぶりつきながら見る。学校で"様"と聞くなんてなかなかないことだし、それにあの人たちは同じ学年のはずだから、どういうことなのだろうと思って聞いてみれば、ロンはチキンを何度か噛んで喉に流した後に口を開いた。


「フレッドたちと同室のタイリーって人だよ。その前にいるのが、タイリーが仕えてる人だって」
「仕えてるって...?」
「なんか、日本の名家の人らしくて。タイリーはそこの使用人らしいんだ」
「へぇ〜...」


すごいな。そんなこともあるのかと僕は何度か首を縦に振ってじっと眺める。
ニコニコ笑う女の人と、慌てたように手を横に振るタイリーって人。その二人を面白そうに笑う双子達や、女の人の友達なのだろう二人。


「仲良しなんだね、あの人たちは」
「ん?うん、そうらしいよ。よく話に聞いてたし。女の人の名前は確か...ヒヨリ?だったかな?二人とも学年トップらしいよ」


それを聞いてさらに驚いた。学年トップが使用人と主人というそのことにもだけど、学年トップの人がいつも騒がしい双子たちと仲がいいということにもだ。

いつかお話できたらいいなーと、その時はそう思った。できれば勉強も教えて欲しいし。僕はロンの隣でゴブレットの中に入ってる水を飲み込んだ。



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