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あのハロウィンの事件が起きた時から、なんだかハーマイオニーとハリー、ロンの三人は一緒にいるようになった。二人と仲良くなったのかなと思って話しかければ、ハーマイオニーは少し照れた顔を見せながら、首を縦に振ったのだ。そんな彼女の頭に手を乗せて優しくなでてあげたのがつい先日。

ついに今日はグリフィンドール対スリザリンのクィディッチの試合だ。



「アンジー!!アリシア!!」
「はぁい、ヒヨリ」
「頑張ってね!!!応援してるからね!!」
「毎回あなたの声すごい聞こえるもの、今日も期待してるわ」


朝起きればすでにアンジーとアリシアはいなくて。朝ごはんをタイリーと食べて隣にいたロンとハーマイオニーに早く会場行かないと席なくなるよと言って無理やり二人を連れて行き(ロンはまだサンドイッチを食べていたけれどそんなもの無視だ)、私とタイリーは選手たちのいるテントに来ていた。

アンジーとアリシアは私の頭を撫でながらそう言う。その子供のような扱いにももう慣れたけれど、やっぱり試合前は二人も緊張するのだろう、この頭を撫でる行為が二人にとっての願掛けだということを私は知っていた。

いつものように二人の手を片手ずつ両手に閉じ込めて、念じる。


二人に怪我がありませんように。


魔法を唱えることはルール違反になるから、日本に伝わる守護魔法とまではいかないおまじないのようなものをする。二人の手をおでこにくっつけて30秒、願い事を心に唱える。


「...いつもありがとう、ヒヨリ」
「必ず勝つわ」


二人は笑顔で、私にそう言った。


「おいおいオジョー、俺たちには何もないってか?」
「ひどいぜオジョー」
「はいはい、怪我には気をつけてね、フレッド、ジョージ」


いつもの調子でニヤニヤと笑いながら私とタイリーに近づく二人。双子たちは私にニヤリと笑った後、後ろにいるタイリーに向かって拳を握って突き出した。タイリーも拳を両手で握って、それを二人の拳にコツンとぶつける。


「怪我にだけは気をつけろよ」
「誰に言ってるんだいタイリー」
「俺たちはブラッジャーと親友さ」


そうニヤリと笑った双子は、相変わらずおかしなことを言っていた。

そんな私たちを面白そうに眺めている子が奥にいた。一人だけ背も小さく、ユニフォームに着られているようなハリーが、緊張しているのか箒をぎゅっと握りしめながら小さく笑みを浮かべていた。そんなハリーを手招きして近くに呼ぶ。少し不思議そうに首をかしげたハリーが近づいて、私は胸元付近にあるハリーの頭に手を置いて、優しく撫でる。


「初試合、頑張ってねハリー」
「応援しているよ、ハリー」


タイリーも膝を曲げて彼の目に自分の目があうようにかがむ。ハリーは目を少し見開いて、しっかりと首を縦に振った。




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