今年もハロウィンがやってきた。今年こそ、ハーマイオニーにオススメの料理を教えてあげたかったのに、ハーマイオニーだけでなくハリーもロンも大広間にはいなかった。

「もーまた?今年は何を持ち帰る?」

私は誰に言うでもなく、手当たり次第目の前にあるお菓子屋料理をナプキンの中にしまいこむ。それを笑いながら見つめるタイリーにアンジーたち。

「今年もハロウィンパーティーしましょう?」
「かぼちゃジュース持っていってもいいかな?」
「ヒヨリったら、本当にそれ好きよね」

甘ったるすぎるところもあるけれど、日本ではなかなかお見かけできないかぼちゃジュースだ。顰めっ面をしながら私の手の中にあるかぼちゃジュースを見つめるアリシアに肩をすくませて、それをそっとローブの中に隠した。

「「Trick yet Treat、今年こそ悪戯させろタイリー!!」」
「断る。フィニート」

隣に座っているタイリーの後ろに飛びかかるかのように糞爆弾を投げつけた双子たちに向かって、タイリーは振り返りもせずに静かに杖を振りその糞爆弾を不発にさせた。

「くっそー...」
「今年もダメだったな、フレッド、ジョージ」
「リーも笑ってる場合じゃないぞ」

笑いながら双子達を見るリーに、ジョージがニヤリと笑いながら残りの爆弾を投げようと振りかぶって、びくりと肩を動かしたリーをからかうように笑った。

「その驚いた顔だけでも十分さ、リー」
「あぁ、芸術賞だ」
「うるせーぞお前ら」

ニヤニヤと笑いながらタイリーの隣に座る双子たちを顔を真っ赤にさせながら睨むリーを、私たちは笑いながら眺める。
本当に仲のいい4人組だ。




ディナーも食べ終わり、全員大広間に戻ろうと歩いている時。階段の途中で人だかりができていた。そのせいで前に進まなくなっているらしくて、勝手に動く階段に足元がおぼつかなくなっている生徒が何人かいた。
このままじゃ誰かが怪我をしていてもおかしくない。「監督生だ、通して」と、前に進んでいくパーシーの後についていけば、廊下の真ん中で呆然と立っているハリーたち3人に、壁には「秘密の部屋は開かれたり。継承者の敵よ、気をつけよ」と血で書かれた文字があった。

その近くには、フィルチ先生の猫であるミセス・ノリスの死体。

「継承者の敵よ気をつけよ、次はお前たちだ穢れた血め」

それをニヤリと見ながら、ハーマイオニーに向かってそういうマルフォイを睨む。

「なんだ?なんだ?何事だ?」

その騒ぎを嗅ぎつけたフィルチ先生がやってくる。私の肩をドンと押して無理やり前に行こうとする彼を、タイリーはきっとにらみ、私の肩に手を添えた。

「私の猫!私のミセス・ノリスに何が起こったというんだ!?お前だな!?お前が殺したんだ!!俺が、俺がお前を殺してやる...!!」
「アーガス...!!何事じゃ?」

何でもかんでもハリーのせいにする先生も先生だけれど、どんな事件にも中心にいるハリーたちにも不憫さを感じる。

騒がしい場に、ダンブルドア先生の声が響く。先生の後ろには寮監の先生たちもいて、ダンブルドア先生は騒ぎを瞬時に理解するとすぐに「諸君、速やかに寮に戻るのじゃ」といった。

前にいるハーマイオニーたちに手招きして、いくよと言えば、ダンブルドア先生が3人に声をかける。

「その3人は残るのじゃ」

その声に、もう一度こっちを振り向いたハーマイオニーに首を縦に振り、先に戻っているということだけを伝えて、私とタイリーは寮に戻るために足を進めた。

秘密の部屋。寮への帰り道は、その話題で持ちきりであった。




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