コリン・クリービーが石にされた。その噂はどの寮にも素早く回っただろう。いつも元気にカメラを持ち歩いていた彼が、グリフィンドールにいないのだから、きっとその噂は本当だ。

そんな中、決闘クラブというものがあったそうだ。フレッドたちは嬉々としてそれに向かっていったけれど、私とタイリーはあまり興味がなくて、談話室にこもっていた。

はっきり言って、自分の自慢をしたいがために生徒に正しい応急処置をしなかったあの人を、先生とは認めたくなかったし。というかもうすでに授業も受けたくない。

「来年の闇の魔術に対する防衛術の先生は良い先生であることを祈ってるよ、私」
「教師が変わっていく事で有名ですからね」

ソファーに座りながら、机の上に広げている羊皮紙に向かって羽ペンを進める。誰もいない談話室は私とタイリーの貸切状態だ。来年の心配をする私に、タイリーが苦笑をこぼしながら言った。

「タイリー、これはどういう意味?」

お互いが受けている選択科目を教えあう。私は古代ルーン文字を取っていないので、一つ一つ、タイリーに教えてもらっていた。来年はOWL生だ。試験までに、自分の受けていない選択授業も完璧にする必要がお互いにあった。

「それは、この教科書を読むとわかりやすいです。授業では先生が...」

と、タイリー(先生)から教えてもらっている時、突然バタバタと談話室に降りる足音が聞こえた。なんだろうと私たちは顔を上げる。そこには、グリフィンドールのある意味でお騒がせ三人組であるハリー、ロン、ハーマイオニーの三人がいた。

三人は私たちがいることに気づいていない様だ。

「君、パーセルマウスだったの?」
「何?」
「蛇と話せるのね!?」

何があったのかはわからないけれど、とにかく焦っていることはわかった。ハリーが決闘クラブで、どういうわけか蛇語を話したそうだ。

「ねぇ、それ、私たち聞いても大丈夫?」

思わずそう声をかけて聞いてみれば、弾かれたようにこっちを振り向くハリーたちは、慌ててなんでもないと首を横に振って談話室を出て行った。

「...絶対何か隠してる」
「聞いた限りでは、ハリーが蛇語を話した、という内容でしたが」

何があってそんなことがあったのかはわからないけれど、事の重大さがどれだけ大きいことなのかは、すぐにわかった。


ハリーが、スリザリンの継承者なのではないか、という噂がそこら中から聞こえ始めたからだ。

ありえなさすぎて笑える話だけど、そんなことを言われているハリーにとって、それがどれだけ辛いことなのかは、彼の顔を見なくたってわかった。

そんな時、ハッフルパフのジャスティン・フィンチ-フレッチリーと、ほとんど首なしニックが石にされたと聞いた。




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