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無事にタイリーもグリフィンドールへと決まり、初めて食べる洋食の数々に私は終始興奮していた。だけどずっとこれじゃいつかは飽きるだろうな、と思っていれば、タイリーは使用人よろしくサラダやお肉をバランス良くお皿に盛ってくれた。

宴が終わり、タイリーと私は男子寮女子寮へと別れた。明日の朝、大広間での朝食時に待ち合わせをして、そのまま一緒に授業へ行こうと言って、私は言われた部屋へと入る。

そこにいたのは、同い年なのかびっくりするほどの綺麗な女の子二人がいた。


「あなたもここの部屋?」
「うん、そうみたい」
「三人部屋なのね。じゃあベッドは一つ空くし、ここに皆の荷物とか置きましょう?」
「そうね」


しっかりとした子達のようだ。私も言われた通りにトランクのローラー部分をハンカチで拭き、一番奥に置いてあるベッドの上に置く。(汚れるだろうから拭いたのだが、少し驚いたように見てきた二人も真似して拭いていたのが面白かった)

「さて、私はアンジェリーナ・ジョンソンよ、アンジーって呼んでちょうだい」
「アリシア・スピネットよ」


肌の黒い溌剌とした女の子と、金髪で透き通るように肌の白い女の子が自己紹介をした。私も慌てて髪を整えて、自己紹介をする。


「ヒヨリ・陸奥村。ヒヨリって呼んでね」
「ヒヨリって東洋人よね?どこの国?」
「日本だよ。知ってる?」
「あの小さな島国かしら?」
「うん、そうそう」


握手をお互いにしながら、アンジーとアリシア(タイリー以外で初めてできた同い年の友達を、名前で呼ぶことが少し恥ずかしい)が、日本に興味を持ち始めた。私達は自分のベッドに座り、ローブを脱いだり(私は靴を脱ぐ)思い思いに何かをしながら口を動かした。


「私日本人と友達になるなんて初めてだわ!日本語とか是非教えてちょうだいね」
「うん。でも日本語と英語って文法とか全く違うし苦労するかも?」
「でも何かしら覚えたいわ、ねぇアンジー?」
「せっかく知り合えたのだしね、でも私これは知ってるわよ、アリガトウ」
「有名よね」
「え、有名なの?」


アンジーとアリシアが何度もアリガトウアリガトウを連呼する。なんだかそれが面白くて笑えば、二人は何で笑うの?と同時に言ってきて、またさらにそれに笑って、二人も笑い出して。なんだか、いいスタートを切れた気がしたのだ。



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