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「あの後、大丈夫だったかい?」
授業で使ったものを片付けるために、ルーピン先生の部屋に続く階段を上がっている時、前に立つ先生が扉を開けながらそう聞いた。
「はい。あの時はありがとうございました」
「とても助かりました」
先生の部屋の中に入り、本を机の上に置いて私とタイリーは深く頭を下げてお礼を言う。キチンとしたお礼を言うのを忘れていたことを思い出した。
「しっかりとした子達だね...さすがMs.陸奥村の家の子だ」
ルーピン先生はそう言うと、にこりと笑いながら私とタイリーを見比べる。
「家をご存知ですか?」
「あぁ、君のお母さんと学年は違ったけど、何度か話したことがあるんだ。僕たちの時はホグワーツにも東洋人は少なからずいてね。同じ東洋人と一緒にいたのを覚えてるよ」
初めて聞いた、親の学生時代の話。私は先生の目をじっくりと見る。先生はそんな私を優しく見つめた後に、タイリーを見た。
「君は、エドの息子だろう?」
「え...」
「エドワード・リビーツ-シェバン。僕と同じ学年だった。レイブンクローだったよ、彼は」
本を揃えながら、私たちは会話をする。一瞬手を止めたタイリーが、ちらりとルーピン先生を見た。先生は私たちが揃えた本を本棚にしまいながら、さらに続ける。
「エドも、Ms.陸奥村も、とても優秀な人だった。聞いた所、君たちもそれを存分に受け継いだようだ。O.W.Lの勉強の進捗具合はどうだい?」
先生の言葉に少し照れながらも、私たちは顔を見合わせる。
「そこそこです」
「私もです」
「そうか、そこそこね」
ルーピン先生はその言葉にはははと声に出して笑うと、本棚から手を離しこっちをくるりとふり返る。
「さて、お手伝いどうもありがとう。今後の授業での君たちの力を見るのが、とても楽しみだ」
ルーピン先生はそう言うと、私とタイリーの頭を1回ずつポンポンと叩く。私たちはそれに対して、少し気恥ずかしくなりながらも「はい」と答えた。
初めて聞いた、親の学生時代の話は、当分私とタイリーの頭から離れることはなかった。
昔はホグワーツにも東洋人はいたのに。どうして急激に減ったのか。少ないのか。
それをルーピン先生はわかっているのに、それを感じさせずただ懐かしい思い出話をする姿に、とても好感が持てた。
それはきっとタイリーも一緒なのだろう。いつかまた機会があれば。もっと、親の話を聞いてみたい。
タイリーには親戚もいないから、親を知ってる人はいない。
私に関しては、家の人間が絶対に言おうとしない。
だから、ずっとずっと不思議だった。どうして私のお母さんはホグワーツに進んで、どうやってお父さんと出会ったのか。
決して恨んでるわけではない。お父さんがマグルだから。お父さんと結婚したから。私は決められた人生を歩むしかない状態にいる。
だけど、恨んでなんていない。恨むわけがないのだ。
お父さんとお母さんが出会ってくれたから、今の私がいる。そのあまりにも当然すぎる幸せな出来事を、聞くことができないのが辛いだけなんだ。
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