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「二人はもういいの?」
広間に行く途中、ふくろう小屋で確認した手紙とプレゼントを手にして、私とタイリーとハリーは大広間に入った。ホグズミードに行ってる上級生が多いのか、広間は下級生の半分ほどしか人はいなかった。
プレゼントでもらった紅茶を杖で振りながら魔法で出したマグカップに注ぐ。
「うん。用事はもう終わったから」
「用事って?」
そう聞くハリーに、私はマグカップをあげながら答える。
「ありがとう」
「ううん。最近求婚のプレゼントが多いでしょ?それを売りに行ってたの」
「売ったの!?」
「いいお金になったよ」
マグカップに口をつけて驚くハリーに、熱々の紅茶が注がれる。タイリーが慌てて杖を振って、その紅茶を消した。
「ごめんタイリー...」
「いや。火傷はしてないか?」
「うん」
意外におっちょこちょいなハリーを、私は笑いながら紅茶を飲んだ。意外にも美味しくて、これなら勉強しながらも飲めるな、と。"生き残りリスト"に入れようと頭の中でメモした。
「ハリーこそ。どうしてホグズミード行かなかったの?」
私がそう聞けば、ハリーはマグカップをテーブルの上に置いて、少し困った顔をして視線を下にそらした。
何かいけないことでも聞いてしまったのだろうか。私が慌ててタイリーを見れば、タイリーも何か知っているのか少し肩をすくめて困ったような笑顔を浮かべた。
「僕、親戚の家に預けられてるんだけど、そこの家の人は僕をよく思ってなくて...」
「え?」
「魔法使いっていうのも、気が狂ってる、とか。ロン達のこともいかれた奴ら、とかそういうんだ。だから、サインをもらうことができなかったんだよ...」
ハリーの寂しそうな声。私は初めて聞いた彼のその事実に思わず口を両手で覆う。
栄光の道を歩むべき人が、そんな仕打ちを受けていいのか...?
思わず伸ばしたでは、ハリーの頭をそっと撫でていた。
「...ヒヨリとタイリーは似てるね?」
「え?」
「ん?
ハリーに急な言葉に、私とタイリーの言葉が重なる。
「タイリーも、同じように頭を撫でてくれたよ」
メガネの奥の緑色の瞳を少し潤わせて輝かせながら、ハリーはそう言った。
笑顔で私を見つめるハリーに、私は目をパチパチと瞬いて。そしてもう一度ゆっくりと彼の頭をまた撫でた。
「...ありがとう。二人とも」
その言葉に、私もタイリーも何も言わずにただ、笑顔で頷くだけだった。
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