21

春も過ぎ、季節は夏へと近づく。
それはつまり、ふくろう試験の開始を意味した。


ふくろう試験は2週間かけて行われる。基本的に午前は筆記、午後に実技。大広間に、いつもなら広がっている長いテーブルが、この試験の最中は小さい個人用の机と変わる。前には先生用のテーブルがあって、それぞれの教科担当者がそこに立ち、カンニングなどに目を光らせているのだ。

「ああああ....ダメだ...」
「おいおいリー、お前らしくもないな」
「いつものお前はどうした?」
「なんでお前らはそんなに自信に満ち溢れてるんだよ...」

椅子に座り、最終確認の教科書を眺めながら嘆くリーに、双子たちがニヤニヤ笑いながらリーに寄りかかる。お前たちはもっと後ろの席だろうといえば、フレッドがニヤリと笑ってタイリーの後ろが良かったと言いながら後ろの方へと歩みを進めた。

「リー、今更詰め込んだって仕方ない。あれだけ頑張っていたのだから、大丈夫さ」

何度もぶつぶつと同じところを繰り返し読み返すリーにそういえば、青ざめた顔を見せながら、リーはふるふると首を縦に振った。

「お、おう...!!」

リーの頑張りはずっと見ていた。双子たちに振り回されながらもなんだかんだ勉強をずっとしていたんだ。回数をこなせばこなすほど、彼のわからないところも減っていったし、それをずっと見てきたのだから、きっと大丈夫だ。

リーは教科書をカバンにしまい、最後に両手を組んで何かに祈りだした。俺はそれを見て苦笑をこぼし、前の方でアンジーとアリシアを談笑をしているお嬢様を見る。どんな時でも笑っているお嬢様を、さすがオジョーだとつぶやいたのは、どっちのウィーズリーだろうか。








「あ、ヒヨリ...!!」

1日目の試験が無事に終わり、アンジー達と話しているお嬢様を邪魔してはいけないと、セドと答え合わせをしながら廊下を歩いていた時、ハーマイオニーの声が後ろの方から聞こえた。

「ハーマイオニー!!」
「1日目の試験が終わったのね...!!お疲れ様!!」

お嬢様が大好きなハーマイオニーのことだ、試験が終わるまで、彼女のことを待っていたのだろう。

「先に行ってるわね」
「うん」
「ごめんなさい、アンジー、アリシア」
「いいのよ。ここの所ずっとヒヨリを独占していたしね」

アンジーとアリシアが近づいてくる音がする。
セドと付き合わせていた顔を上げて、そっちを振り向けば、アンジーたちがニヤリと口角を上げて、俺の肩を一つポンと叩いた。

「はぁいセドリック」
「やぁ、アンジェリーナにアリシア」

寮は違えど同じクィディッチの選手同士だ。三人は面識があったのだろう、にこりと笑みを浮かべてお互いに手を挙げて挨拶をした。

「ごめんなさいね、ヒヨリは今ハーマイオニーのところに行っちゃったわ」
「あぁ、聞こえていた」

そう答えれば、セドは何が面白いのか肩を震わせて笑い出し、それを見たアンジーたちまでもがクスクスと我慢できないかのように声を出して笑う。

「...何がおかしい?」
「いいえ、ただ、グリフィンドールの王様も人の子ね」

そういったのはアリシア。

「...その名前で呼ぶな」

眉をしかめてそういえば、わざとらしくアンジーとアリシアは肩を竦めて「お先に」と優雅に手を振って寮へと歩いて行った。その姿が消えるまで見続けていたセドは、ニヤリと笑いながらまた俺の方を向く。

「明日も、お互い頑張ろう」

未だに肩を震わせながら、セドはそう笑いかけるとハッフルパフ寮へ続く廊下を歩き出した。




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