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そんなこんなで、ついにハロウィンがやってきた。今年はゲストの学校がいるためか、例年よりも豪華なディナーが振舞われていた。金色のお皿の上にたくさんの料理、毎年これぐらい豪勢だったらいいのにと思わず呟けば、隣に座るアンジーに笑われた。

「代表選手の発表じゃ」

料理もそこそこに食べ終えた頃、ダンブルドア先生が前にでて大きい声でそう言った。そして手をかざして、大広間にある燭台の火を弱めにさせていく。前に置いてあるゴブレットの炎だけが怪しく燃え上がっていた。

固唾を飲んで、前の炎をじっと睨むように見続ける生徒達。かく言う私もその一人で、隣に座るアンジーとアリシアと手を繋いだ。すると、ゴブレットの炎は青く燃やしていたその火を、赤い鮮やかな色に変化させて、一つの燃えた羊皮紙を吐き出した。

ダンブルドア先生はその紙を受け取り、口を開く。




「ダームストラング代表は、ビクトール・クラム!!」



はち切れんばかりの拍手が広間に響き渡る。クラムのファンらしいロンが前の方で興奮したようにクラムのことを見つめていた。クラムは先生達と握手を交わすと、教員席の前を通り、横の扉へはいり姿を消した。そして、次にゴブレットはボーバトン校の代表選手を選出した。






「ボーバトンの代表は、フラー・デラクール!!」




青い制服を着た金髪の美少女が前に出てきて、先ほどのクラム同様前に出ていく。

最後はホグワーツの代表選手だ。アンジーが選ばれますように。とは思っているものの、心のどこかにセドリックの事も思っていて、ちらりと、私は顔をあげて隣のテーブルにいるハッフルパフの人達を眺めた。セドリックは友達数名に肩を抱かれたり一緒に両手をくんでお祈りをされながら、しっかりと応援されていた。

私はもう一度、目を閉じる。もうこの際どっちでもいい、アンジェリーナ・ジョンソンでもセドリック・ディゴリーでもいいから、私の友達が選ばれますように...!!

そう願いながら呼ばれる名前を待ち続ければ、ダンブルドア先生の声が響き渡る。





「ホグワーツ代表は...セドリック・ディゴリー!!」




瞬間、拍手だけではない大きな歓声が広間中を襲った。前に座るタイリーが立ち上がり、ちょうどタイリーの前を歩いていたセドリックの肩を叩いた。そして二人は熱く抱擁をかわして言葉を交わす。

「セドリック!!」
「やぁヒヨリ」
「おめでとう!!」
「ありがとう、ヒヨリ」

隣に座るアンジーもアリシアも、笑顔でセドリックに拍手を送り、同じようにおめでとうと口にした。セドリックは笑顔で頷き、前の二人の代表選手と同じように前にいくと、隣の部屋へと消える。

あぁ、友達が選ばれてよかった。それにハッフルパフの王子様が選ばれたんだ、今回のこの行事はどの寮の生徒もたのしめるだろうなと、ダンブルドア先生の最後の話を聞いている時、スネイプ先生が怪訝そうな顔をしながら前に進み出た。なぜだろうと不思議に思って見ていれば、三人の名前を吐き出してお役御免のはずのゴブレットの炎が、また3回ほどみたあの時のように赤く燃え上がったのだ。

全員が不思議にその光景を見つめる。すると、ゴブレットは1枚の焦げた羊皮紙を吐き出した。ダンブルドア先生はそれを受け取り、紙を開くと、少し震えたような声で、こう言った。




「...ハリー・ポッター」



その名前が呼ばれた瞬間、大広間は凍りついたのかと言うぐらいにしんと静まりかえった。一番不思議そうな顔をしているハリーが「え、なんで僕?」みたいな表情で、ハーマイオニーによって無理やり立ち上がらせられる。

「ゴブレットは絶対だよ、ハリー」
「とりあえず前に出て、ダンブルドア先生と話すんだ」

一番不思議なのはきっとハリーだ。老け薬(学年一秀才のタイリーも手伝った)でさえ、年齢線を惑わすことはできなかったんだ。ハリーにできるわけはない。それはもちろん分かっているから、私もタイリーも、ハーマイオニーも、とりあえず行けと彼の背中を押す。
キョロキョロとしながらも前に進んで行ったハリーを見送って、やっぱり今年も何か起こるんだな...と思ってしまった。




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