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「私が沢山、守護魔法をかけたから。それをつけてる間はタイリーは怪我も病気もナッシング、だよ!」


そう、笑顔で言ったヒヨリ様。俺は思わず泣きそうになるのを堪えながら、大事にそれを包みながら頭を下げた。



俺がヒヨリ様に出会ったのは、4歳の頃だった。親が目の前で殺され一人きりで絶望に打ちひしがれていた俺を、今の陸奥村家当主であるコトヨ様が拾ってくれた。まだ闇の魔法使いがたくさん幅を利かせていた時だった。日本は聖なる魔法が使える唯一の国で、そのせいで闇の魔法使いに狙われやすいのだと。結界を張っていない純血名家ではない家は一番餌になりやすい。それが原因で、俺の親は殺された。そう、コトヨ様はおっしゃっていた。


そんな俺に、一人の主人が現れたんだ。陸奥村ヒヨリ。ヒヨリ様もまた、親を同じように殺された、正真正銘の陸奥村家の血を継ぐお方だった。彼女は未だに親の死から立ち上がれていない俺を優しく慰めてくれて、そして一緒に、泣いてくれたのだ。

『悲しいね…辛いよね…たくさん泣いてね、タイリアナくん…私も沢山、一緒に泣くよ…』

俺をその胸に抱きしめながら、俺なんかのために涙を流すヒヨリ様が、俺は今でも忘れられない。人の苦しみ悲しみのために、心から泣ける人がどれだけいるのだろう。ヒヨリ様のそのお人柄に、幼いながらにも俺は、一瞬で落ちてしまったのだ。



クリスマス休暇が開けて、フレッド達が戻ってきた。戻ってきた途端ニヤニヤと笑いながら俺に話しかけたフレッド達に、俺は呆れたように口を開く。


「開いたかい?タイリー」
「今から開こうと思ってるさ」
「おま、それはないぜタイリー!」
「俺を騙すのはまだ早いな」

そう言って部屋の中で、フレッド達に貰ったクリスマスプレゼントを問答無用で開く。途端にガチャガチャと鳴り響くうるさいクリスマス音楽と、そしてボンっと爆発する箱。


「こんなん渡されたらひとたまりもねーな」


あまりにもうるさくて両耳を塞ぎながら言うリーに、俺も同意の意味で肩をすくめた。


「お嬢様へのプレゼントも同じようなものだろう。ここにある」
「くっそ、タイリーの驚く顔が見たかったってーのに!」
「なんでわかった!?」


リーがお腹を抱えてゲラゲラと笑う。フレッドとジョージは悔しそうに顔を歪めながら、ベッドに座る俺の元へと近寄った。ベッドに乗り上がるのなだ靴を脱いで欲しいと思う俺は、さすが日本人の母を持つだけあるのだろう。


「重さがなかった」
「「重さ?」」


靴を脱ぐ気配はない。諦めて俺はもう一度フレッド、ジョージの顔を見て口を開いた。


「プレゼントなら、なにかしら入ってるはずだろ?なのに、全く重くないし音もしなかったからな。呪文でもかけてるんだろうと思った」
「なーーるほどな…」
「次はもう少し考える必要があるようだな、相棒」
「ああ。タイリー助言ありがとよ」
「決して助言したわけでは…」


ただ感想を言っただけで、助言を言ったわけではない。慌てて訂正しようと口を開けば、もう二人は聞いていないのか荷物整理もほどほどに自分のベッドの上に羊皮紙を広げて顔を突き合わせて何かを考えていた。


「こうなったらもう何も聞かねーよこいつら」
「…あぁ、そうだな」

まだ一緒に過ごし始めて数ヶ月だが、それでも大体どんな人間なのかはわかってきてる。俺とリーはため息をつきながら、二人の元へと近寄りその羊皮紙を共に眺め始めた。



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