「君の声だけで聞きたい」
2年生になった時、ついに私はコーラス部に入った。
下っ端も同然の立ち位置だったけれど、歌を歌えることが嬉しかった。
同じように、アンジーとアリシアはクィディッチのチーム入りが決まった。ジョージとフレッドもだ。
「ついにジョージたちも選手だね」
「まぁほとんど補欠かもしれないけどな」
それでも、嬉しそうな笑みを浮かべるジョージに、私もとても嬉しかった。
ジョージとは1年の頃から、この不思議な関係を続けていた。
私が歌う時は一緒に来て、そして笑顔で聞いてくれるのだ。歌い終えた後は必ず拍手をして、もっといろんな人に聞いて欲しい、なんて、嬉しい言葉を言ってくれる。
アンジーとアリシアは、私がコーラス部に入ると言った時とても驚いていた。まさか私が歌うなんて、とは思ったのだろう。
その場にはジョージとフレッドもいたけれど、ジョージだけはなぜか得意げな顔をしていたのを思いだす。
「なんか、歌ってくれよモナカ」
「いいけど...何がいい?」
音楽プレイヤーを出そうと手をポケットに入れれば、ジョージは机に座っていた腰をあげて、その手を抑える。
すでにジョージは私よりも背が高くなっていて。見上げないと、彼の顔がわからないほどに、ジョージは成長していた。
「普通に、君の声だけで聞きたいんだけど」
ジョージの言葉に目をみはる。つまりはアカペラで歌えってこと?
今まで、音楽にのせて歌っていたから、いきなり言われてできるかはわからない。だけど、いつもどんな時でも聞いて、私のファン第一号になると言ってくれたジョージのお願いだ。できることなら、答えてあげたいと思う。
「下手だったらごめんね」
「モナカが下手なわけないだろ?」
ニヤリと笑いながらそういうジョージに苦笑いを見せる。
一つ深呼吸をして、目をつむる。
目の前にいる友達のリクエストに応えるように、届くように。
「hit me with your best shot」
目を開いて、ジョージの目に目を合わせる。
楽しそうに聞いてくれるジョージに、自然に私も笑顔がこぼれ落ちた。
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