「堂々としていたらいい」
三年生になった。今年はすごい人が入ってきてる。日本人の私でさえ知ってる、名前を言ってはいけない人を倒した英雄、ハリー・ポッターが入学をするのだ。ホグワーツに入学するまではマグルの世界に住んでいた私だけど、魔法界は今から11年前に、暗黒時代から今の平和な時代に変わったらしい。それを変えたのが、ハリー・ポッター。
「ポッター・ハリー!」
マクゴナガル先生の声が大広間に響き渡る。皆に注目されている彼は、小さい背をビクビクと震わせながらゆっくりと椅子に座った。私も東洋人だからと入学した時は注目されてたけどそんなの比じゃない。
「グリフィンドール!!!」
組分け帽子がそう叫ぶと、私たちの席にいるグリフィンドール生が全員立ち上がる。例に漏れずきちんと私も立ち上がった。2年もいればこの外国らしいノリにも慣れてくるものなのだ。
「「ポッターをとった!ポッターをとった!」」
双子たちは最後までそう騒いでいてうるさかったけど、そんなもの気にならないほどに全員が騒いでいた。こんなに騒がられて可哀想に、ハリーは少し萎縮して席に座っていた。
そんな新学期初日を終えて、今日は初クラブの日だ。つまり、全員に黙ったまま私たち4人がその場に残り歌を歌ったあの日から、初めての日。どんなことを言われるのかと私はビクビクしていた。他の3人はそんなことなくて、特にジェシーなんて一番堂々とした姿だった。
「早く入りなさい、モナカ」
「あ、はい...」
アンナとレイニーは優しく笑いながら扉を半開きにして私を見る。ゆっくり扉に手を添えて中に入れば、同級生や他の先輩たちが歓声をあげながら私たちを迎えてくれた。
「モナカ!ありがとう...!」
「マグルでも関係ないって貴方が証明してくれたわ!」
もみくちゃにされながら、私の周りには気づけばたくさんの人が来て、ジェシーが呆れながらこっちを見てため息をついていた。
純血主義の強いあの先輩たちにどうやって反抗するべきか。同じマグルの先輩や皆も、悩んでいたようだ。
「だから言ったでしょう」
ジェシーの緑のローブから伸びた手が私の手を掴んで、尻もちをついていた私を立ち上がらせた。
「堂々としていたらいいのよ。それだけの声や実力が、貴女にはある」
ジェシーはそう言うと、私の肩についたホコリを取って床に落とした。初めて見る彼女の笑顔に、思わず顔を固めてしまった私に、ジェシーはすぐに鉄仮面のような表情に戻してしまった。
「そう言うこと!モナカはもっと自信をつけないとねぇ〜!」
私の背中から抱きついてきたレイニーがそう言うと、次にアンナが横から私の頭に手を置いた。
「急がなくてもいいの。ゆっくりとね」
見方がこんなにもいるじゃないか。思わず出そうになる涙に、慌てて下を向いてごまかせば後ろの扉がゆっくりと開いた。コツコツと音がなって近づくのは、例のスリザリンの先輩たちの靴の音だった。
「...何?」
「なぜ私たちに黙ってあんな事をしたのか教えてくれるかしら...?」
「飛んだ恥さらしよ...!!」
凝り固まった純血主義をそぎ落とすのは難しいことだ。コーラス部に根付く純血主義があるのも、スリザリン出身の子の人たちの純血主義が強いから。
ジェシーは彼女たちを一睨みすると、腕を組みあの高慢な態度で見下ろすように口を開いた。
「宣戦布告するわ。コーラス部は私たちハーモニカルが牛耳る」
「え...?ハーモニカル?」
「なぁにそれぇ〜?」
ジェシーの言ったハーモニカルという言葉に、私たちもキョトンとした顔でジェシーを見る。ジェシーは呆れたようにため息をつくと、私、レイニー、アンナを見て口を開いた。
「私たち4人の名前よ」
これが、私たちのグループ名ができた瞬間だった。
prev next
ALICE+