「魔法学校に通うのよ」

小さい頃、お父さんとお母さんが仕事の関係でイギリスに転勤することになった。まだ私は6歳で。小学校にも入学できてない歳に、見知らぬ国で過ごすことになったのだ。

友達もいなくて、英語もわからなかった私は、毎日部屋で曲を聴いていた。
日本の曲とは違う、激しいロック調の曲やいろんな曲を。テレビの中ではとても楽しそうに歌う歌手に、キビキビとした踊りを踊る女の人たち。何かもが日本で見ていたものとは違っていて、私も気づけば彼女たちのように歌いながらテレビの前で踊っていた。


『モナカの歌声はとても綺麗ね。いつかは歌手になるのかしら』


なんて、お母さんに言われたっけ。


いつものように、学校から帰ってきたある日のことだった。
部屋にリュックを置いて、リビングでテレビを見ていたら、窓をコンコンと叩く音がした。なんだろうと、ソファーから立ち上がり近づくと、窓のそばにフクロウがいたのだ。
驚いた私が思わず窓を開けると、そのフクロウは私に、口の中に入っている手紙を渡すと颯爽と飛び立って消えた。

窓を閉じて、受け取った手紙の封を開けてインターナショナルスクールに通ってから読めるようになった英語に、指を滑らせて確認をする。

「ホグワーツ...魔法魔術学校...?」

初めて聞く名前の学校だった。頭にハテナマークを浮かべて、私はそれをもう一度封筒の中にしまって机の上に置いた。夜になると、お母さんとお父さんが帰ってくるはずだ。その時に、もう一度聴こう。そう思って。






「ついに来たわね...!!」

仕事から帰ってきたお父さんとお母さんは、私が見せた手紙を見るなり歓喜した。手を取り合うように喜んでいる二人を、私は首をかしげてみる。どうしてこんなに喜んでいるのだろう?

「お母さん、お父さん...?」
「あなたにもついに、来たわね」
「イギリスに来てしまったから、もしかしたらって思ったけれど...よかった、イギリスの学校に通えるな」
「え?」

勝手に話を進める二人に私は目をキョロキョロとした。まだ仕事着のままの二人は慌てたように私に向き直ると、私の目に目を合わせるように屈み手を握る。

「魔法学校に通うのよ」

お母さんのその言葉に、私は息を止める。そして、大きい声で叫んだ。




「魔法学校...!?」





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