「新入生?私たちもなの」

ホグワーツに通うことを決めて、最初にまずは教科書と杖とローブの準備が待っていた。今まで魔法界から離れて過ごしていた私にとって、ダイアゴン横丁というところは斬新そのもの。
日本の魔法界もこんな感じなの?と聞けば、日本はマグル(非魔法族の人間のことをこう言うらしい)と変わらないと親が言っていた。

「ローブも買ったし、教科書も揃えたし、杖も買った。あとは少し周りを見て帰る?」
「うん!!」

お母さんの手に自分の手を重ねて、行き交う人々を見つめながら歩く。お店の壁や窓に張られている新聞や写真は横切る私を笑顔で見つめながら手を振っていた。

「すごいね...あれって全部写真なの?」
「そうよ、ほら、イギリスの魔法界の歌手もいるわ」
「え、どれ?」

そう言ってお母さんが足を止めて壁に指をさして見せた写真には、優雅に歌いながら手を振っている女性の歌手がいた。彼女の写真の下にはセレスティナ・ワーベック、と書かれていた。

「...お母さんは聞いたことある?」
「えぇ。仕事場でよくラジオから流れてくるわ」
「ふーん...」

私もいつかは、歌手になって。こんな風に綺麗な衣装を着て、観客の人に向かって手を振る時が来るのだろうか。そんな時を想像して、私にはまだドレスなんて似合わないなと思いながら、またお母さんと歩きだした。





「とりあえず寮が決まって落ち着いたら、手紙書くのよ」
「ホグワーツの事情はお父さんもお母さんもわからないからね。どんなことでも、教えてくれたら嬉しいよ」

しゃがみながら、今生の別れでもないのに、私をきつく抱きしめてくれるお母さんとお父さん。私は二人の背中に腕を回して、行ってきます、と小さく呟いた。

ホグワーツ特急の中に入って、空いているコンパートメントを探す。どこもかしこも人がいっぱいだったけれど、幸いなことに、二人の女の子が座っているところがあった。
ネクタイを確認すれば、黒いネクタイだったため、私と同じ新入生のようだ。

一つ深呼吸をして、口を開く。

「あの、ここ、一緒に座ってもいい...?」

私の声掛けに気づいた二人は、私の方を見ると笑顔を浮かべて首を縦に振ってくれた。


「もちろんよ、新入生?私たちもなの」
「こんにちは、私はアリシア・スピネットよ。アリシアって呼んで頂戴」
「アンジェリーナ・ジョンソンよ。アンジーでいいわ。あなたは?」
「あ、モナカ・笹田って言います」
「ヤダ、とても丁寧な言葉遣いね?」

さっきはよく見えなかったけど、顔を上げたあまりにも綺麗な二人に私はドギマギとしながら、二人と握手を交わした。思わず敬語を使ってしまって慌てて口を閉じる。
アンジェリーナはそんな私をクスクスと笑いながら見て、私に椅子に座ったら?と首を促してくれた。

思いの他に、簡単に友達はできるものだった。




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