「パーシーとか」
あれから、よくジョージ君は私の歌を聞いてくるようになった。
彼のことをその時まではよく知らなかったけれど、彼らは双子で、いつも悪戯をしていることは私でもわかっていたから、案外普通の子なんだなと思ったあの一瞬はなんだったのだろうというぐらい、ジョージ君はいつも騒がしかった。
「ジョージ?」
「うん、話したことある?」
「えぇ、双子とはよく話すけど、どっちがどっちかはまだ区別つかないわ...アリシア、貴方は?」
「アンジーと同じ感じよ。モナカ急にどうしたの?」
自分のベッドに座りながら、各々好きなことをしてた時、私は不意に気になって聞いてみた。この二人は、よく双子や他の男子とも話してるのを見たことがあったから。
「なんとなく...?」
「そう?でも双子は騒がしいわ、モナカはもっと大人しいタイプの人間と知り合った方がいいわね」
「例えば?」
毎夜の習慣なのか、アンジーはシャワーから出ると念入りに髪の手入れをする。部屋中に満ち渡る良い匂いのするそれにうっとりとしながら、例えば?と聞いてみると、それに答えたのは私の隣のベッドで雑誌をめくるアリシアだった。
「パーシーとか」
「双子と一番真逆の人間ね」
「ウィーズリー家ってすごいよね、皆グリフィンドールなんでしょ?」
「最早グリフィンドール一家って感じよね」
アリシアがそう言うと、アンジーは髪を一つに縛りながら声をあげて笑って「言い得て妙ね」と言った。
「そういえば私たちお互いのこと知らないけれど、ホグワーツに入るまでは何してたの?」
アリシアが雑誌をパタンと閉じると、突然そんなことを言い出した。私は抱きしめていた枕をベッドに置いて、アリシアのベッドに潜る。彼女が雑誌を閉じるとき、それは私たちの女子会の開始の合図なのだ。
「私は親に杖触らせてもらったりしてたわよ。いつかはホグワーツに入るって思ってたわ」
「あらアンジー、同じよ。両親はハッフルパフだったから私もハッフルパフだと思ってたの。モナカは?」
二人の話を聞きながら、思考を巡らす。二人はニコニコと笑みを浮かべながら私の顔を見つめていた。
「7歳の頃に日本からここに来て、ホグワーツに入るまではマグルの学校に通ってたよ。両親はマグル出身の魔法使いだったから、私も魔法を使えるかわからなくて、11歳まではマグルとして育てようとしてたみたい」
「あら、そうだったの!!」
「日本にも魔法学校あるわよね?」
「うん。入学許可が下りる前にこっちに来ちゃったから」
「じゃあラッキーね」
アリシアの読んでいた雑誌を手に持ちながら、ニヤリと笑いながら私を見つめたアンジーが言う。アリシアはその雑誌を取り返すと、またパラパラと捲り始めた。
「何が?」
「ご両親がイギリスに来なかったら、モナカに会えなかったってことでしょ?」
「モナカの親に感謝しないとね」
アリシアの持つ雑誌を覗き込むアンジー。その言葉に続いて、雑誌から顔を上げたアリシアが一つウインクをしながらそう言った。
本当にこの二人は、嬉しいことを言ってくれる。
私は口を一文字に引き締めながら、笑い出しそうになるのをこらえて、同じように雑誌を覗き込んだ。
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