日本人のアオという女を認識したのは、つい先日の夜の出来事の時だった。最初に兄貴の手錠を最後まで外そうとしていたとTドッグのやつに言われた時に、ちらりと見た時は特に何も思わなかった。変にでかいTシャツを着てる女だと。そう思っただけだったのだが、ウォーカーがたくさんキャンプ場に迫ってきたあの夜、他の女たちは叫んで逃げたり泣いていたのに反して、あいつだけは一人、短いナイフを持ちながら懸命にウォーカーに立ち向かっていた。
意外にやるじゃねーか。上から目線だが、その時にアオという女を自分の中で認識した。
酒を飲むとすぐに赤くなるのはアジア人の特徴なのか。グレンも顔を真っ赤にしていたのを思い出しながら、手はゆっくりとアオの太ももを触れていた。ホルスターの留め具を外して、ナイフを入れたままベッドの下に落とした。熱を持ったその肌を触りながら、手を中に入れていく。
何故こいつはスーツ姿なのかずっとわからなかったが、さっきのジェンナーとの話を聞けば、納得のいくものだった。タイトスカートの裾の部分はどうやら奥の方までスリットが入っているようで、少しでも捲れば下着が見えそうだった。
「...意外だな」
俺の下で眉をひそめながら目を瞑っているアオにそう声をかける。英語が苦手なのだろう事はわかっているから、今俺が言った事は伝わってないだろう。
ワイシャツのボタンを一つ一つ開けながら、胸元にキスを落とす。わざとらしく音を立てて首筋まで徐々に唇を上げていけば、少しはくぐもった声を上げてアオは首を後ろに反らす。
「こういうのは苦手だと思った」
「...んぅ...」
通じてない。
さして重要な事を言ったわけではないからいいだろう。下唇を噛みながら声を出さないように我慢してるアオの唇に、自分の唇を合わせた。
激しく求めるように、唇を噛むように合わせる。開いた口の中に舌を捻じ込ませれば、案外簡単に捕まえる事ができた。絡み合う舌に、手はアオの下着を無理やり上に押し上げて、突起物に触れていた。
「...はっ...」
口を離せば蕩けるような目で俺の目を見ているアオに、確かに俺のなかで熱があがるのが分かった。
「ビッチかよお前」
「ノービッチ」
悪口だけは伝わるらしい。
パンツの横から指を入れれば、十分に濡れたそこに思わず唇を舐める。あとが面倒だからとりあえず慣らすだけはしておかないといけない。中指を入れれば、アオが甲高い声を上げた。
「...ん...!!」
「可愛い声で泣けよビッチ」
「ビッチじゃ...ない...!!あ...っ!!」
右手で中をかき回しながら、左手はアオの頭を抱える。露わになってる上半身に視線を落として、首筋にキスを落とした。
「セックスが好きなだけ...!!や、も...!!」
「それがビッチって言うんだ」
一瞬ビクッと大きく体を震わせたのを見て、もうそろそろいいだろうと一度身体を離す。ズボンのチャックに手をかけようとすれば、人の温もりでも欲しいのか、アオが腕を伸ばして俺の首に腕を回した。
「...んー...」
「ん...待てよ」
無理やり身体を引っ張れる形で身体を落とす。まるで小鳥のように啄ばむように唇にキスを落としてくるアオに合わて、音をたてながらキスをする。
左の腕をベッドに押しつけるように置き、そのまま頭を撫でてやった。やっとズボンのチャックを開けて、自分の履いてるパンツを適当に下に降ろす。窮屈だっただろう反り立つ自分のそれを、パンツ越しに押し付ければ、アオが自分で腰を上げた。
無理やりパンツに手をかけて膝部分まで下ろし、右手で足をこじ開ける。
片方の足だけを持ち上げて、大きく開いたそこに先を合わせれば、濡れていた液体が潤滑油になって貫いた。
「...あぁ...!!」
「...っ」
キツイ。なるほど、好きなだけだとは面白い。
腰を動かせば鳴る嬌声にアジア人も確かに悪くはないと心の中で思った。
ベッドの音が鈍く鳴る。その音に負けないぐらいに声を出すアオに、思わず笑みがこぼれる、
腰を掴み、1ヶ月ぐらいずっと我慢していた性欲を吐き出すように揺らす。
「あっ、あっ...もっ...いっ...く...!!」
日本語が出てるが大体何が言いたいのかは理解できた。
子宮がきつく俺のものを締め付ける。このまま中に出すなんて童貞みたいなバカな事はしないが、もうそろそろださないとやばいだろう。まるで獣のように音を鳴らしながら腰を揺らし、限界の直前まで来た時に中からだして、外に液を吐き出した。
荒い呼吸が部屋中に聞こえる。ベッドのそばに置いてあった久しぶりにみたティッシュ箱からティッシュを適当に何枚か取り出し、吐き出した精液を拭いた。
焦りすぎて、どうやらスカートの上に吐き出してしまったらしい。一言、悪いと謝れば、彼女はちらりとそれを見て荒く呼吸をしながらスカートを脱ぎ、ベッドの下に放り投げた。
「...いいのか?」
「捨てようと、思ってました」
確かに、奥までスリットが入っていればもうボロボロと言っても仕方ないものだろう。なるほど、と首を振って、落ちて行き場を失った黒い塊をみていれば、どしっと衝撃がきた。その流れのまま、ベッドの上に倒れ込めば、どうやらアオが俺を押し倒したらしい。
妖艶に笑いながら、俺の上に跨り髪を耳にかけたアオは、熱の持ったといきで俺の名前を呼んだ。
「ダリルさん...もう一回、しましょう...?」
やっぱりビッチじゃねーか。とは言わずに、彼女の手が俺の胸元にのびるまえにその細い手首を掴んだ。
「...わっ!!」
「俺は上が好きなんだよ」
景色を反転させて、もう一度アオを下に組み敷く。
まだまだ体力はあるほうらしい。それに1ヶ月誰も抱いてこなかったし一人ですることもなかったのだから、仕方ないだろう。と、言い訳をして、本当は今目の前にいる乗り気な女を抱かずにはいられないだろう、というだけなのだが。
下にいるアオの目を見つめる。ダークブラウンのその目が、俺の目を見つめ返していて、その瞳に吸い込まれるようにもう一度アオの唇にキスを落とした。