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「おや、お疲れ様でした片岡さん、竹林君」
開幕と同時に撃たれた青チームの二人が戻ってきた。
「うかつ...開始とどうじにやられるなんて」
「おそらくカルマ君の指示でしょうねぇ...君の指揮能力で小隊を組んで速攻されると脅威ですから。竹林君もそう。火薬を使って何か企んでいたでしょう?」
「上空でペイント弾を爆発させて...敵陣にインクの雨を降らそうと考えていたよ。...読まれてたか」
「...要するに一番爪を隠していたのはあの赤いぼーやってわけ」
イリーナ先生の言葉にヌルフフフと笑う。
「いいえ、青チームの指揮官も成長しています」
自信をつけた小さな獅子は、昔の指揮よりも優れた指揮官に成長した。律さんとふたりで一つだった彼女は、今や律さんなしでも完璧な指示を出している。何度も計算をして、すべての可能性を考えた上で、何が最良の選択なのかをわかっている。
「君たち二人が撃たれる事も、彼女は想定していたからこそ、神崎さんを送り出したのです」
「...どんな指示でも従ってほしい...か」
「サチにしては、大胆な事を言うなと思ったけれど...」
そういうことか、と。柔らかい笑顔をみせた片岡さん。捨て駒だったとしても、最善に動く方法ならば、彼女の指揮もまた正しい。片岡さんや竹林君は、表には見えない隠された闘志を燃やしながら新稲さんの指揮をたたえていた。
「おや、おかえりなさい、神崎さん」
カルマ君にやられた神崎さんが戻ってきた。少し悔しそうに顔を歪めている神崎さんに触手を差し伸ばして、ゆっくりと引き上げる。
「あそこにカルマ君がいるのは、わかってたんだけど...」
「新稲さんの指示ですか?」
「はい....カルマ君がきっと待ち伏せているから慎重に、との指示でした」
わかっていてもそうやすやすと逃げることはできないものだ。片岡さんと竹林君を捨て駒に、その瞬間を狙って神崎さんを送り込む。神崎さんがやられるだろうことも見越して、次に彼女は誰を送り込むのか。
『うおっ!狭間いつのまに!』
『闇に完全に同化するな!』
無線から聞こえてくる声では、杉野君と不破さんが次に倒された様子。磯貝くんが狭間さんを撃ち、即座にそこを退散した。
「深入りさせれば相打ちになるのも想定内でしょう」
「ああ...でも、戦闘が苦手な狭間一人で二人倒した。しかも一人は近接戦の大物杉野だ」
狭間さんがもしも自分の適地にいたらどう動かすか。それは彼女も考えているだろう。カルマくん自身も、新稲さんがどう駒を動かすのかを考える事に必死のはず。
どんな駒でも指揮官がどう使うかで変わっていく。それをこのクラスで一番理解できているのは、新稲さんだ。この1年間、何度も指揮を行ってきたのだ。一人一人の癖や動きを理解している。
それが一番の、恐怖である事をカルマくんはすでに理解しているのでしょう。
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