3

「やめて !!騎士カルマ!!もう誰も傷つけないで!!」
「いやいや姫!!この魔物を退治しないと王国の平和は戻りませんって」


磯貝の提案により子供をあやす班、小学生の勉強を見る班、力仕事班に別れることになった。
俺は一旦よくわかんねー茅野の作った台本に合わせて魔物になって劇をしているわけだが、いかんせんカルマの野郎が俺を殴って殴ってうざい。

というわけで適当に二人で戦っている。

新稲は今、千葉と烏間の部下の鵜飼という人と三人で設計図を書いているそうだ。
その図に合わせて、必要な材木の長さやらなんやらを管理する班なのだそう。

笑いながら計算をしている新稲の顔を思い浮かべる。
この前泣いていたのは嘘だったんじゃないかというぐらい、新稲はいつも通り明るく過ごしていた。

『寂しい』そう言って泣いていたあの日。俺は何もできずに、ただあいつを慰めることしかできなくて。
家まで送っている間も、あいつは何も言わずに黙って俺の隣を歩いていた。あの時、俺はどうしたらよかったのだろうか。今でもそう思う。

もしあの時、具体的なことを聞いていたら、あいつは何かを言ってくれただろうか。
最近は、いつもそれを考えている。


「寺坂、隙ありすぎ。なに考えてんの?」
「あ?」


適当に攻防を繰り返している時、カルマがいきなり小さい声でそう言った。
ニヤリと笑ってこっちを見ているカルマの顔を最後に、俺は後ろに回って変な薬品を嗅がせてきた奥田の仕業で一瞬だけ気絶をした。










ついに約束の二週間が経った。殺せんせーが園長先生を連れてこの場所にやってきたらしい。
寺坂くんが屋根から下りてきて、皆に園長先生が来たということを伝えてくれた。

一つ一つ、私たちが改造していった場所を先生に伝えていく。

まずはこの保育施設の外観。裏山の木や廃材を集めて広くて頑丈にした空間を見せる。
そして次に図書館。皆で回って集めたいらなくなった絵本や本を棚に入れて、千葉くんと二人で考えた広く見える構造に、園長先生も感心していた。
そして、もう一室が室内遊技場。真ん中に置いてある回転遊具は実は...



真下にあるガレージの電動自転車の充電器とつながっている。
この自転車は技術班のイトナくんと吉田くんが改造した。


「この回転遊具と電動自転車を同じ思考に持ってきたのは、さすが新稲って感じだよな」
「いやいや」


菅谷くんの言葉に首を横に振る。
だけど、園長先生は険しい顔をして、こういった。


「いくら物を充実させても...お前たちが子どもたちの心に寄り添えていなかったら、この二週間働いたとは認めんぞ」


その言葉に答えるように、渚くんに一番懐いていたさくらちゃんが帰ってきた。
クラス2番の算数のテストを、渚くんに嬉しそうに見せている。最初の頃の険しそうな顔はどこへやら、とても可愛い笑顔を見せるさくらちゃんに、園長先生が笑顔を見せてくれた。


「クソガキども。文句の一つも出てこんわ。

お前らもさっさと学校に戻らんか。大事な仕事があるんだろ?」


その言葉に、皆で元気良くはい!!と頷く。


この二週間、テスト勉強は確かにできなかったけれど、人とのつながりや、人のために動くという大事な社会勉強ができた。いつかこの時の経験が、自分の身のためになるんだろう、って。はっきりとわかった。






prev next


ALICE+