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「赤坂、ヤろうぜ」
「マジで言い方が下品すぎてやりたくない」

目の前で話してる二人に思わず笑ってしまった。
太刀川さんと赤坂さんは、俺がボーダーに入った時からよく二人で一緒にいた。仲の良い人達だなと思って見ていた。

のちに知ったのは、二人とも忍田さんに弟子入りしていた、ということ。高校から今までずっと一緒にいたらしい。そりゃ仲良くなるかな。この二人を見てると、男女の友情は存在するんだなと思えるから不思議だ。

太刀川さんが赤坂さんの肩に腕を回してトリガーセットを片手に握って振っている。それをドン引きしてるかのように引いた表情を浮かべて、赤坂さんがそういった。

「じゃあ俺とやりましょーよ赤坂さん」
「え、出水君と?絶対やだ」
「うわ、ひっでー!」

C級のブースにいるもんだから誰かと戦うのかなとか思って見てたのにひでぇもんだ。太刀川さんと同じように俺も振られて、ガーンと言っていればそこに風間さんがやってきた。

どうやら赤坂さんは風間さんと約束をしていたらしい。

「風間さん、こっち」
「赤坂」

風間さんがゆっくりとこっちに近づく。後ろにいるのは菊池原と歌川。いっつも一緒にいるな、風間さん大好きっ子かよ。二人も近づいてくると、菊池原がブーブーと、言い始める。でた、菊池原の赤坂さん構って攻撃。

俺たち高校生組はいつもこれを見て、羨ましいと思っている。なぜならこれをすると赤坂さんが構ってくれるから。

「まーた菊池原君は…」
「赤坂さんってば風間さんを指名して…忙しいって知ってます?」
「菊池原…!」
「知ってるよー風間隊は引っ張りだこだもんね」
「そっちの隊とは違うんだから」
「はいはい」

菊池原の頭をぽんぽんと叩きながら呆れたように笑う赤坂さん。菊池原は唇を尖らせつつも、満更でもない顔をしていて。俺はそれを側から見つめていれば、隣に立った太刀川さんが俺を見下ろして少し笑った。

「お前風間さんと模擬戦?」
「うん、久しぶりにちゃんとやろうかなって」
「そしたら俺とやればいいだろ」
「あんたの言い方が下品なんだよ!」
「はぁ〜??」

まあ確かに言い方は下品だった。
思わず肩を震わせて笑えば、出水!と怒られる。

「二人もいるんだったら、風間隊でやりたいんですけどいいです?」
「3対1か?」
「赤坂さんからポイントごっそりもらっちゃお」
「菊池原君にそれ言われるとめっちゃ怖いわー」
「すみません、赤坂さん…」
「大丈夫だよ歌川くん、彼のあれは今に始まったことじゃないし」

率先してブースに入っていく菊池原を追って歌川も中に入っていく。その背中を見届けた風間さんが、赤坂さんの顔を見上げて口を開いた。

「…少し、スッキリしたか?」
「え?痩せました?」

多分風間さんが言ったことはそう言うことじゃない。また笑えば、太刀川さんも大きい声を出して笑い出した。周りにいる人達がピクリと方を揺らしてこっちを見た。

「え?違う?」
「ちげーだろ」

太刀川さんはそういうと、赤坂さんの肩に腕を回した。ぐいっと赤坂さんの頭を近づけて、片手で頭をわしゃわしゃと撫でている。髪がボサボサになると怒った赤坂さんに、風間さんが小さく笑った。

「風間さん、心配してたんだぜ」


赤坂さんは、いつも明るい人だった。
太刀川さんの面倒を見たり、俺たち年下組の面倒だって見てくれる優しい先輩、みたいな印象がある人だ。女の先輩が圧倒的に少ない中で、この人に関わったことのない人はあまりいないと思う。だからこそ、この人がたまに見せる俺たちを見ながらその目に宿す寂しさみたいなものを、不思議に思っていた。


太刀川さんのその言葉に風間さんが近づき、同じように赤坂さんの頭を撫でた。あの風間さんが、頭を撫でている。思わず驚いてみていれば、赤坂さんが少しだけ頬を染めて笑った。あの人も照れたりするんだ。

「もう、大丈夫か?」
「はい…ご心配おかけしました」
「全くだ。この四年間、お前に手を出せなかった俺の気持ちも考えろ」

手を出せなかった!?どういうこと!?

「出水、そういう意味じゃない」
「思春期だな〜高校生は頭が」
「太刀川さんひでぇ!」

思わず俺の驚きに反応した風間さんと太刀川さんの言葉に怒れば、赤坂さんがやっと太刀川さんから解放されて笑った。髪に手櫛を通して揃えている。

「ごめんなさい、風間さん」
「いい。ブースに入れ、今までの分全て叩き込む」
「うわ、人選ミスったなぁ…」

風間さんがブースの中に入っていく。その後を追って、赤坂さんが俺たちに手を振り歩いて行った。

「赤坂さんって、なんかあったんすか?」
「んーまぁ色々な。最近はやっと悩み事が消えたって感じだわ」
「ふーん…」

太刀川さんはそういうと、ブースに消えた赤坂さんを見て笑った。なんだか優しい微笑みだ。この人もこんな顔見せるんだな。

「折角だし見てくか」
「そうですねー風間隊3人と戦うとかさすが赤坂さんだわ」

A級トップの隊と一人の攻撃手が戦うということでギャラリーがわらわらと集まってきた。C級の数も多い。歩き出した太刀川さんに着いていくように俺も歩く。中に転送された赤坂さんが、笑いながら孤月を手に取って走り出していた。

やっぱりかっけえな。あのカメレオンを使ってのコンビネーションにも臆すことせずに戦う姿は。流石赤坂さんと、しか言いようがないのだ。


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