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「あ、高尾君?」
「おおー一堂ちゃん、電話とか珍しいねー」
「うん、ちょっと…」
お姉ちゃんに謝って、お風呂にも入ってあとは寝るだけという時間。
このよくわからないもどかしさを誰かに吐き出したくて、高尾君も寝るだろうとは思ったけれど電話をした。
「何かあったの?」
「んー…何かあったというかなんというか..」
さっきの出来事を話す。高尾君は黙って聞いて、そして最後に口を開いた。
「それ、あれじゃね?」
「何?」
「何て言うんだっけ…ほら。構ってちゃん?」
「え、そんな風に見えるの…私」
「あー言い方に語弊があった!!上手く言えないんだけど、本当はもっと何かいってくれると思ったんじゃない?
なんだかんだ言って、一堂ちゃんはお姉ちゃんが好きなんだよ。引き止めて、一緒に桐皇受けようって言ってくれると思ったんじゃない?」
彼のその言葉に、なるほどと思っている自分がいた。あぁ、そうか。
私はお姉ちゃんに、引き止めて欲しかったんだ。
「違ったらごめん」
「ううん。多分、合ってるよ、それ」
もやもやした気持ちはどこえやら。私はさっきとはまるで違うすっきりとした気持ちになった。
常に上にいるお姉ちゃんを一度だけでも下に見てやりたかったのだ。
私は、そういう人間なんだ。
「…でも、仕方ないんじゃない?」
「何で?性格悪いよ、私…」
「だって一堂ちゃん、妹じゃん」
「え?」
「双子だとしても、妹じゃん」
その言葉は、何故か私の心へと突き刺さる。
決して傷ついてわけじゃない。何度も頭の中で反芻するその言葉。
私は、妹。
何度も双子のくせに似ていない、やら。双子のくせに双子のくせにといわれた。誰も私を見てくれなくて。双子のできの悪い方としか見てくれなくて。
こうやって、妹だと言ってくれたのは高尾君が初めてで。
「..高尾君ってさ」
「ん?」
「モテるでしょ」
「え、何いきなり!?」
「あーもー。何かすっきりしてきたー」
「良かったじゃん」
「ばーか」
「俺相談聞いてあげたのに!?」
「高尾君のばーか」
少しだけ、ときめいた自分にも、ばーか。
「私寝るね。おやすみ」
「唐突だね!?」
「おやすみ」
「あ、うん。お休み」
通話の切れた電話の画面を眺める。
ベッドにダイブして、枕に顔を埋める。あぁもう、なんなんだよあの男は。
ばたばたばた。足を動かしてもう一度枕から顔をあげて、深呼吸をした。
よし、寝よう。
ここ数日の中で一番と言っていい程、その日はぐっすりと寝れた。
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