09
「最初に、私たちは元々ここの世界の住人ではない」
「「「「「....!?」」」」」
私の膝掛けの上に座り、私の家に向かっている最中。
さすがにいきなりすぎたか、この言葉は。
「いきなりすぎでしょ、夏生ちん」
「んーそうかな?」
敦がぽりぽりとお菓子を食べながら言う。
かすをこぼすなよ、と征が注意するのを聞きながらまずは何をいうべきか、考えた。
「私は魔法が使える。今見たでしょ?てかむしろ、たった今魔法つかってるよ。宙を浮かんでたらだれも否定できないよね?」
そう言うと、全員とりあえずこくりと頷く。信じざるを得ない状況なのだから、そりゃそうだ。
「私たちが元々いた世界では、私は魔法使いとされているの。この二人は私の「部下だ」..みたいな感じ」
すかさず征がそう言うと、周りの五人は息を呑む。そりゃびっくりするか、あの赤司様が自ら部下だ、と言うのだから。
「私は次元を繋ぐ魔法がつかえるの。あっちの世界では色々あったから、ここの世界とつなげて、私と征と敦とかその他の人間はここで過ごす事になった」
まぁ、現実味のない話しだ、信じれば良いのかどうすればいいのかわからないのだろう。
それも仕方ない。
「で、過ごしていたんだけど。愛川姫が、この世界にやってきた。私が次元を繋いでいるからこの世界と私たちの世界は均衡を保っているんだけど、彼女はここでも、私たちがいた世界の住人でもない。本当に別の所からやってきた人間みたい」
「...は?」
「中二病かよとか思わないでね。現に、あんたたち以外のほとんどの男子生徒が彼女に骨抜きにされてんでしょ?」
まずその時点で均衡はずれているのだ。
人を好きになるというのは自然の行動だ。なのにそれをむりやり好きになるようにしむけるなんて、この世界が壊れてしまう。
「彼女はなんらかの力を使って、そうなるようにしむけたのさ。でも彼女の目的はあんたたちレギュラーのみんなみたい」
「どういうことっすか?」
「あんたたち、顔はいいからね。全員自分を好きにさせようとしたんでしょ、だけどあんたたちには効かない。しまいにはさつきがマネージャーとしている。気に食わない。だからとりあえずさつきをはめようとしたけどレギュラーは変わらない。だから強行突破であの生物をだした」
「それ、どういうことだよ...」
「まぁつまり、あいつの我がままって事かな。
さつきの事、殺そうとしたんでしょ」
「え...!!」
本当に腹が立って来る。なんであんたのためにさつきが殺されなきゃいけないんだって話しだよ。
とりあえず、全員が固まっているのを見て、征が話しを促した。
「まぁ、それで?この世界の均衡がずれちゃったからさ、私がなんとかしなきゃいけないわけ。でも、彼女の怒りの矛先はすべてさつきに向かってる。
嫌になっちゃうよねー女の嫉妬程、醜いものはない。ね、征」
「そうですね」
淡々と言う征にすこし拍子抜けしたが、つまりは私はあんた達をたすけるためにいるんだっていう事を伝える。
「でも、どうして僕たちは彼女の事を好きにならなかったんですか?」
「征と敦がいるから」
「え?」
黒子君の言葉に私はそう言った。
全男子生徒と言っても、生徒会の男子と、征と敦がいる一軍の男子は誰も彼女に骨抜きにはされていない。
「征と敦がいるから守ってあげてたの。だから一軍と、あと生徒会の男子には効いてないんだよ」
「..そう、だったんですか」
「まぁ、急すぎてどうすればいいのって感じかな」
「今の所は」
黒子君はとりあえず納得しようとしているみたいだ。緑間も、納得はせずとも理解はしたらしい。
黄瀬と青峰に至っては考える事を放棄したみたいだ。さつきは未だに混乱している。
「ついたよ、私の家」
とあるマンションの一室。指をぱちんとならし、窓を開けた。部屋に順番に靴を脱いで入らせる。
最後に私が入り、膝掛けを元の大きさに戻して肩に掛けた。
「適当にお茶でもいれるから、座ってて」
リビングにあるソファや床に座る彼らを見届け、あとは任せた、と征に言った。
敦の為のお菓子と、全員分のお茶を持って来るために台所の方へと私は足を向けた。
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