「ナマエ、早く起きて」
「うーんん…うん…」
「ナマエ、起きなさいってば!」
目を瞑ってもぞもぞするわたしに、ついに痺れを切らしたハーマイオニーがばさりと音を立てて布団を剥ぎ取った。ひどい!
「起きてる…起きてるよおハーマイオニー…」
「あら、なら早く着替えて頂戴。急がないと、授業に遅れちゃうわ!」
「んー」
「わたし達は先に行ってるわね」
ハーマイオニー以外の同室の子が部屋を出て行く音を聞いて、ようやく布団から出た。ハーマイオニーはわたしのベッドの脇でわたしのローブを持っている。
むすっとした表情の彼女は、それでもわたしの準備が終わるのを待ってくれていた。優しいなあって思ったけど、そんなこと言ったら多分「無駄なこと言ってないで早く準備して」とか言われそうだから黙っておこうっと。もはや日常になりつつあるこの光景がなんだかすごく嬉しくて「ありがとう、ハーマイオニー」と伝えると、彼女は照れたように「いいから、早く」と言った。ちらりと見えた耳が少し赤いので、わたしはにんまりした。
ハーマイオニーに連れられて大広間に行くと、開いている席に座って朝食を食べ始めた。途中で何人かに挨拶をしたけど、みんな笑いながら「ナマエはまだ夢の中みたいだね」と言った。実際まだうとうとしてるし、パンを口に入れる動作はひどく遅い。ゆっくり咀嚼して飲み込むあいだに、瞼はすぐ落ちてくる。隣のハーマイオニーがバランス良く食べているのを横目に、半分ほど食べたパンをお皿に戻して机に突っ伏した。ダメだ、眠たい…。
もうちょっと寝れそうかな、と思って目を瞑ろうとしたとき、ハーマイオニーが「行儀が悪いわ」と言ってローブの裾を引っ張るから仕方なく顔を上げたのだった。
「それでは皆さん、びゅーんひょい、ですよ!」
白い羽を前にしたナマエは頭を抱えた。盾が出せるようになったって(急には出せないからまだ何の役にも立たないって先輩に言われてしまった)、目の前の羽を浮かせる呪文の練習なんかしてこなかった。
びゅーんひょい、と先生の手の動きを思い出して杖を振るが、羽はピクリとも動かない。
「ナマエは日本人だから、発音がダメなのかしらね」
「ぐぬぬ…」
みんなが一生懸命呪文を唱えるのを横目に、ナマエは杖で羽をつつきながら机にべったりと頭をつけた。隣のネビルの羽だってピクリとも動いていないし、さっきシェーマスの羽は爆発した。ロンはさっきから多分間違った呪文を唱えてるし、この時間内に羽を浮かせるような人はいないに違いない。
なにより眠いし、少し寝ちゃおう。そう思って目を閉じようとしたけど、すぐにみんなの歓声が聞こえて慌てて顔を上げた。
「おおー、すごい」
先生に褒められたハーマイオニーは嬉しそうだったけど、隣に座るロンは面白くなさそうだった。まあ、ロンとハーマイオニーは確かに気が合いそうじゃないよね。
再び机に突っ伏したナマエは、今度こそしっかり目を閉じた。
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