08


大広間はかぼちゃがいくつも浮かんでいた。そっか、今日ってハロウィーンか。隣に座ったロンがチキンにかぶりついているのを見て、いたずら心がうまれた。

「ねえロン、トリックオアトリート?」
「え?」
「お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ!」

ぱちん、とウインクをして見るとロンはあわててローブをごそごそしだした。それを傍目にカボチャジュースを飲むと、ロンはようやく見つけたらしい飴を1粒わたしに差し出すと、またチキンを食べ始めた。

「ハリーはお菓子持ってる?」
「えっ」

ロンの隣にいたハリーに声をかけると、ハリーはポカンとした。お菓子は持っていないらしかった。わたしハリーの前髪をピンクの花が付いたヘアピンで留める。うんうん、かわいいぞ。

「ちょっと、ナマエ!」
「お菓子を持ってないならイタズラだよ〜」
「そう言う君はどうなんだよ」

チキンの脂をローブで拭いたロンは(ハーマイオニーが怒りそう…)わたしに問いかけてきた。わたしはよくぞ聞いてくれたとばかりに、ふたりにクッキーを差し出した。

「どうもありがと〜。わたし先に部屋に戻るから、それじゃあね」

ヒラヒラと手を振って大広間を後にする。後ろからロンがなにか言っていたけど無視。どうせすぐトロールが入ってきたとかなんとかで大騒ぎになるんだから。




「ハーマイオニー?」

女子トイレに入ると小さく誰かのすすり泣く音が聞こえる。声をかけてみたけど返事はない。まあそうだよね、泣いてるんだもんね。

「ハーマイオニー、ご飯食べないの?」
「、いらないわ」
「でもお腹空いてない? 今日ハロウィンだから、夕飯すごく豪華だよ」
「いらないってば!」

おう、怒られてしまった。
ハーマイオニーの篭っている個室のドアに背を預けながらどうしようかなあ、と考えていると、ハーマイオニーから声をかけられた。

「あなたも…私のこと、お節介で、うるさいって思ってるんでしょう。悪魔みたいな奴だって、だから、友達がいないんだって!」
「そんなこと…」

あー…わかってたけど、実際に自分が言われると傷付くな。わたしはハーマイオニーのことそんな風に思ってないし、第一ハーマイオニーが毎朝起こしてくれなきゃわたしは1限の授業に間に合うことなんてまずない。
そう伝えたいのに、一瞬答えを渋ったわたしをどうやら肯定だと勘違いしたハーマイオニーは声を荒らげた。

「私ちゃんとわかってるわ!」
「ハーマイオニー、落ち着いて。話を聞いて? わたしはハーマイオニーのこと好きだし、友達だと思ってる。でもそういうの、壁越しじゃなくてちゃんと顔を合わせて言いたい。扉を開けてくれるかな?」

扉の方を向いてハーマイオニーに声をかける。
頭の中の女の子が雪だるま作ろう、と言いながらドアを叩くシーンをそっと消した。

「…」
「やっほー、ハーマイオニー」

ひらりと手を振ると彼女はぷいっとそっぽを向いた。それでも扉を開けて出てきてくれたのは、わたしの話を聞いてくれるからだ。やっぱりハーマイオニーは優しいよ、うん。

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