先日、山本の家に居候させてもらっていることがついにバレてしまった香夏子。
これからの学校生活が180度変わり、上靴には画鋲が入れられ体育着のジャージは消え去り果てには「お前の席ねぇから!」と
窓から机が捨てられていることだろうとビクビクしていたのだが。
「あのさ香夏子ちゃん!」
「はっはい!?」
「なんでそんなに驚くの……。まぁいいや。あのさ、山本っていつもテレビって何見てる?」
「う、うーん……プロ野球とか?」
「やっぱそっかぁ!ありがとねー!」
「あ!山本って今日の放課後暇なのかな?」
「ど、どうかな……。あ、でも今日は部活で遅いって言ってた気が……」
「あー、そうなんだぁ。教えてくれてありがと香夏子ちゃん!」
……といった感じで、クラスの女子から迫害を受けるどころか逆に話かけられることの方が増えた。
しかも内容は大体が山本のことであり本人に直接聞けばいいことを香夏子を通して質問されている。
「山本は寝るときパジャマ派?ジャージ派?」や「ベッドで寝てるの?それとも布団?」など度を過ぎればストーカー行為とも取られそうな質問で非常に答え辛いが、
花曰く「変わりにラブレター渡してとか言われないだけマシなんじゃない?」なんだそうだ。
そして山本との同居生活がクラス中にバレてから変わったことと言えばもう一つある。
「これ隣のクラスの奴から香夏子に渡してくれって」
「え、また…………?」
居間にてクイズ番組を見ていたところ山本から渡された真っ白な封筒。
封筒を破かないように慎重に開けてみると男子独特の字で一目見たときから辻本さんのことが……と書かれた文を見つけドキッと心臓が鳴るのと同時に気が重たくなる。
このように、山本を介して所謂ラブレターをもらうようになってしまいどうしたらいいかわからないのだ。
好意を持ってもらえることはありがたいが如何せん相手が誰なのかわからず、困ったことに大体の手紙が返事は山本にしてくれればいいからと書いてあってはなおのこと。
「(どうしたらいいのかなぁ…………)」
便箋を片手に大きなため息をついたところ、それが聞こえないわけのない山本が「最近さ」と口を開いた。
「香夏子に手紙渡せって言うやつ多いけどなんなんだろーな」
「な、なんなんだろーね……?」
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