約束を破った罰がエッチなお仕置きなんてアダルトコンテンツの見過ぎでは。彫像のように綺麗な男が画面の向こうにいる女優を見て半身を慰めてる姿を想像する。誰からしてもつまらない妄想を湧かせるくらいしか、この現実を逃避する術がないのだ。

「(しかも風呂場で焦らしプレイ)」

加えて手枷と締めくくる。この黒物は最初から名前の家にあったが、了承も懇願もなく装着する男はえらく図太い神経をしていると考えて間違いない。この短時間で目まぐるしく変わるアーサーの印象。どんな性癖を持っていようと個人の自由だが、名前はふしだらな女であって何事にも寛容なわけではない。アーサーだけが楽しい変態プレイが終わったら思う存分、悪意と嫌味をふりまいてやるつもりだ。
 とっくに天井のシミを数えるのすらできなくなった思考が、他に気を紛らわせる方法として思いついたのがこのくらい。どうでもよい、関係のない雑念で頭を埋めつくして、燃え上がり続ける火照りを追いやるのが目的だった。しかし冷めきった思考は実は上辺のものでしかなく、気を抜くとすぐに頭が何も考えられなくなってしまうのが。理性の灯火を食い散らかさんとする劣情の虫がすぐそこまで迫っている。

「ぁ、はッ...、ふ、ぅ」

彼女の肌を這い回る骨張った手を、男としての理想をこれでもかと詰め込んだ逞しい胴体を、優男なマスクの下に隠してアーサーは己の手腕を存分に発揮する。男である彼が名前の絶頂を読み解くのはいくら経験を重ねても難しくあるのに。名前以上に彼女の体は熟知した動きは癇癪を起こすだけでは覆せない圧倒的な力量の差を知らしめる。精々名前にできることと言えば快楽の波が薄い最中で派手に仰け反るか、反対に落ち着いたタイミングで刺激に耐えきれないように唇を噛み締めるか、どうにかしてアーサーの目を誤魔化すための演技だけだ。

「?...よく分からないけれど、普通に感じてくれて構わないよ」

まぁ、それすらも簡単に見抜かれてしまうのだが。

「ヒッ、...ふ、つう...てッ!...や、こんな」
「うん」
「む、り...ムリ、ッ、...ぁああッ!」

名前のGスポットを堕とそうとアーサーの指使いが変化する。見てて可哀想になるほど鳴きじゃくる彼女にお構いなく気持ちいいことを植えつける。抜き差しと擦り上げを同時にやってのける所業はそのつもりがなくとも浴室内を卑猥な音で染めていく。ガシャガシャとしなる鎖の激しさが名前の暴れようを体現しており、そのつもりもないのにイかせようとするアーサーの矛盾した行動は名前をこの上なく苦しめた。
 てっきり名前は体は快楽を求めていても、心が拒否しているのだとばかりに思っていた。女は心で感じると時たま耳にするが、アーサーを苦手とするはずの自分がこんなにも濡れてしまうのは彼の優しい手つきを愛と履き違えている、体が錯覚しているせいだ。名前の意思は今も固く、揺るがない。

「本当にそうなのかな」
「ふ、う...ッ、...い、ゃッ」
「腰、揺れてるよ」

幸いにもアーサーのからかいは名前には届かなかった。もしも耳にすれば彼女は即座に理性を手繰り寄せ、彼の指に合わせて貪るように腰を振る己をひどく嫌っただろうから。そういう意味ではアーサーの冷やかしは賭けに近かったかもしれない。名前の頭はとっくの昔に快楽に呑み込まれいる。彼女の決意はまどろみの中の夢に過ぎない。

「あ、ぁっ、んッ...はぁッ...!!」
「ん...。僕もそうだけど君も大概だね」

もちろんこれも聞こえていない。ぐちゃり、空間内に反響する自身の奏でる蜜音に、バカになってしまった名前の頭は「エッチだなぁ」と他人事のような感想をもらすだけ。当初は殺気立った猫とアーサーの印象にあった鋭さは見当たらず、へにゃへにゃに熟れきったリンゴのようにだらしのない顔が来たる絶頂をもうずっと待ちわびていた。カクカクと踊る腰を止めることはできず、もっと強く激しくそのざらついた壁をさすってほしい、純然な欲望に乗っ取られ、ともすれば口が滑りそうになる。

「はぁーッ、あぁ〜、うぅぅ...」

とうとうぐずり始めた名前へアーサーなりに判断をつけたのか膣壁を傷つけない力加減で責め場所が一点に集中する。壁を押し上げるような動きは絶妙な好さをもたらして名前は無意識に股を広げ腰を落とす。もっと欲しいと甘える体は陥落していると同然で、アーサーは最後の一押しと言わんばかりに名前の意識を飛ばす勢いで人差し指を激しく躍らせた。たまらないと全身が身悶えよじれる。大きな波が押し寄せてくるのを予期して、はくはくと色づく口の端が嬉しそうに持ち上がった。

天国の入り口が見える。

「はぅッ!、...っああぁ、ぃ...くっ...!」

それから勢いよくアーサーの指が引き抜かれた。

「ーーーっ!??」

本能が動いた。名前の右手が自身の割れ目へ伸びる。同時に膣の入り口に触れる前にアーサーによって引き離される。何度も腰を揺らして淫らなダンスを披露するが、決定的な刺激は得られない。

「やぁッ...だ、ぁ...!」

ついに名前の我慢が決壊した。ずるずると浴室の壁を滑る背中、水音をたてながら落ちた尻、体育座りの姿勢からゆっくり足を広げて、自身のそこを優しく撫で労わる。それから名前の生殺与奪の権利を握った男へ取り繕うのを忘れて懇願する。

「イイ、か...ら。おねが、」
「......。」
「欲し、ッ...ぃ、イかせて...、」
「やっと素直になれた。いいよ、あとは僕に任せて」

桃色に染まった吐息を吐いた名前は自身の発言を後悔はしていない。



 収納棚にかかっていた手枷が外されたのを尻目に、名前は晴れて自由の身となったのを神様に感謝する。もう逃げ出す元気も意思もないが、やはり拘束は趣味じゃない。しかし、アーサーは空いた枷を当然のように名前の右手へ付け替える。これによって彼女の両手首はどちらも黒いベルトが巻きつき、一層行動が制限される結果となってしまった。何故と問う気力すらなく、名前はアーサーに誘導されるがまま浴槽のへりに軽く腰掛ける。

「思ったことは全部口に出してごらん。もちろん、嘘をつくのはいけないよ」
「ッ、ぁ...わかった…から、はや、く」

陰唇の隙間からとろとろの淫汁をこぼす名前へ、アーサーはご満悦と言いたげにゆっくり指を這わす。完全には剥けてない真珠の皮をめくり、綺麗な宝物を愛でるようにぬめる指でほんのり撫でる。名前は高揚の表情を浮かべながら、ドキドキと次の刺激を待ち望む。アーサーを求めてやまない蜜壺が淫らにも口をピクピクと待ち望んでいる。長い指で入口の上、浅い部分をかいてやれば、名前は一分もしないうちに登り詰めた。

「きッ、ちゃ、ぅ...くる...ッ...い、く...!」

すさまじい激感が体の中心から手足の先にかけてほとばしる。頭を真っ白に染め上げながら名前は今度こそ息の仕方を忘れてしまった。堤防が決壊してしまった頭は、ビリビリと流された電流を直に受け止めるしかなく、名前の顎がカクンと力なく項垂れた。

「早いね。そんなに待ちきれなかった?」
「はぁッ、ぁあっ、ッは...ふ、ぅ、うぅ」

意地の悪い問いかけであったが、案外名前は素直に頷いた。むしろ自身の股の下に跪くアーサーの手首を掴んで勝手に自慰を始める始末。本当に素直になったのを感心しつつ、同時にあまりの変わりように少なからず驚かされた。

「イくっ...ッ〜〜〜、ああぁ゛ッ」

膣壁がアーサーの指を締めつけて度々痙攣を起こす。散々焦らされた分、名前はオルガズムを迎えるほどこれまでのどんなセックスよりも甘く満ち足りた幸福の底へ溶けていくた。恥じだのプライドだのを捨て去ってなりふり構わず気持ちよさに身を委ねる。快楽の極みを永遠に与えられながら次第に自分の中で悦楽を引き出してくれる指の持ち主へ、たまらなく頬を擦り寄りたい情動に駆られた。

「あ、あーさぁ、…あーさー…」
「どうしたんだい?」
「きもちい、い。の、うれし、」
「…名前」

今名前は心で感じている。こんなにも幸せな気持ちを味合わせてくれている男を、たまらなく愛しいとすら思っている。アーサーの髪に耳に頬に、その手ざわりを確かめながら、少女と女性の間をうつろう幼くありながら一人前に女の顔をする少女の姿があった。

「……っ」
「あっ…きゃッ、やん」

アーサーは自分の欲望を自覚しながら、まだ発散できない歯がゆさを劣情に変えて己の指に託す。一向に落ち着かない名前の膣内を可愛らしい小豆と一緒にこちょこちょと弄りこね、もはや苦しそうに喘ぐ女の内腿に噛みつきたいなどと思ってしまうなんて。奥歯を噛み締め苦々しい感情の正体も分からぬまま、ただ名前の快楽を引き出すことだけは徹底して。

「ああ、だめッ、…はや、いよぉ」
「名前、」

名前を呼べば肉壁がキュッと締まる。その事実は男としての欲を正直かなり満たした。追い詰めるようにして、彼女のいいところを突き詰めると、ぶるり太ももがひきつれを起こして、彼女がまた達したのを教えてくれた。それでも、

「これだけじゃ、足りないよね」
「アっ、…ん、まってぇ!いまいってる、…から、そんな、はげし…ッヒ」

かなり感じ過ぎているのか必死になって止まれと促す女をアーサーは今夜初めて自分の欲のために無視した。達したばかりの彼女の体に追い討ちをかけるようにして、舌先を伸ばす。体勢の関係で膣の周囲を舐めてやることはできないが、その分クリトリスは念入りに、興奮して力を込めすぎないように一定の優しさで包みつつ素早く弾くのを往復させる。快楽を通り越して苦しそうな名前の喘ぎが天井に吸い込まれていった。

「あ、いく、いってる、あーさー、だめぇ!」
「だめじゃない」
「ちがう、ほんとに違うの、なんかでる、もれちゃ、くちはなしてぇ!」

聞こえた単語が組み合わさり、ひとつの可能性にいきつく。アーサーの考えがあっているとするならば喜ばしきかぎりだが。理想を現実にしてしまうために彼は責める手を一切緩ませず、それどころかざらつく壁の向こう、排泄のための穴に届くようにとGスポットをこすりあげた。押されれば押されるほど、体の底から何かが湧き上がる。名前の頭の中は先程の絶頂の比ではない、快楽を通り越した未知の感覚によって支配されていた。何よりも恐ろしいのが自分で歯止めを効かせることができないのと、恐るべく勢いで名前も知らない高みへ登り詰めているという事実だ。このまま敏感な体を責め続けられたら壊れてしまう。自分の体がめちゃくちゃになってしまう未来に戦慄する。

「ひぐぅ…ッ、くるぅ、!」
「っは、怖がらないで名前」
「や、ぁ!と、といれ、に…ヒィッ?!」

もちろんそんなことはさせない。絶対に緩んではいけないと思っていた入り口が決壊し名前の股から透明な液体が勢いよく噴射される。わななく体のリズムに合わせてぴょっと出方を変えるそれが、アーサーの綺麗な尊顔にかかった時は流石に目眩がした。

「わっ、」
「きゃあああ!!?ッ、いやぁ、避けてぇ!」
「どうして?君が感じている証だ」

名前の制止をものともせずアーサーはもっと出すようにと膣壁を揉むように押し、クリトリスをじゅっとすする。彼が女体を掻きまわすほど、その動きに合わせて液体が激しく吹き出ていく。あまりの羞恥に必至に出すのを止めようとするが、それを他でもないアーサー自身の手で邪魔されるのと、そもそも力が入らないのでは何も止められない。快楽を感じすぎた体が素直になれと、名前を嗤っているようで。最後にはおしっこのようにチョロチョロと断続的な出を繰り返しながら、彼女の初めての潮吹きは静かに終わりを告げた。

「っは、はッ...、あ、...ぁ」
「潮も初めてだったのか」
「さい、あくッ...変態がいるうぅ、...ッ!!」

名前の駄々に苦笑いしながらアーサーは頬にかかった潮を拭う。初めての体験に混乱と不安が入り混ざるのも無理はなく、そんな彼女を気遣うように羞恥と戸惑いに唸る名前の頭を撫でた。

「そうかもしれない。でも、...うん。価値あるものが見えたから僕としては満足だよ」
「う?まだ、しゃせーしてないのに...?」
「それとこれとは話が別さ」

言うなりアーサーはすくっと立ち上がり、力の入らない名前の体をゆっくりと立たせた。彼女の気のせいかもしれないがアーサーは時折一人で話を完結させてしまうので名前は時折置いてきぼりになってしまう。
 しかし今だけは彼が何を望んでいるのか馬鹿な名前でも知っている。もう散々暴かれて尚、指では届かない奥まで彼は徹底的に嬲るつもりなのだと。いくら思考がお花畑になろうとも視界の隅に映る猛々しい欲望まで見て見ぬ振りはできない。今度は彼女がアーサーを気持ちよくさせる番だ。
 潮を吹いたことでまんこの周辺の粘液が流れていったというのに、アーサーの逞しい肉棒に当てられたのか勝手に腹の奥が疼く。そうして飽きることない唾液が再び流れ始めるのを感じながら、名前の両手首は浴室にある掃除用具のスポンジがかかるフックへ引っ掛けられた。

「これで腰が上げやすくなるはずだから。もう少しだけ頑張って名前」

頬に張り付いた髪を剥がされながら名前はこくこくと顎を下げる。顔は壁側にお尻はアーサーに向けて、いわゆる立ちバックの姿勢を取らされていた。アーサーは収納棚の中においておいたスキンを取り出すと手早く口を開けてさっさと装着する。ぷるぷるなお尻の味わいを楽しみながら、未だ敏感に少しの刺激も拾ってしまう、ヴァギナを揉み込む。いきなり入り口をかき分けてがっつくのではなく、名前を労わる過程の中でそうっと、再び蜜をこぼし始めた膣のお肉をくすぐった。
 トプンと簡単に指が沈む。後ろからだと今まで以上名前の反応が丸わかりで、指の第一関節までしか入っていないというのに腰が切なそうに揺れている。待ち望む彼女へこれ以上焦らすのは可哀想であるし何より自分の方が限界だった。人差し指と中指を使い、感覚だよりにくぱっと入り口を開いたアーサーはもう片方の手で亀頭をゆっくり押し込んでいく。

 指とは遠い圧迫感、ゴム越しにも伝わる熱、男性器特有の硬さ、己の知覚を最大限に開放して、アーサーの立派なそれへ絡みつく。痛みは皆無だった。奥へ進むたびに肉棒の味に酔わされていく。男の起立ができるところまで名前の鞘に収まったのを確認して、アーサーは後ろから彼女の顎と喉元に優しく撫で上げながら「動くよ」と吐息交じりの宣言を落とす。名前が顎を引いたようでまだ引いている途中に、ずッと一度腰が引かれて間髪入れずにガツンと彼女の膣壁を余すところなく突き上げた。

「ぁ゛〜〜ッ、はぅ、...ぁ」

昇天してしまいそうなほど気持ちがいい。圧迫感すらも心地良さへと変換されて丁寧な快楽に酔いしれながら名前は犬のようにだらしなく舌を垂らす。アーサーの律動は容赦がなかったが乱暴ではなかった。比較的速いリズムで、名前の奥を穿つ。たった一度の性行の記憶をしっかり引き継いでいるのか、彼女の弱い部分、好きな動きを熟知した腰使いは、流石としかいいようがなかった。

「あ、あ!...そ、こぉッ...ん!いい」
「、...ッふ、ここかい?」
「うんッ...そこ、好き...ぃ、あ」

ひん、と猫の次は犬のような切なく餌をねだる少女は、とっても素直で、アーサーは滅多にない歓喜の瞬間を味わっていた。男の征服欲が満たされているというよりかは、懐かない猫の心をときほぐせたような嬉しさに近い。もちろん、前者が全くないとも言い切れないが。
 時間をかけた成果か今夜の名前はどこを触っても全て快楽物質に変更してしまうようで、アーサーの突き上げや手の動き一つ一つに大袈裟な反応を見せてくれる。...楽しくないと言ったら嘘になる。

「名前、...君は、どうしてそうッ、」
「あ、ん、ッ!...はげしッ、...あーさー、」

叩きつけるたびに、パンとぶれる尻たぶがアーサーの視界をくらりと犯し、浴室に響く猫なで声は優しくしてやりたいと願う彼の神経を逆なでする。ここまで淫らに花開くとは男も予想していなかった。自分でもらしくないと思いつつ、オスとしての本能が彼女を求める。華奢な顎をやや強引にこちらを振り向かせれば、とろけてしまいそうな半開きの口がアーサーを誘う。自身もまた昂ぶっている自覚はあった。アーサーは本能に従って、いじめてしまいたくなるような口に吸いつく。

「だ、めぇ!」

直前に阻まれた。

「......おや」
「あ、や、だって...キスは、その...」

しかし名前はその先を中々言えないまま口ごもってしまう。アーサーが悪戯心で何度か弱い部分を抉ってみてもそこだけは譲らなかった。本人にとってはデリケートな話題なのか、無理に口を割らせようとしたら後で死ぬほど嫌われそうだ。

「わかった。今夜はやめておくよ」
「うん、ッ、あ、ありがと...っあ、」
「ふふ」

ありがとう、だなんて本当にホッとしたように笑うものだからアーサーの何とも言えぬ感情は消化しきれないまま心の底に苦いモヤとなって落ちていった。それからは名前が望むままにぴっとりと彼女の背中にくっつき、抱き枕のように抱え込みながらを打ち込むだけに集中する。途中彼女が何度か軽い絶頂を迎えても、スピードは緩めずに責め抜いた。名前の乳首をコリコリとねぶりながら、アーサーは自身の限界が近づいているのを悟る。

「名前、ごめん。僕もずっと我慢していたから」
「は、ぁ...いい、からっ、もう腰、が」
「分かった。いくよ」
「あっ、ぅ...アーサーッ」

二匹の獣が荒い息遣いを交錯させて互いの体を貪る。アーサーは小刻みに奥を執拗に打ちながら、陰茎で名前の中を掻き乱すように自身もまた快感を募らせていく。名前の腰にしっかりと抑える手は、この時だけアーサーが自分の子種を植え付けるための力を込めた。パンパンと激しい打ち付け音が木霊する中、やがてその時は訪れる。

「ッグ、」
「あ、ァァ゛ッ...!」

女体の奥、赤ちゃんが宿る入り口の手前、行けるところまでずんっと殴りつけたアーサーは己の飛沫が流れ出るのをじっと感じ取っていた。名前も近いタイミングでまたも達してしまったのか、ピクピクと脈動する膣内が彼女の状況を如実に説明していた。
 ゆっくり頭を撫でてつつ静かに手枷を外してやる。自身のものを抜き、快楽を引き出すためではなく、心からリラックスしてもらえるように優しく相手の体を労う。捲ったゴムの口は固結びにして放っておいた。後で片付けよう、自身に限って忘れることはないだろうが、絶頂感特有の倦怠を帯びた体はそのまま思考にまで侵食してくる。

「名前、へいきかい?」
「じゃ、ない…。あし、たてな、」

小鹿のようにみっともなく下半身を震わせる少女を見てアーサーはいじらしさ半分面白さ半分に苦笑いを耐えきれなかった。

「よく頑張ったね。さぁ、シャワーを浴びよう」

射精の名残を全く感じさせない、しっかりとした足取りでアーサーはノズルを捻った。ぐったり、半ば意識のないの名前を支えながら最後まで丁寧に彼女の体を洗い、風呂場を出たあとは完全に眠りこけている女の体が冷えないように拭いてあげる。自身もまた水気を取って、布団文化に衝撃を受けたりしながらも裸のまま二人横に寝転んだ。完全に夢の中へ飛び立っているあどけない寝顔を微笑ましく思いながら、アーサーは自身の唇が疼くのを感じていた。

「おやすみ、名前」

明日起きたら沢山話をしよう。繋がった縁は多分しばらく切れない。




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