ふわりと微睡みから目を覚ます。
ぼんやりとした頭と視界で、数度ゆっくりと瞬きを繰り返した。
「おはよう」
優しいその声に視線を合わせれば、こちらを見てふわりと微笑む近藤さん。
「おはようございます。もう起きてたんですね」
「あぁ、何だか珍しく目が覚めちまってな。せっかくだから夢子ちゃんの寝顔を見てた」
「ちょっ、やめてください!恥ずかしいじゃないですか!」
かぁっと顔に熱が集まるのを感じ、慌ててかけ布団を目元まで引き上げた。
「もう……でも、今日は起きて直ぐに近藤さんに会えて、まるで夢のようです」
冗談めかしてそう言い、二人で楽しそうにくすくすと笑う。
「俺もいつもは一人で起きてから夢子ちゃんに会うまで不安な時間を過ごすんだが、今日は起きたら目の前に夢子ちゃんがいたから何だかいつもより幸せに感じるよ」
そう言った近藤さんは本当に幸せそうに笑った。
「それは良かったです。じゃあ、いつもみたいに今も抱きしめたくなったりしますか?」
昨夜の会話を思い出して、冗談めかしてそう言えば、「もちろん」と楽しそうな声と共にぎゅうと優しく抱きしめてくれた。
「大好き」
ぽそりと小さな声で呟き、片手を回して、がっしりと筋肉質な背中を負けないくらいぎゅうと抱きしめ返すと、「俺も」と頭元で優しい囁きが返ってきた。
昨夜のまま、二人とも一糸まとわぬ姿のため、抱き合う程お互いの体温を感じる。
それがとても心地よい。
「そろそろ起きなきゃいけないのに、ずっとこのままでいたくなっちゃいますね…」
「うん……」
「支度しないと」
「うん……」
「近藤さんはどこ観光したいですか?」
「うん……」
「…近藤さん?」
適当な生返事を繰り返す近藤さんを見上げようとぴったりとくっつけていた胸板から顔を離して、顔を見上げようと体を動かした。
「…ッ!」
その時に足に何かが当たる違和感が。
何かと考えれば、昨夜の事を思い出し、感触を思い出した。
「す、すまん!こんな格好でくっ付いてたらつい…」
布団の中でごそごそと身をよじった近藤さんは、すっと私から離れてしまった。
離れたといってもぎりぎり肌が触れない程度の距離で、いつもに比べれば格段に近いのに、今ではもうその数センチの隙間でさえもどかしく、寂しさが胸を埋め尽くすようだった。
「近藤さん」
名前を呼んで、私から隙間を埋めた。
「観光はお昼からゆっくり行きませんか?」
見上げると、ぽかんとした表情が私を見下ろしていた。
「もう少し、近藤さんとくっついてたいです。…夜みたいに」
「夢子ちゃん……でも、体辛くない?」
「ありがとうございます、私は大丈夫ですよ」
気遣いと優しさを貰って、余計に愛しさが増えていく。
優しく笑い、愛おしそうに髪を撫でる指に目を細めて感触を味わった。
「すまん。無理させてしまって」
「そんな事ないです。…私も…同じでまたしたいですから…」
恥ずかしくて目を伏せて言うと、髪を撫でていた手がぴたりと止まってしまった。
見上げると、私と同じく顔を赤くして眉を下げた近藤さんがとても嬉しそうに笑った。
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