学校にて
「なぁ、何の話してんの?」
「あ、夢女。こいつ彼氏が出来たって自慢してくんねん。」
「マジで!いーなぁー!羨ましい!うちも恋したい!彼氏欲しいーー!」
「え、夢女って彼氏おるんちゃうん?」
「え?」
「そうそう。噂になってんで。イケメンの彼氏がおるって。」
「は?」
「あれ、ちゃうん?銀髪の目付きの鋭いイケメン。」
「銀髪……。」
「え、私が見たん茶髪のチャラそうなイケメンやったで。」
「チャラそうな……。」
「私も見かけたんやけど、帽子目深にかぶった人やったからようわからんかったな。怪我してるんか包帯巻いてた人。」
「包帯……。」
「え、え、どういうこと?!」
「あんたもしかして3股!?」
「なんでやねーん!!違う違う!3人とも彼氏ちゃうから!」
「え、そうなん?仲良さそうやったからてっきり…」
「私もそう思ってたわ。やから先輩に夢女にはイケメン彼氏がおるって言ってもうたわ。」
「なっ!?」
「あ、あたしもー。隣のクラスのヤツにそう言っちゃった。」
「のぉー!凄い勘違い!やめてよもう!!」
「や、知らんし。てか私らが言わんくても噂にはなってるからなぁ。イケメンの彼氏がおるって。」
「マジか。それで余計に全く男っ気がないのか……」
「ということが学校でありまして。」
「だからなんだ。」
「なので当分の間、二人だけで外出はしません!」
「何故?」
「ちょっと刑部、話聞いてた?だから二人で歩いてると恋人同士だと思われんの!」
「それに何の問題がある。」
「いや、三成、だからさぁ。そうすると皆私に彼氏がおると思うやろ?したら寄ってくるもんも寄ってこやんから余計に彼氏が出来ひんやろ。」
「やれ、ぬしはそれほどかれしとやらが欲しいのか。」
「そらそうやろ。こう見えて花の女子高生なんやから。うちも恋したい!ラブラブしたい!青春を謳歌したい!」
「ならば私がかれしになれば問題無いだろう。」
「……は?」
「ヒヒッ…三成にしては随分良い提案をしやる。」
「いやいやいやいや!!ちょっと待って!」
「何、三成が気に入らなければわれを選べばよかろ。」
「刑部まで…もう、二人とも心臓に悪い冗談やめてぇや。」
「私は戯言も虚言も吐かない。それに夢女も私の事を好いていると言っていたではないか。」
「いや、あれは…言うたけど…好きやけど…何て言うか…」
「…夢女は、私を裏切るのか?」
「ーッ!」
「やれ、夢女がわれに言った言葉は虚言であったか…われは大層傷付いた。」
「〜ッ!……さ、左近〜」
「……俺にふらないでよ。」
「夢女…。」
「ぬしはどちらを選びやる?」
「ーーッ!!!う…うわぁぁーー!」
バタバタバタバタンッ!
「……刑部…。」
「ヒヒッ…」
「う、うわぁー…」
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